スペイン語の映画~二人のデル・トロ。

チェ 28歳の革命永遠のこどもたち②
a.『チェ 28歳の革命』(2008)
【チェ・ゲバラ】という人物に惹かれて観に行った。
この作品の監督が、
どちらかと言えば苦手なスティーブン・ソダーバーグなのが気がかりだったけど…。
全編スペイン語の中、思っていた通り演出は淡々としている。
観客に対する詳しい説明がほとんどない。
本編開始前に日本の配給会社による簡単な説明があるのみ。
【エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ】を知っていて当たり前の感覚で、
物語は進んでいく。
映画の前半はドキュメンタリー調で、後半から徐々に映画的な面白さが出てくる。
もしこれから観る人は事前に当時の時代背景や政治関係、
ゲバラに関わった人物をある程度頭に入れてから観た方がいいと思う。
僕は登場人物が次から次へと出てくるので、一体誰が誰なのかよく区別できなかった。
肝心のゲバラ自身のことも軽い程度にしか知らなかったので、
物語に入り込むこともできなかった。
彼について事前に知っていたことは。
革命家、裕福な家庭の出身、持病の喘息、医師の資格を持っていること、
早世した、Tシャツのアイコン…くらい。
このほとんどは過去に映画化された、
ゲバラの青春時代を描く『モーターサイクル・ダイアリーズ』で知った。
今回の映画化は字幕を読んで、それを頭の中で整理することだけで精一杯だった。
余りの自分自身の無知と理解力の無さに情けなく思えてしまったほど。
【エルネスト・チェ・ゲバラ】を演じたベニチオ・デル・トロの演技は想像以上に良かった。
ゲバラが持っていたであろうカリスマ性や人間的な優しさを見事に体現していたと思う。
ただ、どうしても28歳には見えなかった。
その年齢の区別は時間軸をシンクロさせる映像の色分け(カラーとモノクロ)のおかげで
困惑することはなかったけど。
結果的に僕はこの作品をどう評価すべきか悩んでしまった。
ひとつだけ強く感じたことは。
思想のどちらが正しいのかなんて、簡単に言い切れるものじゃないということ。
…やっぱりインテリジェンスなソダーバーグ監督の演出法は苦手だ。
映像の色合いは好みなんだけど(今回も変名で撮影監督を兼任していた)。
思い返せば、彼の監督作で好きなのは『エリン・ブロコビッチ』くらい。
後編の『チェ 39歳 別れの手紙』を観るべきかどうかさえも悩んでしまったけど、
きちんと観てこそ評価すべきではないかと考え直した。
ゲバラという人物の生き方や思想、そして最期の人生までを知り見届けたい思いもあるし。
個人的には今回の二部作も規模は小さくなってしまっただろうけど、
ウォルター・サレス監督で観たかった気がする。
もしこれが『コマンダンテ』を撮ったオリバー・ストーン監督だったら、
どういう作風に仕上がっていたのだろう?…ふと、そんなことも考えてしまった。
満足度:★★★
b.『永遠のこどもたち』(2007)
※ネタバレに敏感な人は注意!※
去年の【第15回大阪ヨーロッパ映画祭】の時に観ようか迷っていて、
日程が合わずに断念。密かに一般公開を待っていた作品。
観終わった直後の感想は『Brilliant!素晴らしい!』のひと言に尽きる。
こういうゴシック調の世界観は好きだ。
永遠のこどもたち③永遠のこどもたち④永遠のこどもたち⑤
オープニング・クレジットの雰囲気からしてワクワク。
もうこの時点で、この作品を好きになりそうな予感がしていた。
確かに多くの人が語るように、『シックス・センス』と『アザーズ』に似た趣や驚きがあった。
プラスそこには静かな感動さえもある。
言葉にならない想いがじわじわと込み上げてきて、
本編終了後のエンドロールで涙がこぼれた。 
とにかく!脚本と映像の見せ方が巧いと唸らされた。
謎解きのスリルと高揚感。
あちこちに散りばめられた伏線がすべて収束される面白さ。
物語の締め括り方や微かな希望を感じさせる秀逸なラストシーン。
一瞬足りとも飽きることなく魅入ってしまった。
映画で久しぶりに心理的な怖さを感じた。
思わず誰かの手の温もりを探したくなるほど。
もちろん、不意に訪れるショッキングな映像や不気味な効果音にもドキドキさせられた。
思わず座席で飛び上がりそうになってしまうほど。
観ている間、『早く続きが知りたい。答えを知りたい』と感じる一方で、
『(その先が)怖いから知りたくない』と葛藤する自分が居たり…。
思い存分、映画として楽しむことができた。
偉大なる母の愛と信じる心の強さ。
…と同時に切なさと微かな救いを感じる母と息子の顛末。
主人公であるラウラ(ベレン・ルエダ)が最期に取った行動や、
『永遠のこどもたち』という邦題に否定的な意見があるようだけど、
僕は十分に満足しています。
それは冒頭で何げなく会話される【ピーター・パン】のお話が最後に活きているから。
この映画の製作総指揮はギレルモ・デル・トロ。
どうしても好きになれなかった『パンズ・ラビリンス』の別の答えがここにあるように思えた。
上手く説明できないけど、これは僕だけが感じた解釈だと言える。
この作品を観たことで、ようやく救われたという思いが芽生えたから。
ギレルモ・デル・トロに乾杯!これで益々『The Hobbit』二部作が楽しみになってきた。
もちろん、見事に映像化したJ.A.バヨナ監督の手腕にも拍手を!
スクリーンで観ておいて本当に良かった。
満足度:★★★★★

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