黄金の花。

王妃の紋章王妃の紋章②
『王妃の紋章』(2006)
中国、香港、台湾圏で好きな監督と言えばウォン・カーウァイ。
好きな俳優はトニー・レオン、金城武、ダニエル・ウー、チャン・チェン、ジョセフ・チャン。
中国映画はどうもお堅いNHK教育TV的な作風を感じて苦手だったりする。
香港映画の扉を開いてくれたのはウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』。
台湾映画の良さに気づかせてくれたのは生涯のBESTにも入る『藍色夏恋』だった。
『王妃の紋章』は公開当時、映画館で観ようか迷ってスルーした作品。
ようやくWOWOWでO.A.となったので見ることにした。
チャン・イーモウ監督の作品を観たのは、実は『HERO』だけ。
独特の映像美に酔いしれた記憶がある。
とにかく!今作の豪華絢爛で煌びやかな世界観に圧倒された。
シーンのひとつひとつに徹底的な拘りが見え、
残酷に映る戦闘描写でさえも様式美を感じてしまう。
何もかもが美しく見えるその世界観に、ただただうっとりとさせられた。
あの渡り廊下を一度でいいから優雅に歩いてみたくなる。
チョウ・ユンファは正直、あまり得意ではない俳優だけど、
今回の憎々しい国王役は貫禄十分で凄味がありとても似合っていた。
コン・リーもどちらかと言えばあまり得意ではない女優さんだったけど、
『SAYURI』を観て以来、その表現力の豊かさに彼女への印象が変わった。
今回の王妃役も圧倒的な存在感と演技力で魅入ってしまう。
コン・リーの持ち味である勝ち気な部分は、
故五社英雄監督の世界観にもハマるような気がする。
チョウ・ユンファ&コン・リーは正しく国王と王妃の素質十分にありで、
この二人が登場するだけで画面が引き締まる感じがした。
国王の子息三兄弟の中で僕がいちばん惹かれたのは、
次男・傑(ジエ)王子役のジェイ・チョウだった。
役柄的にもいちばん共感することができる人物。
ただ、もう少しだけ彼の背が高かったらもっと魅力的だったと思うと残念。
なんて言うのか…衣装を上手く着こなしているのではなく、
衣装に着せられているように感じる時があったから。
演技的には長男・祥(シャン)王子役のリウ・イエが印象に残った。
僕は彼の出演作では『小さな中国のお針子』しか観たことがないけど、
演技力に関してはずば抜けて素晴らしかったと思う。
所作や佇まい、表情だけでその役の性格が的確に伝わってきたから。
今回、リウ・イエの風貌がCHEMISTRYの堂珍嘉邦に見えて仕方がなかった。
10世紀の五代十国時代の中国を舞台にした物語はウィリアム・シェイクスピアの
『マクベス』と『リア王』辺りの四大悲劇を下敷きとしているように感じた。
敵の裏を掻いたつもりが、敵はそれ以上だったという…陰謀と欲望の凄まじさ。
嫉妬や憎悪ほど人の平常心を奪うものはないと言える。
こういう作品を見て毎回思うことは、
王室の醜い争いに巻き込まれた一市民がいちばん迷惑を被っているということ。
生命を引きかえにしてまで…あまりにも哀しすぎる。
【金】と【銀】の戦いが終わった後、
何事もなかったかのように黙々と処理していく宮廷内の人たち。
その姿に、臭いものには蓋をしろ的なものを感じて少し怖くなった。
王妃はあの後、生きる屍となってしまったのだろうか…。
この映画を迫力あるスクリーンで観なかったことを少し後悔した。
ちなみに僕は金色と銀色ならば、断然【銀色】の方が好きです。
王妃の紋章③←英語圏ポスター。

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6 Comments

sabunori says..."豪華絢爛、阿鼻叫喚"
Elijahさん、こんばんは。
ふふふ、この作品をご覧になるとは・・・。
やはりできることなら大きなスクリーンで豪華絢爛、阿鼻叫喚の世界を味わっていただきたかった!
金金金金、赤、ピンク。
悪趣味極まりない豪華絢爛な色の洪水の中で繰り広げられる愛と欲望まみれの世界。
私は大好きな作品です。
戦いで血の海になった場所を水でササーッと洗い流し、花の鉢をバンバン置いて
まるで何もなかったかのように片付けていくシーンはなんとも言えない気持ちになってしまいました。
>王室の醜い争いに巻き込まれた一市民がいちばん迷惑を被っているということ
本当にそうだと思います。
それにしても私が一番怖かったのは三男でした・・・。
2009.06.16 22:22 | URL | #JalddpaA [edit]
Elijah(管理人) says..."sabunoriさん。"
sabunoriさん

