ミニシアター系MOVIE。

※注意!以下、ややネタバレ気味です※
a.『扉をたたく人』(2007)
扉をたたく人
映画の中で描かれる題材よりも、
まずタレク役のハーズ・スレイマンに興味を持ったので観に行った。
生涯のBESTに入る『パラダイス・ナウ』と同じく、
僕はどうも中近東出身の男優に惹かれるものがあるのだ。
妻に先立たれ人生を惰性で生きている、
初老の大学教授ウォルター・ヴェイル(演じるのはリチャード・ジェンキンス)と
米国に不法滞在するシリア出身の移民青年タレクとの心の交流を描いた物語。
邦題は的を射ていて、なかなかNICEだと思えた。
9・11テロ以降、移民希望者や不法滞在者に対する、
米国:ニューヨークの対応が厳しくなったことを痛感した。
クライマックスでウォルターが『人をこんなふうに扱っていいのか。あんないい青年を。
こんなの間違ってる。我々はなんて無力なんだ』と叫ぶ言葉が胸に突き刺さる。
僕にとって失望作である『路上のソリスト』とは違い、
【善意】を押しつけがましくなく描いているところに素直に好感が持てた。
全編静かに描きながら、確実に心へ訴えてくるものがあり沁み入る作品だった。
人は愛する者や友人と再会できることが判っているからこそ、
笑顔で相手を見送ることができるんだと、
この作品を観てそれがとても幸せな立場なんだと思えた。
改めて音楽が国境や人種や年齢を超えて、
人々の心を平和へと導く力があることを強く感じた。
ラストシーン。地下鉄のホームでジャンベを叩くウォルターの音からは、
これまでのいろんな想いや叫びが力強く伝わってくるようで切なかった。
満足度:★★★☆

b.『ディア・ドクター』(2009)
ディア・ドクター
今回、記事にした3本の中でいちばん印象に残る作品となった。
衝撃を受けた『ゆれる』の西川美和監督の新作だったので気にはなっていたけど、
どうも強く惹かれるものがなくて。
でも周りの評判が良かったので結局、観ることにした。
美しい田園風景の中、描かれていたのでとても目に優しい映画だった。
物語の流れ方も静かで丁寧だし、的確な作風だったと思う。
ただ、あのラストだけはどうも好きになれなかった。
それまで描いてきたすべてをぶち壊しにしたように思えたから。
あれじゃあ、ファンタジーになってしまうよ。
僕的には、笑福亭鶴瓶演じる伊野治が
電車のホームで消えるところで終わってほしかった。
まぁ、そうすると確実に『ゆれる』の終わり方と被っただろうけど。 
西川監督はこの作品で過疎地における医療の現状云々よりも、
現代人に潜む【フェイク】を描きたかったんだろうかと感じた。
周りの人からこう見られたい自分と現実の自分との埋めようのないギャップ。
究極の本音と建前というか…。
人は自分が安心したいが為に、
相手に対して自分のイメージ像を作り上げて押し付けることがあると思う。
その相手のことを自分が誰よりも理解して知っているという自惚れみたいな感覚。
そういう人間の本質的な心理を、この作品で描いているように僕の目には映った。
僕自身も含め、周りの友人たちには医療従事経験者が多い。
だからこそ余計に、都会の総合病院で入院生活を送りながら闘病するのが、
果たして家族や患者さんにとっていいことなのかも考えさせられた。
八千草薫演じる鳥飼かづ子は、
あのまま畑でお芋を作っていた方が確実に幸せだったんじゃないか、と。
この一件で、必ずしもウソをつくということが悪い訳ではないと思えた。
僕の元カレは井川遥演じる鳥飼りつ子と似たような立場に居る人間なので、
彼にも観てもらい意見を聞いてみたいとさえ思ってしまった。
いちばん印象に残ったシーンは、喫茶店で香川照之演じる斎門正芳が
松重豊演じる刑事の前でわざとイスから倒れた後に言う台詞。
僕はここが、この作品の【核】なんだと感じた。
ほかには、村の若い男性が気胸になったシーンで
余貴美子演じる大竹朱美がすべてを見据えた上での適切な対応に、
なんとも言い難い人間の本質を垣間見た気がして背筋がゾクゾクとなった。
最後に敢えてミーハー的な感想を言えば、
冒頭で大好きな瑛太くん(相馬啓介役)の上半身裸を観られてキャアキャアキャア。
…と言う訳で(笑)、ラストシーンを除けば好きな映画かな。
満足度:★★★★

c.『サンシャイン・クリーニング』(2008)
サンシャイン・クリーニング
日本版チラシで『「リトル・ミス・サンシャイン」チームが再び集結。』と謳われているけど、
実際には監督&脚本家は違うので、余りその点を意識して観ない方がいいと思う。
全体的にオフ・ビートな作品だったので、
その雰囲気に僕は地味な印象しか残らない、
『ウェイトレス ~おいしい人生のつくりかた』を思い出した。
題材と着眼点はユニークでとてもいいのだけど、
肝心のストーリーや人物描写がすべて中途半端に終わっているので、
せっかくの設定が勿体無いと思えてしまった。
どのエピソードも共感するところや説得力がなくて、
感動するどころか『ふーん、そうなんだ』的にしか感じなかった。
敢えて『リトル・ミス・サンシャイン』と比較するなら、
この作品は人生の辛酸を描きつつも突き抜けるような明るさがなかったので、
ただただ気が滅入るエピソードが多いだけに終わってしまったように思える。
人生の負け犬:負け組(個人的にはキラいな言葉)家族に、
もう少し笑いと希望を与えてほしかったかな。
お目当てだったエイミー・アダムス(姉ローズ・ローコウスキ役)&
エミリー・ブラント(妹ノラ・ローコウスキ役)は人生のくたびれ感が出ていて、
今回は非常に地味な役どころだった。
そのせいもあって、2人ともどうも魅力的に感じなかったなぁ。
もちろん、それだけ役に成りきっていた訳だけど。
いちばん印象に残ったのはグランパ役のアラン・アーキンではなく(笑)、
ウィンストン役のクリフトン・コリンズ・Jrだった。
久しぶりに善人役の彼を観た気がしたけど、
もう少しローズとの絡みを膨らませたらストーリーにメリハリあっただろうに。
ラストはノラが姉ローズから自立するのではなく、
家族の再出発として【サンシャイン・クリーニング】号を手助けしてあげてほしかった。
家族からの自立と自覚の意味合いをどこか履き違えているように感じたんだよね。
監督のクリスティン・ジェフズは好きな『シルヴィア』を撮った人だったので、
ちょっとは期待していたんだけどなぁ。
すべてにおいて物足りなさを感じてしまう作品でした…残念。
満足度:★★★

関連記事
スポンサーサイト

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://eplace.blog19.fc2.com/tb.php/811-958a37fd
該当の記事は見つかりませんでした。