親切なクムジャさん(韓国)

【最後の復讐が、一番哀しく、美しい。】

パク・チャヌク監督による復讐三部作の完結編。
三部作と言っても、物語に関連性はない。共通するものは、【復讐】のみ。
今作のキーアイテムは、豆腐とケーキだった。

まず、復讐シリーズに出ていた主要キャストの豪華なカメオ出演にワクワクする。
僕の今年の年間ベスト5入りが確実となってきた
『復讐者に憐れみを』↓のソン・ガンホ、シン・ハギュン。ペ・ドゥナはどうも出てないようだ。
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『オールド・ボーイ』↓のユ・ジテ、カン・ヘジョン。
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特にヨンエとジテの共演は、『春の日は過ぎゆく』以来4年振りのコラボとなるので、
妙なサプライズだったりする。

幼児誘拐殺人の罪を着せられ、13年間投獄されたイ・クムジャが服役中、
綿密に計画した復讐方法。
それはかつての刑務所仲間たちさえも利用して。

作品の出来はというと、前2作と比較すると至って大人しい。
前2作の強烈さと痛々しさを考えると、【美】を追求して描かれているように見えるし、
後々考えると今作の復讐者は単独行動ではないので、ちょっと趣旨が変わってくる気もする。
13年間の【服役】は、
『オールド・ボーイ』の15年間の【監禁】と比べるとまだまだ恵まれているように思えた。

そのクムジャさん役のイ・ヨンエ。
TVドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』のイメージを覆すものが確かにあった。
でも、やっぱりどこか綺麗さが残されていて。
アッと驚かされるような度肝を抜く演技はしていなかったと思う。
その辺りで、今ひとつ、クムジャの心の苦しみや葛藤が伝わってこなかった気がする。
内面が不透明で、常に仮面を被っているように見えた。

今作では復讐される側のチェ・ミンシク。
ほとんどセリフがない中、表情だけで演技を披露する。
出てきただけで、作品が引き締まるのは流石だ。
幼児相手に歌うシーンは今までに見たことがない笑顔で可愛かったな(笑)。

白(=贖罪)と赤(=犯罪)を基調とした美しい映像。
言わば、チョン・ジョンフンの撮影は究極のアートだ。
凝った美術が本当に素晴らしい。
ここが、この作品のいちばんの見せ所であって、いちばん印象に残る。

物語の顛末が、『オリエント急行殺人事件』を彷彿させるものがある。
その雰囲気は、横溝正史が描く『金田一耕助』シリーズぽかったりする。
なので、僕はクムジャさん母娘のエピソードよりも、別の家族のエピソードに涙した。
クムジャさんはその【代表】であっただけで、本当の悲しみは彼らにこそあったのだと言いたい。
そして、僕がいちばん望む【タブー】な事がその顛末で描かれていた。
初めてヴィジュアルで見たような。そのシチュエーションに不謹慎にも胸が高鳴る。
もし、いつの日か僕から晩餐会の招待があれば、
【それ】を実行していると思って心して来て下さい(笑)。

思うに、三部作の一本として見れば、印象は少し薄くなるかもしれない。
根底に流れるカタルシスは間違いなく、この三部作に共通しているものがあるけど。
クムジャさんに対する脚本が少し弱かったかな。
劇中挿入されるナレーションは効果的で、最終的には意味があって納得させられたけど。

それでも観終わった後、なぜか心が浄化されたような思いがした。
ラストシーンのクムジャさん同様、真っ白な気持ちになれた。

余談。
この映画、2回観るハメになった。
1回目の時、韓国語で延々としゃべりながら見る
2人組のアジュンマがいて集中して観れなかったから。
韓国では映画館でしゃべりながら観るのが習慣みたいなので、これには参った。
期待していた作品だったので、どうしても環境のいい中、
見直したかったので、2回観た次第です(笑)。

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ナビオTOHOプレックス/奈良ちゃん(1回目)
動物園前シネフェスタ4/単独(2回目)…2005/11/14 19:25

前売り券1500円(1回目)
男性サービスデー1200円(2回目)
→1350円

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2 Comments

ree says..."う~ん"
やはり見に行きたくなりました。
韓国映画は数本しか見た事ないしバイオレンスものはあまり見ないけど、「オールド・ ボーイ」
はインパクト大だったし、チェ・ミンシクは
カッコいいと思った。
主演女優さん=クムジャさん、色白でキレイな人だね。
でも韓国人とゆーより北朝鮮にいそうな純朴で
古風な美女ってイメージ。

韓国映画って「タブー」要素が前面に出し、感情表現激しい印象が。
映画だけでなく、日常的な面でも(ワイドショー
での現地ニュースとか)同様に。

脱線しますが、「サマリア」って見ました?
あれちょっと興味あって、不謹慎かもしれない
けど…面白かった?

2005.11.26 03:35 | URL | #- [edit]
Elijah says..."reeさんへ。"
やはり観たくなりましたか(笑)。
イ・ヨンエは確かに韓国女優の中でも美しいと思う。
韓国では、『酸素のような』イメージを持たれてます。

韓国映画…作品によりけりだけど、基本的には感情表現が激しいと思う。
だから、気持ちを酌むのは判りやすいかな。
日本と違って、まだ慎ましさが残された国だから、あえて『タブー』な事が目立つんだろうね。

『サマリア』は興味はあったけど、見逃してしまいました。
この作品の監督のキム・ギドクはかなり個性的で嫌悪感を示す事が多いんで、ちょっと苦手なんだよね。
女性蔑視に思えるシーン多いし。
2005.11.27 15:42 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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