告白。

告白
『告白』(2010)
※注意!ややネタバレしています※
●観た理由●
中島哲也監督の新作なので。
松たか子が出演しているから。
●豆知識●
主な登場人物。
【①森口先生(松たか子):娘を生徒に殺された女教師。
罪を犯して反省しない犯人に、想像を絶する方法で罰を与える。それはなんと…!?
②ウェルテル(岡田将生):新任の熱血教師。
一切空気を読まず、ありとあらゆる地雷を踏みまくり、生徒たちを翻弄する。
そして新たな事件が…。
③犯人Bの母(木村佳乃):殺人を犯した生徒・犯人Bの母親。
我が子を溺愛するあまり無実を盲信する。やがて恐るべき事態へと…。
④犯人A:成績優秀で模範的な優等生だったが、森口の娘を殺害。
事件後、いじめのターゲットになる。その犯行の理由とは…?
⑤犯人B:平凡で目立たない生徒だったが、犯人Aの共犯になり森口の娘を殺害。
事件以降、引きこもりとなるが…。
⑥少女A:犯人Bの幼なじみ。事件後、犯人Aに接触する。その真意とは…。】
●覚え書き:この映画を観て思ったこと●
『私の娘が死にました。
警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです。
…このまま終わりにはできない。』

思い出した映画は『完全犯罪クラブ』と『ブレイブ ワン』。
中島哲也監督の演出スタイルと映像の魅せ方、色合いがやはり好きだと実感。
今回はいつものPOP感を極力抑えた“ひんやり”とした映像で、
ストーリーに重きを置いた演出ぶりだった。
愛娘を自分が受け持つ生徒に殺された女性教師が今どきの未成年の心情(心の歪み)、
集団心理、行動パターンを巧みに利用して見事なまでに“復讐”を達成するまでの物語。
はっきり言うと観る人の道徳観や倫理観に関わってくる題材なので、
賛否両論は当たり前だと思う。
僕はこの用意周到な結末に“凄さ”を感じ、映画としての面白味を感じた。
恐らく、僕の今年の邦画№1になると思えるくらい。
松たか子は日本の女優の中でいちばん好きな人物。
…と言っても“舞台”の松さんが好きで、
TVドラマや映画の媒体の彼女は余り好きではなかった。
その理由は彼女の実力を十分に引き出した作品とは言えなかったからだ。
去年、映画館で観た『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』で、
ようやく彼女の素材を活かしきった作品と出逢えたと言える。
それくらい“舞台”上の彼女の演技は素晴らしいのだ。
そして今回の『告白』で更なる“女優”としての本領発揮を観られる機会を得た。
森口悠子という感情を表に出さず、内なる想いを秘めた役柄は正に打って付けだったと思う。
松さんはこういう役ほど、とても上手く演じるのだ。
映画が始まって30分近く、森口教師は淡々と生徒たちに“告白”していく。
最初はざわついていた生徒たちも彼女の口から発する言葉に耳を傾けていくようになる。
その光景はまるで“舞台劇”を観ている感覚に近かった。
意外にも松さんはこの“告白”後、スクリーンに登場しなくなる。
そう。この作品はひとつの出来事を複数の人物の違う角度から描いていく趣向だったのだ。
結局、松さんが再び登場するのは作品の後半部分だった。
実際のところ彼女の出演時間は106分中、60分弱といったところか。
それでもクライマックス直前の雨の中での慟哭シーンは真骨頂だった。
この演技を観ている瞬間は彼女が放つ演技力にゾクゾクせずにはいられなかった。
ラストの“復讐”を達成した際の表情は不気味な笑みを浮かべていた。
もはや、もう誰にも森口教師の復讐心を止めることは出来なかった。
いや、彼女の“憎悪”や“苦しみ”を止める権利は誰にもないのだろう。
全5章に渡る様々なエピソード=“告白”は最後にひとつのカタチとなって決着する。
登場人物、個々それぞれに想いを抱いていた事実が観客に突きつけられる。
僕は観ている間、ずっと心がざわついている感じだった。
すべての真実が明るみになった時に感じたことは、
ひとりの“子ども”を育てるということにどれほどの重みがあるのかということだった。
適度な愛情と育てる環境がとても大事なことなのだと改めて気づかされる。
命の大切さを教えるのも親の務めなのだ、と。
観終わった後、覚悟していたほどの“重さ”を感じることはなかった。
それは中島監督が持つ表現力のさじ加減の巧さと、
登場人物たちが取った行動を“全否定”することが出来なかったからだと言える。
“歪んだ”社会への想いと“虚しさ”は遺ったけれど。
『これが私の復讐です。本当の地獄…
ここから、あなたの更生の第一歩が始まるんです。なーんてね。』

