Q.3人目の三銃士の名前は?

Slumdog Millionaire
『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)
※ネタバレに敏感な人は注意!※
●観た理由●
僕の今月本命4作品の内、2作目。
第一に、好きなダニー・ボイル監督の新作だから。
第81回アカデミー賞作品賞受賞を含む8部門受賞作だから。
●豆知識●
もともとアメリカでは劇場公開されずDVDスルーされるはずだったこの映画を、
良質な作品を提供し続けるフォックスサーチライト社が配給を請け負いました。
その決断はご覧の通り、見事な結果に!
●スタッフ●
『ミリオンズ』辺りから作風が変わり始めたなぁ…と感じていたダニー・ボイル監督。
今回の演出は『もうお見事!』としか言いようがないくらいPERFECT!
社会性に富んだ作品でありながらエンターテインメント性も十分に含んでいて、
思い存分、考えさせられ楽しむことができました。
舞台は変われど、あの疾走感溢れる映像はどの場所でも変わらない!
どうかユアン・マクレガーと仲直りして、『トレインスポッティング ポルノ』を撮ってほしい。
大好きな撮影監督のひとりであるアンソニー・ドッド・マントル。
彼の映像は本当に美しい。ちょっとセピアがかった粒子の色合いはもうタマりません。
もちろん、サイモン・ビューフォイの脚本も素晴らしかった。
編集のクリス・ディケンズのテクニックも凄い!
クライマックス。車の中で携帯電話が鳴るカッティングにハラハラドキドキさせられました。
随所に流れるインド音楽も本当にどのシーンにもぴったりでした。
観終わった後は、主題歌が頭の中でグルグル回っています。笑
…アカデミー賞8部門
(作品・監督・脚色・撮影・編集・録音・作曲・主題歌)受賞も大いに納得!
僕的にはかなり久しぶりに作品賞がアカデミー協会と(意見が)合致した気分。
恐らく、これは第71回の『恋におちたシェイクスピア』以来かな。笑
●キャスト●
全員知らない俳優さんばかりでした。
青年になったジャマール・マリク役のデーヴ・パテルの真っ直ぐな演技が良かった。
ジャマールのブレのない心情が見事に伝わってきていたから。
幼少期のジャマール役のアーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカールの
無邪気で愛くるしい瞳が可愛い。
●印象に残ったシーン●
ジャマールが糞塗れになりながら、アミタブ・バッチャンにサインを貰うところ。
あの凄い状況でニコニコしながらサインを貰う前向きな姿に笑った。
しかも手にしっかりと握った写真はどんなことがあっても汚さない!
思わず『トレインスポッティング』で、
マーク・レントンがトイレに入っていくシーンを思い出したなぁ。
でもね同時に『シンドラーのリスト』の一場面を思い出しのも事実で哀しかった。
ナチスから逃れるために、子どもがトイレの肥溜めに隠れるシーンを。
ジャマールが川の近くでぶたれて『これが現実のインドです』と言った後、
米国人ツーリスト夫婦が『これが現実のアメリカよ』と100$札を渡すところに、
アメリカ人気質を感じて声を出して笑った。
クライマックス。ジャマールが答えるクイズの最後の解答と兄の最期が交差するシーン。
ラティカと最後に線路で再会する時の幼き頃からのフラッシュバックに感慨深くなった。
●この映画を観て思ったこと●
映画の構成力の素晴らしさにただただ唸らされた。
クイズ毎の時間軸。警察での尋問。そこに挿入される過去のフラッシュバック・シーン。
この3つが見事に交じりながら、最後へと結びつく。
いちばん最初に観客へ向けて問いただされるクイズの答えが最後に繋がる見せ方。
列車と線路がキーポイントでもあるなぁ…と思った。
インドの貧富の激しさ。その中で生きる子どもたち。特に盲目にさせられた少年。
衛生上の汚さ。宗教間の恐ろしい報復…。
否応なしに『シティ・オブ・ゴッド』を思い出してしまいました。
ジャマールが『クイズ$ミリオネア』で答えていく度に、
僕の心臓の高鳴りは増えていきました。
ジャマールの一途で真っ直ぐな生き方を応援しつつも、
彼の青二才的な発想(ラティカをギャングのボスJavedから救おうとするところ)に
少しイラッときたのも正直な感想。
【愛】だけではラティカと生活していけないよ…ってね。
もちろん、映画のテーマを解った上での天邪鬼的な発言です。
僕は逆に兄サリームの生き方に現実を感じて、最後の最期まで彼を憎めなかったです。
今のアメリカがなぜ、この作品に熱狂し支持したのかがようやく理解できた。
お金では決して得ることが出来ない人を信じる気持ちの大切さや想い、
未来へ向けての希望がそこに満ち溢れていたから。
キャストが踊るインド映画お約束のエンド・クレジット。
気がつけば涙でスクリーンが曇っていた。
なんとも言えない温かな気持ちがスクリーンから伝わってきて。
『ミリオンズ』のラストシーンも優しさと爽快さを感じるものがあったから、
『わぁ、一緒だ!』と思えるとなんだか妙に嬉しかった。
あぁ僕も、あの輪の中で一緒に踊りたい!
あ。いつかタージ・マハルへ行った暁には、
脱いだ靴は必ずカバンの中に入れること鉄則!笑
それから今回の記事のタイトルの答えは……それは観てのお楽しみ。
僕は無事に当てることができました。
それも日頃からたくさんの【映画】を観ているおかげ。
これもきっと【運じゃなく、運命だった。】と強く感じます。笑
●不満点●
作品自体には関係ないけど(笑)、パンフレットの出来がショボイこと!
ありきたりのことしか書いてないもん。
パンフに帯封は要らないから、中味を充実させてほしかったな。
●満足度●
★★★★★

