等身大の“リアル”とドリームワークスの“秘蔵っ子”。

わが教え子、ヒトラーAmerican Teen/アメリカン・ティーン②
宮廷画家ゴヤは見た②イーグル・アイ
a.『わが教え子、ヒトラー』(2007)
第二次世界大戦下、敗北間近のドイツで
ヒトラー総統にスピーチ指導をすることになったひとりのユダヤ人。
それはとても奇妙な作品だった。
扱うテーマがテーマなだけに笑っていいものなのか、かなり戸惑ってしまったからだ。
中盤過ぎた辺りから、ようやく『これは風刺コメディなんだ』と気づく。
冒頭からあの有名な敬礼『ハイル・ヒトラー!』が、
やたらと連呼されていて可笑しかったんだけどね。
でも場内の観客ほとんどの人が笑ってなかった。
やっぱり不謹慎だと思ってしまう向きがあるのかもしれないね。
とにかく!あんな不安神経症的なヒトラーは見たことがない。
なんかね、だんだん可愛く思えてくるんだよね。
観る前までは実話だと思い込んでいたけど、それはありえないと確信。
国家の汚点であるヒトラーをこんな風に描ける時代になった、
ドイツ映画界の度量の広さに驚かされるものが!
日本ではとても真似できないと思う。
しかも監督のダニー・レヴィはユダヤ人だし!
実はその辺りも興味深いものがあったり。
この作品は、観る人の立ち位置で評価が大きく分かれると言える。
ちなみに僕は今ひとつ、この作品の流れにノリきることは出来ませんでした。
それでも『善き人のためのソナタ』のウルリッヒ・ミューエの遺作を、
スクリーンで観ることができて良かったです。
彼の役柄と同一化した自然な演技はここでも素晴らしかった。
来月は【第15回大阪ヨーロッパ映画祭】が開催される。
ドイツ映画の本命『ザ・ウェーブ』の上映が今から楽しみ!
ある高校で実際に起きたファシズムをテーマにした課外授業が巻き起こす問題作。
これとは別に、大好きなフランス俳優ブノワ・マジメルの
来日ディスカッション&サイン会もある予定なので益々楽しみ!
無事、チケットもGETできたし…ワクワク♪
満足度:★★☆
b.『American Teen/アメリカン・ティーン』(2008)
↑のポスターからも連想できるように、
『ブレックファスト・クラブ』を彷彿させるような青春映画。
舞台は米国インディアナ州ワルシャワのハイスクール。
そこに通う悩める17歳の5人の学生生活最後の1年間に
スポットを当てたドキュメンタリー映画でもあります。
もともとドキュメンタリー映画は苦手分野なんだけど、
監督のナネット・バーンスタインの前作『くたばれ!ハリウッド』が
これまでのドキュメンタリー映画とは
一線を画していて面白かったから興味が出てきたのもあって。
正直“ヤラせ”ぽく思える箇所もあるんだけど
等身大のリアルさがあって予想以上に良かったです。
ちょっとTVバラエティ『あいのり』ぽくて、
観ているこっちが恥ずかしくなる時もあったけど。←特に10代特有の色恋ネタ。笑
作品的にはきちんと起承転結があって、
商業映画としても十分に楽しめる要素がありました。
僕がいちばん好感を持てたキャラクターは、
自分に自信が持てない【オタク】のジェイク・トゥッシー。
人の痛みが解るであろう彼だからこそ、
絶対に磨けば光る素質を持っていると思うんだけどなぁ。
逆にイラッときたキャラは【女王様】のメーガン・クリズマティック。
父親の教育の仕方もどうかと感じたし、心底、最悪な性格の人物だと思ってしまった。
【学校】…通っている間はそこが人生のすべてだと思いがちになってしまうけど、
社会に出ればそんなことは一切関係なくて。
プロムキング&クィーンであろうとなかろうと。
この辺りは最近、見直した『25年目のキス』のクライマックスでも、
ドリュー・バリモア演じるジョジーが熱弁していたなぁ。
これからも益々自分を模索していくであろう彼ら5人に、
少しでも多くのHAPPINESSが待っていることを願いつつ、
確かな人生を歩んでほしいと思えました。
ちなみにこの映画のパンフレットの販売があるかどうかを、
事前に電話で映画館へ確認していたんだけど。笑
観終わった後、念のためにもう一度聞いてみたら、
『アンケートに答えて貰えたらプレゼントします』と言われて。
抽選で当たるんだと思い、素直に書いてみたら…
なんと!その場で非売品のプレスシートを貰えちゃいました。
好きな作品にもなったし、ちょっと得した気分で嬉しかったな♪
…コレクター魂丸出しで食いついてみるもんだ。笑
満足度:★★★★
c.『宮廷画家ゴヤは見た』(2006)
無宗教の僕からすれば、異端審問を執り行ったカトリック教会と
ナポレオン政府の言い争いはどっちもどっちだったと思う。
ただ全く罪のない人々を無差別に殺害したり、
拷問にかけ長期間に渡り監禁するやり方は非人道的で許せなかった。
神父ロレンソ役のハビエル・バルデム。
僕的には『ノーカントリー』の悪役より、今回の役柄の方が卑劣で精神的に怖かった。
アントン・シガーの行動は、まだ筋が通っていたから。
二役を演じたナタリー・ポートマン。
観てるこっちが痛々しく思えるほど、迫真のある汚れ役を確かな演技力で魅せてくれた。
特に口元の演技が印象に残ったり。
タイトルロールのゴヤ役のステラン・スカルスゲルド。
彼がどうしてもコリン・ファースに見えて、仕方がなかった。笑
ソウル・ゼインツ製作&ミロス・フォアマン監督と知ると、
否応なしに重厚な仕上がりを期待してしまう。
この作品は見事にそれに応えてくれていた。
いちばんゾクゾクした場面は、目には目を歯には歯を的に、
ロレンソがイネスの家族に逆尋問をされるところだった。
人の痛みは自分が経験してこそ理解できるものであるし、
神が苦痛から救ってくれる訳でもない。
改めて、信者にとっての『信仰心とは何ぞや!?』と思わされた。
人はいつから純粋さを失い、欲へ走るようになるのか…。
満足度:★★★☆
d.『イーグル・アイ』(2008)
期待していた以上に楽しめる作品だった。
いわゆる巻き込まれ型サスペンス・アクション。
ちょっとアルフレッド・ヒッチコック監督的要素を感じたり、
『エネミー・オブ・アメリカ』を思い出しました。
とにかく!予告編で詳細を見せなかったのが正解だったと思う。
シャイア・ラブーフの意外な設定。
伏線が後に活きていくストーリー展開。
テンポも良くて、疑問だらけの事件に巻き込まれて動揺する主人公たちと同様に、
観ている僕らもハラハラドキドキしてしまう。
いちばんの見どころは、冒頭とクライマックスでのカーチェイス・シーン!
目が追いつかないほどのスピード描写にクギづけ。
シャイア・ラブーフ。正直、これまではどこが良くて(失礼!)、
こんなにもスティーブン・スピルバーグに重宝される人物なのか疑問だったんだけど、
この作品と直前に見た『ディスタービア』で、ようやく彼の魅力に気づいた。
どこか寂しげで物憂いな表情と目が凄くいいんだよね。
特に今回の不精ヒゲはとても似合っていたし、僕の中でかなりのマストアイテム♪
もうこれで完全に、『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』と
『コンスタンティン』のお子様印象は払拭できました。笑
最近この手のジャンルは、普通の青年が主人公になることが増えたと思う。
テーマも対テロリストな物が多いし。
それだけ今の米国社会が【映画】の内容にまで酷似してきたんだろう。
欲を言えば、映画的にはラスト一歩手前で終わってほしかった気がする。
その方がカタルシスを感じられたのにな。
やっぱり従来のハリウッド・エンディングで終わってしまうものなんだと実感。
ずばり!いちばん不安視していた宇宙物のオチじゃなくて良かったけど。
あ。MASAKO TOURの内容が気になります。笑
満足度:★★★★