こんばんは!
ははは、遂に見ちゃいました。
そうなんですよー、始まってすぐくらいに
これは映画館で観ておくべきだったと気づきました。
本当に色鮮やかな世界でしたよね!
僕は意外とその色彩を悪趣味とは思わなくて、
むしろ心地よくなってました。←麻痺。笑
僕もお気に入りの一本となりましたね。
確かに宮廷内の人たちが一斉に片付けていくシーンには言葉を失いましたね。
集団で無関心を装う怖さみたいなものを感じました。
三男・成(チョン)王子はシーンごとに意味深な顔立ちで出てきていたので、
絶対に何かしでかすと思っていたら、案の定…
現代の若者にも通ずる歪んだキレ方でしたね。
僕がいちばん怖かったのはやっぱり絶対的な立場の国王でした。
あ、リウ・イエの演技を見て、益々『藍宇(ランユー) 情熱の嵐』が見たくなりました!
2009.06.17 01:05 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
maxi says...""
こんにちは。わー、うれしいな。Elijahさんのところでジェイの名前を見るとは!
実は私、OASISの音楽が好きなのと同じくらい、次男役を演じたジェイ・チョウの音楽が好きなんです。
このWOWOWの放送ではエンドロールに流れる彼の曲『菊花台』がカットされていたと聞きました。絢爛豪華な愛憎劇の最後に、一服の涼のように流れるこの歌があってこそ映画は完成するのに~。
MVがあるので是非! こちらがURLです。
http://www.youtube.com/watch?v=b3Gb69rVZ9Y

ちなみに、ジェイ・チョウが監督主演、『藍色夏恋』(私も大好きです!)のグイ・ルンメイがヒロインを演じた『言えない秘密』が7月17日にWOWOWで放送されますので、こちらも是非! ルンメイの透明感のある美しさが際だつ、ファンタジックなラブストーリーです。

と、押し売りの連発で失礼しました!(笑)
2009.06.17 12:14 | URL | #hUL/1QHA [edit]
Elijah(管理人) says..."maxiさん。"
maxiさん

こんにちは!
実はジェイ・チョウが出演者のひとりだと知った時、ふとmaxiさんを思い出しました。笑
彼が歌う『菊花台』はカットされていたんですね!
エンドロールでテーマ曲と彼の名前の表示があったのに流れた記憶がなかったので、
本編では流れないイメージソングのことなのかなぁ?と思っていたところだったんですよ。
…これで納得です!
早速、聴かせて貰いましたが、
確かに愛憎劇の後に流れると心和まされる感じの曲ですね。
彼の歌声とメロディを聴いた後、ふと森山直太朗の曲を思い出しました。
WOWOW側はなぜカットしたんでしょうね。
ちなみに僕はMVの3分55~58秒のシーンがお気に入りです♪

おっ!maxiさんも『藍色夏恋』が好きなんですね!
爽やかな青春物で良かったですよね。
僕はこの時のチェン・ボーリンにひとめ惚れしちゃいました。笑
『言えない秘密』はmaxiさんのBLOGで宣伝されていたので(笑)、
CHECKしようと思ってましたよ♪
ジェイ・チョウは監督まで出来るとは、多才な人なんですね。
2009.06.17 16:54 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ヒデ says...""
『王妃の紋章』 は昼ドラみたいなドロドロの愛憎劇てんこ盛りの作品だよね。
昼ドラとの違いは、役者の質はもちろん(笑)、絢爛豪華なセット&エキストラの数。
中国という国の底力を感じるなー。

毒に侵され今にも死にそうなコン・リーが、チクチクと刺繍をしていたけれど、
何を作っていたのかが明らかになる終盤の場面は鳥肌が立つほど怖かったス。
イラ君のレビューを読んで、ストーリーはともかく(汗)、
あの映像美が断片的に蘇えってきました!
2009.06.18 11:00 | URL | #IOg9bXQk [edit]
Elijah(管理人) says..."ヒデさん。"
ヒデさん

僕は格調高い文芸作品に思えました。
本当に歴史がある国の底力を見せつけられたような気がします。
もし、あのセットが今でも現存するならば見学に行きたいくらいですね。笑
王妃の命をかけた執念は結局、結実することはなかったですけど、
凄いものがありましたよね。
邦題の意味もこれでようやく理解できました。笑
豪華絢爛な映像を見るだけでも、十分に楽しめる作品ですよね。
2009.06.18 12:49 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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