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10 Comments

sabunori says..."良い映画でした"
Elijahさん、こんにちは。
私も久しぶりにアカデミー協会と意見があった作品でした。
私はいつ以来だろう・・・もう記憶にない。(笑)
笑いを交えつつ辛い現実をしっかり描いた作品でしたね。
そのあたりが素晴らしい!としみじみ感心。
主演の3人(ジャマール、ラティカ、サリーム)を時代ごとに演じる各3人もものすごく
自然に入れ替わっていきましたよね。
まっすぐな気持ちのジャマールとちょっと大人で世の中の流れを知っているサリーム。
まさに私も「ミリオンズ」の兄弟を思い出してしまいました。
それでも最後に弟を助けてくれるのはお兄ちゃんなんですよねぇ。
私もいつかタージマハルを訪れた時には靴は持って参拝することを心に誓いました!(笑)
2009.04.26 08:06 | URL | #JalddpaA [edit]
Elijah(管理人) says..."sabunoriさん。"
sabunoriさん

こんにちは!
sabunoriさんもアカデミー協会と意見が合ったんですね!
しかもかなり久方ぶりのようで…。笑
そうですね。ユーモアを交えながらも伝えるべきところはしっかりと描いていたので、
本当に素晴らしい作品に仕上がっていましたよね。
構成力の巧さに感嘆させられました。
ジャマール、ラティカ、サリームを代わる代わる演じた子役たちの
アンサンブルも本当に素晴らしかったです。
sabunoriさんの言われる通り、自然な流れでしたよね。
でも実は僕、二組目のジャマールとサリームの見分けがつかなくて、
『あれ、どっちだったっけ?』と一瞬、戸惑ってしまいました。
一緒に観た友人も同じことを思っていたようで、
チリチリ髪の方がサリームだと見分けていたようです。笑
おっ!sabunoriさんも『ミリオンズ』を思い出されましたか!
やっぱり思い出してしまいますよね。
僕はジャマールと対照的なサリームのストーリーがあったからこそ、
この映画が光り輝いたんだと思っています。
最後にジャマールを救おうとするサリームのせめてもの償い的な想いにグッときました。
そうですね!タージ・マハルへ行く時は絶対に靴は手元にです!笑
2009.04.26 12:33 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ken says..."強い営み"
ダニー・ボイルは好きな監督なので、
すなおに楽しめました。
なるほどアカデミー賞は納得です。
なによりテーマが今日的で、
それが他の候補との差に表れたんだろうな。

例のアメリカ人観光客のセリフは、
かなりビビッドでびっくり!(笑)
あのセリフはなかなか印象的でした。
個人的にはかつてのスラム仲間に再会した時の少年の歌が、
かなり上手くなっていてそれが悲しかったです。
でも、生きていくってそういうことなんですよね。

