「カティンの森」事件。

カティンの森
『カティンの森』(2007)
●観た理由●
もともと気になる存在の作品だった。
先月観た『誰がため』の歴史的背景を調べていく内に辿り着いたというのもある。
その流れで日本版予告編を見て、観ることを決意。
●豆知識●
『カティンの森』事件とは──。
【ナチス・ドイツのヒトラーとソ連のスターリンの密約によって、
ポーランドは1939年9月1日ドイツに、9月17日ソ連に侵略された。
そしてソ連の捕虜になった約15,000人のポーランド将校が、
1940年を境に行方不明になった。
当初は謎とされていたが、1943年春、ドイツがソ連に侵攻した際に、
カティン(旧ソ連領)でポーランド将校の数千人の遺体を発見し、
「カティンの森」事件が明らかになった。
ドイツはソ連の仕業としたが、ソ連は否定し、ドイツによる犯罪として糾弾した。
戦後、ソ連の衛星国となったポーランドでは、
カティンについて語ることは厳しく禁じられていたが、
1989年秋、ポーランドの雑誌が、虐殺はソ連軍によるものであると、その証拠を掲載。
翌1990年、ソ連内務は内務人民委員部(後のKGB)による犯罪であることを認め、
その2年後、ロシアのエリツィン大統領は、
スターリンが直接署名した命令書によって行われたことを言明した。】
映画ではこの事件を基にポーランド将校と
帰還を待ち侘びるその家族たちに焦点をあてて描いていく。
●スタッフ●
監督は自身の実父がこの事件の犠牲者でもあるアンジェイ・ワイダ。
昔から監督名と作品名は知っていたものの、彼の映画を観るのは今回が初めてとなる。
鑑賞後、多くの経験や想いを抱えて生きてきたワイダ監督だからこそ、
活きるリアリティと力量を感じずにはいられなかった。
一切、無駄のない演出が反って強烈なインパクトとなり心に響く。
●キャスト●
ポーランド俳優による演技で、誰ひとり知っている俳優はおらず。
それが功を奏し、まるでドキュメンタリーを観ているような感覚に陥ったので、
むしろ知らなくて良かったと思えた。
アンナを演じたマヤ・オスタシェフスカはローラ・ダーンに、
イェジを演じたアンジェイ・ヒラはダニエル・クレイグに似ていると思った。
●印象に残ったシーン●
終盤で淡々と次々に映し出されていくソ連軍によるポーランド将校たちの虐殺場面。
観ているだけで血の気が引いていくのを身体で感じる。
ポーランド将校ひとりひとりが口にする最期の言葉は、神への祈り。
この無残な場面を観ながら僕は【神】というのは
一体、何のために存在し、何を意味するのだろうと強く疑問を感じてしまった。
ラストカットの眩い光と虐殺された将校のひとりが握るロザリオ。
静寂と美しさの中に大きな哀しみが混在する何とも痛切な場面だった。
ラストカット後、しばらくスクリーンに何も映らないまま沈黙が続く。
それは虐殺された犠牲者への黙祷と平和への祈りを意味するもののように映った。
●この映画を観て思ったこと●
僕の中でポーランドのイメージはいつもどこか物悲しく寂しいものがあった。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所が
存在していたことも大きな要因になっていると思う。
ナチス・ドイツだけではなく、ソ連にも虐げられてきた国なのだと今更ながら知る。
それだけではなく、第二次世界大戦が終わった後もソ連により苦しめられてきた国…。
戦争から生まれるものは本当に何もないのだと改めて痛感する史実だった。
微妙にニュアンスが違うかもしれないが、今回の事件を知ったことで
日本人が未だに一部の中国の方や韓国の方に忌み嫌われる理由が
少し理解できたような気がする…とても哀しいことだけれど。
【映画】はやはり僕にとって、人生と歴史の教科書でもあるのだ。
●満足度●
★★★★★

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