悪人。

悪人
『悪人』(2010)
●観た理由●
妻夫木聡:ブッキーの主演作なので。
李相日監督の新作だから。
●覚え書き:この映画を観て思ったこと●
全体的に閉塞感が漂う息苦しい作品だった。
李相日監督の手堅い演出は好み。
今回の作品でもとても丁寧に描いていた。
彼の作風からは韓国映画やひと昔前の日本映画に似た泥臭さを感じる。
生温い気だるい雰囲気やその土地が持つ風土感が上手く伝わってくる。
妻夫木聡(清水祐一役)と深津絵里(馬込光代役)の主演二人はとても頑張っていたけど、
やはり一番印象に残ったのはベテラン勢の樹木希林(清水房枝役)と
柄本明(石橋佳男役)の名演ぶりだった。
特に柄本明の台詞は胸に迫るものがあった。
鑑賞中、何度か頬に涙がつたった。
岡田将生(増尾圭吾役)も役の大小や善し悪しに限らず、
『告白』に続くこういうイヤな役を引き受ける辺りに
“俳優”としての未来を感じさせるものがあった。
クライマックスで主人公、祐一が光代の首を締めたのはワザとだと僕は解釈した。
食料の買い出しに出掛けた光代が戻ってきた直後、
二人が灯台の中へ入るまでにパトカーのサイレンの音に祐一が気づいていたと思うので。
彼女の今後の人生に迷惑を掛けないためにも彼は決意したのだと思う。
相手に対して感情表現を上手く出来ない(よく知らない)まま成長してしまった、
祐一の精一杯の“優しさ=愛情”だったのだろう。
彼が犯した罪はとても深い。
けれど、本当の意味での“悪人”とは一体何を意味するのか?という想いが頭を過ぎった。
唯一、不満に思えたところは事前に見た予告編と
メイキング番組で見せ場を先に見てしまっていたこと。
普段は見ないようにしているのだけど、ブッキー見たさでついつい…。苦笑
おかげで先の展開が読めてしまったので、そこがとても残念だった。
…後日談。観終わった直後は感動していたのだけど、
時間が経つに連れてなぜか印象が薄くなってしまった感あり。
もはや、こういう事件は現代病のひとつに過ぎないのだと
軽く受け流してしまったからかもしれない。
●満足度●
★★★★

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2 Comments

sabunori says..."ブッキーは痩せすぎです!"
今回コメント&TBさせていただいた4本のうち3本まで
ハリウッド・リメイクが決定しているというのはスゴイ確率ですよね。
本当にハリウッドは引き出しが空になりつつあるんですねぇ・・・。
岡田将生くんについては私もElijahさん同様の印象を受けました。
顔が綺麗過ぎて役が限定されるんじゃ?と思っていたけれど
実にさまざまな役柄に挑戦していますよね。
若手の中でも残っていく役者だな、と思っています。

この作品のラストの祐一の行動は私もElijahさん同様の理解をしたのですが
(そしてその行動があまりにも平凡だったので私はガッカリしてしまったのですが)
必ずしもそういう解釈をした方ばかりではないというのを知ってちょっと面白くなってきました。
ある方が「もしかしたら祐一は光代を殺して自分も死のうと思ったのでは?」
と言っていて目からウロコでした。

それにしても「悪人」って一体何なんでしょう。
誰が何を基準にしてそう呼ぶのか・・・。
他人を「悪人」と言えるほど自分は「善人」なのでしょうか。
2010.10.07 21:09 | URL | #JalddpaA [edit]
Elijah(管理人) says..."sabunoriさん。"
sabunoriさん

今のハリウッドは安易に何でもリメイクしすぎだと思います。
この作品でのブッキーは確かに痩せすぎでしたよね。
大ファンの僕でさえ、今回の彼の裸に抵抗を感じてしまったくらいです。
岡田将生くんはこれからが楽しみな俳優となりそうですね。
次は時代劇『雷桜』ですよね。

>もしかしたら祐一は光代を殺して自分も死のうと思ったのでは?
↑この発想は僕には無かったです。
予告編を見た時に、最後は光代を殺して逮捕される結末は想像しましたが。
ラストシーンの祐一の表情。
僕は自殺を考えている人間が広大な地平線を眺めながら、
ああいう表情を見せないと思えたんですよね。
逆に“生きたい”と感じたのではないか、と。
彼の性格的にも人を殺めることはできても、自殺する勇気はないように思えましたし。

本当に『悪人』とはどういう意味なのでしょうね。
誰の心にも絶対的に“悪”は潜んでいると思います。
法律を犯していないからと言って、“善人”とは限らない世の中になってきていますし…。
きっと永遠に解けない問題なのかもしれないですね。
2010.10.09 13:46 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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悪人
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