主軸を少年の恋心に置いたのは正解で、
まっすぐな気持ちを思い出しました。
あんなにひたむきだったの頃もあったかな。
なんてセンチメンタルと一緒に、
人生を思い返しちゃいました。
2009.04.26 19:15 | URL | #VaGrzmSs [edit]
YUKi says..."Eくん教えて~"
昨日さ、2回目観てきて思ったんだけど
サリーム→ジャマールへの1度目の裏切りシーンで
銃を向けて追いやるでしょ。

あれって、ママンを殺して
ママンと対立してたギャングの組織に
入ったサリームは、ジャマールの身に危険が及ばないように
って考えてのことなんかな。

ジャマールがラティカ連れて行ったとしても
ママンの手下に追われるだろうし
それを踏まえてのことだったのかなと。
1回目はわからなかったんだよね。

だとしたら、サリームって裏切者じゃないよね。
ラティカと駅で落ち合うのに失敗した時も
もし逃げるの成功してたら、弟が危険なのはわかりきったことだし。

小さい頃からずーっと弟を
ただひたすら必死に守ってきたんだなって思ったら
あの死に様はますます格好良く感じる。
2009.04.26 19:29 | URL | #nGdA3O4A [edit]
Elijah(管理人) says..."kenさん。"
kenさん

kenさんもダニー・ボイル監督が好きだったんですね!
ならば、その想い通りに素直に楽しまれたんでしょうね。
ホント!オスカー作品賞受賞が納得いく映画でしたよね。
確かに言われてみれば、今の世の中にいちばんフィットするテーマでした。
済んでしまった過去より希望ある未来へといったところでしょうか。

米国人ツーリストの台詞は先進国の象徴でしたよね。
僕らが聞けば嫌味にも捉えがちですが、
彼ら少年たちには想像もつかない有り難味みたいなものがあるんでしょうね。
盲目の少年の歌。
確かにあの頃より格段と上手になっていましたよね。
哀しくも生きていくための術ですね…。

ジャマールがラティカを一途に思う想い。
本当に真っ直ぐで曇りひとつなくて清々しかったです。
みんな誰もが持っていたはずのピュアさなんですよね。
人はいつから心が曇っていくんでしょうか。
僕はあれだけのひた向きさに嫉妬心さえ感じてしまいました。苦笑
だからこそ観客はジャマールを応援したくなるのかもしれないですね。
2009.04.26 21:44 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
Elijah(管理人) says..."YUKiさん。"
YUKiちゃん

もう早速、2回目を観に行ったんだね!
相変わらずYUKiちゃんのハマリ度は凄いなぁ。笑

僕の解釈だけど…YUKiちゃんのコメントを読んで、
『あぁ!そうとも取れるな!』と思ったんだよね。
ただ、サリームがそこまで後先を考えて行動をしていたとは思えない節もあって。
だって、今日という日を生きることだけで精一杯だったはずだから。
僕は最後の最期にこれまでしてきた事への償い的な想いで、
ラティカを逃がしたと思っていました。
自分ができなかった真っ当な生き方を唯一の肉親であるジャマールに託したというか。
それも映画のテーマである希望のひとつなのかと解釈したんだよね。
…いろんな解釈があると思うけど、そう考えるとこの作品は奥が深いね。
2009.04.26 22:03 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
YUKi says..."ありがとう"
私も、1回目は
サリームの死は罪滅ぼしだと思ってたんだけど
2回目でそういう思いがわいてきて‥

ほんとだね。観る人の受け取り方や、
生き方、兄弟構成によって解釈の仕方が
さまざまだろうね。

余談ですが、ここに来ると聞こえる
小鳥のさえずり、癒しだわ~

2009.04.26 22:24 | URL | #nGdA3O4A [edit]
Elijah(管理人) says..."YUKiさん②。"
YUKiちゃん②

うん。サリームの最期は罪滅ぼしに感じるよね。
解釈は観る人の兄弟構成もポイントのひとつかもしれないね。
僕は2回目を見る時、どういう視点になっているかなぁ。

小鳥のさえずり。
気づいてくれてありがとう!
僕もこの癒しでサクサク記事を書けている状態です。笑
2009.04.26 22:38 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
YUKi says..."また"
私とも映画デートしてねんv-238
↑超ナンパ。GWけっこうヒマです‥笑。
2009.04.26 23:21 | URL | #nGdA3O4A [edit]
Elijah(管理人) says..."YUKiさん③。"
YUKiちゃん③

おっ!こんなところで映画デイトのお誘いが!笑
…了解ですv-218
2009.04.26 23:59 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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