SAYURI(アメリカ)

【絢爛 無垢 毅然】

なぜ、日本人でない俳優が!?
なぜ、全編日本語でない!?
そう思ってる人がいるかもしれない。
でも今の日本の映画界でこの作品を映画化できる程の基盤が果たしてあるのだろうか?
そう考えると、今回の映画化は致し方ないと思う。
アジアのオールスター共演物だと思って見るべし。

結論から言えば、これはアメリカ人から見た日本版『あしながおじさん』=寓話だ。
時代考証を始めとする摩訶不思議な日本。
芸者、花魁、歌舞伎ごちゃ混ぜとくる。
もうそこを日本と思わなければ、十分に楽しめる作品に仕上がっている。
宮尾登美子作品が好きな人なら、きっとハマると思う。

『シカゴ』のロブ・マーシャル監督らしい煌びやかな映像。きめ細かい演出。
そして、特筆すべきなのが音楽。
名匠ジョン・ウィリアムズの旋律に、
ヨーヨー・マのチェロとイツァーク・パールマンのヴァイオリンが奏でられる贅沢なコラボレーション。
これを聴くだけでも相当に価値はあると思う。
ウィリアムズとパールマンは名曲『【シンドラーのリスト】のテーマ』のコンビでもある。

タイトルロールを演じるのは中国出身のチャン・ツィイー。
清楚さ可憐さ気の強さ…全てを兼ね備えた渾身の演技。
どうも苦手な女優だったが、少し見直した。
会長役の新潟県出身の渡辺謙。
どうしても『ラストサムライ』の謙様と比べてしまう。
今作では胸に秘めた想いがある内省的な役柄を、
そつがなく演じているのだけどどうも印象が薄い。
豆葉役のマレーシア出身のミシェル・ヨー。
横から見ると怖いくらい薄っぺらい体型。役柄は強いと見せつつ、真意は…やはり女だった。
延役の長崎県出身の役所広司。
謙ちゃんに比べると、役柄のウェイトはまだまだ。気づけば出番が終わってた…。
もともと、『ラストサムライ』の第一オファーは彼だっただけに無念の共演となるのか!?
おかあさん役の東京都出身の桃井かおり。
この人はどこの国でも演っていけるだろう。それくらい、どっしりと構えた演技ぶりだった。
おカボ(英語名はパンプキン)役の東京都出身の工藤夕貴。
英語の発音は、はっきりくっきりで聞き取りやすかったけれど、
後半の変貌してからは松田聖子にしか見えなくて…(笑)。
初桃役の中国出身のコン・リー。
今作がハリウッド・デビューとなる。
彼女の役柄がこの作品でいちばん印象に残った。
正に、この時代と場所を象徴する嫌な女を見事に演じきっていた。
思うがままに生き抜く姿が逞しくもあり、妬ましくもあって。
さゆり(少女時代)役の神奈川県出身の大後寿々花。
『北の零年』で謙ちゃんの娘役を演じ、
その演技力に感銘された彼がハリウッドへ推薦したという。卓越した演技ぶりはお見事。

女の情念。エゴ。強かさ。
もっとも醜く凄まじい部分をこの作品では描いている。
ボーイズ・オン・ザ・サイド。
正に女だけの世界=戦い。

長く思われるはずの146分という上映時間はアッという間だった。
置屋、水揚げ、身請け…専門用語がたくさん出てきて興味深くもあり。
ほんの少しばかり、【芸者】というものに興味をもつ。

唯一、文句をつけるなら、
全編英語にするのだったら中途半端に日本語を用いず英語onlyで貫いてほしかった。
『もしもし』、『乾杯』etc.…
その日本語を聞いただけで、ファンタジーの世界観から目が覚めてしまうからだ。

20051211231354.jpg

梅田ピカデリー/奥野

金券ショップ1200円→1300円

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2 Comments

ree says..."いつの間にか…"
シークレットトラックのごとく、アップされてる
や~ん! 見逃すとこだったわ。
クムジャさんと違って、こちらは視点がばっちし
似てて少し安心しました…
一緒に見に行ってたらわかり合えた気がします。
日本文化に執着し過ぎてる(もちろん重要だけど)
見方も多いけど、そこだけが映画のポイントじゃ
ないって容認派だったとことか。
でも中途半端な日本語はやめて!って不満は
まさに同感!でしたわ。
あと、会長さん=「足長おじさん」!て思ったよね。

イライジャさん、実はチャン苦手だったのね。
私はカワイコちゃん大好きだから。
カワイイだけじゃなく、イライジャさんは苦手
だった「2046」での彼女のトニーに対する
痛々しいほどの切ない気持ちや、マギーや
コン・リーの大人の色香には及ばないけど、
小悪魔な魅力にドップリハマった派でしたので。

工藤夕貴に対する印象は真逆でしたが。
松田聖子か…可哀相。
確かにあの熟練した役者陣の中ではちょっと
浮いた感じで(2046のキムタクみたい?)、
売春婦に成り下がった彼女がカラ元気に
振る舞う姿に痛々しさはあったかな。
でも、彼女ってシリアスなのよりバカっぽくて
明るい方が似合ってて可愛いらしいと思うな。

しかし視点が似てても、イライジャさんの文章
はまとめ方や文章がうまいよね。
たくさん感じた事や書きたい事あっても、
うまくまとめ切れず、稚拙な散文で恥ずかしくなってくるよ。
でも思った事は出来るだけ省かず残すように
してる。

鑑賞直後はそれ程でもなかったんだけど、
パンフ買って見てたら、出来上がりより監督や
役者陣の情熱を感じて、少し見方変わった。
昔はほとんどパンフ買ってたけど、ここ数年は
見て良かったものやパンフとして残しておきたい
タイプの買ってて、今回買おうか迷ったけど
やっぱ作品だけでは表現しきれなかったもの
が見れていいね。
もちろん、パンフで補って作品で表現出来て
ないのは作品として表現不足でダウトなんだ
ろうけど。
2005.12.20 01:44 | URL | #- [edit]
Elijah says..."reeさんへ。"
チャン・ツィイーは性格悪そうなイメージがあって。強かというか…なので、ちょっと苦手でした(汗)。
でも、見たい作品に出てるから否応なしに彼女の出演作は見てた(笑)。

工藤夕貴は別に演技がどうのこうのとかじゃなくて。
単に変貌後の彼女の身振り手振り話し方が、アメリカ被れしていた一時の松田聖子にそっくりだったという…(笑)。

BLOGの記事。
僕も思った事は、できるだけ省かずに書くようにしてる。
下書きして何度も読み返して校正して。
だから、UPするまでにちょっと時間が掛かるんだけど(笑)。

パンフレットはいちばん外せないmyアイテム。
見ない作品でも、毎週土曜の公開日は映画館をハシゴして買いに行くのが僕の習慣。
この人、ブレイクしそうと思ったら、とりあえず買っておいたり(=青田買い)。
なので、ほとんどの作品のパンフは映画を観てから買うというコトはないな。
好きな俳優さんとかはパンフ専門店で通販で取り寄せたりするし。
オードリー・ヘップバーンとかクラシックな俳優さんも入手できる限り、全作品コレクションしてるよ。
なので、部屋中、パンフだらけです(笑)。
2005.12.23 15:27 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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