●満足度●
★★★★★

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6 Comments

sabunori says..."観ごたえありました"
Elijahさん、こんにちは。
結末に関しては賛否両論、でしょうね。
私としては1人の人間をここまで鬼にしてしまったことの恐ろしさを知りなさい!と
犯人に言いたいですが。
おっしゃる通り見終えた後の重さがそれほどではなかったのは
監督の演出、映像によるところが大きいですよね。
多分原作はもっと気分が重くなりそうな気がします。
2010.06.09 13:41 | URL | #JalddpaA [edit]
Elijah(管理人) says..."sabunoriさん。"
sabunoriさん

※注意!ネタバレしています※
こんにちは。
とても見応えのある作品でしたよね。
観終わった後は、一緒に観た友人とあれこれ語らずにはいられなかったです。
僕は登場人物の誰にも共感はできませんでしたが、
でももし自分が森口悠子の立場であれば、
同じように犯人がいちばん愛するものに制裁を加え、
とてつもない苦しみを与えたように思います。
観終えた後の重さの軽減は、先の友人も言っていたのですが、
特定の人物ひとりだけが悪いという結末ではなかったからだと思えます。
重さ=事件に対する責任が上手い具合に分散していたと言うか。
僕も湊かなえさんの原作小説を読んだことはないのですが、
中島監督は基本、忠実に映像化しているようですね。
活字の方が生々しいかもしれませんね。
2010.06.09 15:04 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
Jasmine says..."No title"
こんばんは。
日本映画としては衝撃的な作品でした。
心理描写の描き方は上手かったし、観ている方にも
緊張感が伝わってきて、なかなか面白かったです。
淡々と語る松 たか子は怖かった。
TBさせて頂きました。
2010.06.27 23:49 | URL | #zF.Cle0A [edit]
Elijah(管理人) says..."Jasmineさん。"
Jasmineちゃん

こんばんは。コメントとTBありがとう。
うん。昨今の邦画の中では画期的というか衝撃的な作品だったよね。
鑑賞中は固唾を呑んで、ただ静かにスクリーンを見続けている感じでした。
松たか子は淡々と語る上に、ほぼ無表情だったので尚更不気味に映っていたなぁ。
2010.06.28 01:13 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
Cuomo says..."No title"
王子、はろ~!

お伺いするのが遅くなってしまってスイマセン(>_<)
王子の記事を読ませてもらって、僕の不思議な感覚になった謎が解けたような、何だか納得するものがありました。ココロがスッキリ。
確かに『完全犯罪クラブ』をふと思い出しますよね~。
今回の松さんは怖かった~。
でも、彼女の復讐には賛成だったり。

TBしますのでよろしくです♪
2010.07.26 23:45 | URL | #ncVW9ZjY [edit]
Elijah(管理人) says..."Cuomoさん。"
Cuomoくん

Hello!ようこそ♪
初TBありがとう!FC2はすっかり使い慣れたかな??笑
僕の記事を読んで少しでも謎が解けたり、
納得できたのであれば書いた甲斐があったと思えます。
“ココロがスッキリ”とまで言われた日には、なんかお礼をしないといけないね。笑
Cuomoくんも『完全犯罪クラブ』を思い出してくれたんだね!
多くの人は『リリィ・シュシュのすべて』を思い出すと言ってたんだけどね。
それにしても今回の松たか子嬢は怖かったでしょ!
普段のTVドラマやCMのイメージとはかなり違うからね~。
本来の実力が見られたファンとしては嬉しかったけどね。
僕も今回に限っては、森口先生の復讐には賛成だよ。
2010.07.27 17:56 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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