ハワード×シーン。

フロスト×ニクソンフロスト×ニクソン②フロスト×ニクソン③
『フロスト×ニクソン』(2008)
予告編で見た演技合戦の場面と製作がワーキング タイトルだと知って観たくなった。
もともとは舞台劇なだけに登場人物の内面に焦点を当てて描かれていく。
ロン・ハワードは大好きな監督のひとりだけど、最近は作品を選んで観ていた。
彼もスティーヴン・スピルバーグ監督同様、こういうドラマ性の高いジャンルと
エンターテインメント性溢れるジャンルをバランス良く撮っていくセンスの持ち主だ。
今回の演出にはかなり唸らされました。アカデミー賞監督賞ノミネートも納得です。
ドラマ性高くありながら、しっかりとエンタメ性の要素も忘れてはいない。
主演は地味に思える中、演技派のフランク・ランジェラ×マイケル・シーンを起用。
ランジェラは元米国大統領リチャード・ニクソン役。
シーンは英国人テレビ司会者デビッド・フロスト役。
舞台の当たり役そのままにこの2人の演技の域を超えた、
なりきりぶりにはもはや誰も右に出る者はいないと感じました。
ランジェラが顔の表情だけで観客へ伝えてくる卓越した演技は本当に素晴らしく。
それ以上に僕はシーンのひょうひょうとした中でも、
きちんと計算されたフロストの心情を表す演技の方が印象に残りました。
特に最後のチャンスとなった4度目のインタビューで、
ニクソンに攻め入る時の迫真の演技が素晴らしい!
脚本家のピーター・モーガンとの相性の良さが溢れ出ている気もしました。
実はシーン×モーガンの前作『クィーン』(2006)を観るまでは、
実生活でケイト・ベッキンセールをレン・ワイズマン監督に奪われた
運のない男のイメージが強かったんだけど(苦笑)、
最近の彼の活躍ぶりには凄まじいものを感じるものがあって。
やはり舞台で演技の基礎を学んだ実力派は凄いなぁ、と。
賞レースでももっと評価されるべき男優だと思います。
ランジェラ×シーンを支える俳優陣も好演していました。
特に冒頭からジョン・キューザック似の男優だなぁ…と思っていた、
ジョン・バード役のマシュー・マクファデイン。
(彼が)何度もリピートしてしまうくらい好きな『プライドと偏見』の
Mr.ダーシー役の人だと知ってビックリ!
『プライドと偏見』以降、しばらく見ないなぁ…と思ってはいたものの、
すっかり名前さえ忘れていました。苦笑
なので当然、劇中では気づかず観終わった後、
『あの男優、誰だったんだろう?』とパンフレットを読んでみると…!
それくらい全く別人のようなルックスになっていました。
やはり彼はいい声をしているね。イギリス英語の発音が最高にタマらなかったです。
ケビン・ベーコン演じるニクソンの側近であるジャック・ブレナンの存在も、
忠実な部下としての想いが確実に伝わってくるものがあって好感が持てました。
ベーコンの落ち着き払った演技も良かったなぁ。
…改めてリチャード・ニクソンは題材にしやすい人物なのだと気づく。
『ウォッチメン』でも登場していたくらいだから。笑
それくらい米国人にとって愛憎渦巻く存在だったのだ、と。
このインタビューの最後はもちろんフロスト側の勝利だったのだけど、
僕はニクソンの勝利にも思えました。
もしかして謝罪さえも計算し尽くしていたんじゃないか、と…これは考えすぎかな?
印象的なシーン。
サム・ロックウェル演じるジェームズ・レストンが
あれだけ毛嫌いしていたニクソンと対面した瞬間に、
『(握手は)しない』と口にしていた握手をしてしまったところ。
やはりニクソンには大統領になるだけの風格と威厳があったという一場面に思えました。
…スリリングな展開に、終始固唾を呑んで魅入ってしまうものがある秀作。
フロスト×ニクソン互いのブレーンを巻き込んでの極上の心理合戦、ぜひご覧あれ!
満足度:★★★★☆

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2 Comments

ken says...""
フランク・ランジェラは物凄い存在感で、
特に電話口で一人話すシーンは圧倒されました。
握手のシーンはわかってても、
やっぱり盛り上がっちゃいました。
サム・ロックウェルもさすが。
マシュー・マクファデインは声にうっとり(笑)
対するマイケル・シーンは軽妙さもあって、
焦りや隙の表現も十全でした。
彼は結構カメレオンタイプなんだなぁ。
グッチの靴も上手に使われてましたよね。
その辺もさりげくなく上手いと思います。
脚本のピーター・モーガンが、
素直にすごいですね。
彼の力でどのキャラクターにも、
新しい切り口が生まれるんでしょうね。
ロン・ハワードとの相性もよかったです。
2009.04.08 19:56 | URL | #VaGrzmSs [edit]
Elijah(管理人) says..."kenさん。"
kenさん

この映画、汗とフェミニンな(笑)グッチの靴もポイントのひとつでしたね。
フランク・ランジェラの存在感というか威圧感はもの凄いものがありました。
サム・ロックウェルは今回、いつもより抑えた演技をしているなと思いました。
ぜひケビン・ベーコンと肉体対決をしてほしかったです。笑
マシュー・マクファデインは本当にいい声をしていますよね。
耳元でなにか囁かれたいです。きっと、それだけで…以下発言自粛。笑
マイケル・シーンはkenさんの言う通り、カメレオン・タイプかもしれないですね。
素顔は意外と可愛かったりしますし。まだ40歳だったので驚きました。
ピーター・モーガン脚本での『The Damned United』と、
ティム・バートン監督の『Alice in Wonderland』の白うさぎ役が楽しみになってきました。
モーガンは本当に才能溢れる人だと思いますね。
どうやら遂に『The Special Relationship』で監督デビューするみたいなので、
トニー・ギルロイ監督のように成功するのかどうかお手並み拝見といったところです。
あ!もちろん、ロン・ハワード監督の『天使と悪魔』も楽しみです。
なんと言ってもユアン・マクレガー♪
2009.04.09 12:47 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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