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2 Comments

ken says..."巻き込まれて"
「American Teen」はドリュー・バリモア出てるんだ!
スルーしそうだったけどチェックしてみようかなぁ。

「宮廷画家ゴヤは見た」は現代から見ちゃうと、
たしかにどっちもどっち(笑)
でも、いまでも似たような事は世界中で行われてるんだろうなぁ。
とりあえずハビエル・バルデムの三白眼&白目が見れたので、
かなり満足しました。
ナタリー・ポートマンはどんな役でもこなしちゃうなぁ。
「ブーリン家の姉妹」が楽しみです。

「イーグル・アイ」は予告編の巧さに騙された感が・・・。
いろいろポイント高めの情報があふれていたので、
ちょっと僕の評価はきびしめです。
いちばんはリアリティのない脚本!
別にリアルじゃなくても説得力さえあれば、
こういう世界観って楽しめるのに・・・。
ディティールも粗くて力技でした。
あのラストシーンはまったく逆のパターンにするか、
いっそなくしちゃっても良かった気がします。
まさかの「フォーガットン」オチでも面白かったかも♪
MASAKO TOURは大人しいお客さんばっかりでしたね(笑)

で、シャイア・ラブーフはそれでもしっかり仕事をしてて、
スピルバーグの期待に応えてました。
彼はなかなか母性本能をくすぐるタイプなのかも。
いまのところライバルもいないので、
彼の独壇場な感じです(笑)
2008.10.21 21:07 | URL | #VaGrzmSs [edit]
Elijah(管理人) says..."kenさん。"
kenさん

『American Teen』
ドリュー・バリモアは出ていないですよー。
記事の流れで、彼女の過去作『25年目のキス』のことを書いたんです♪

『宮廷画家ゴヤは見た』
カトリック教会の閉塞的な立場は、きっと今でも変わらないでしょうね。
さすがに異端審問はしていないと信じたいですが…。
今更ながらハビエル・バルデムの顔が強面だと気づきました。
確かにこの作品でも白目をむいていましたし、彼には眼力がありますよね。
ナタリー・ポートマンは『クローサー』以降、なにか吹っ切れた感がありますよね。
益々、演技派への成長を期待しています!
僕も『ブーリン家の姉妹』がかなり楽しみです!いよいよ今週末の公開♪
キタ・ミナミとも意外と大きいシアターでの上映なので、ちょっと驚いてます。笑

『イーグル・アイ』
あ!てっきりkenさんも気に入ってると思っていました。
うーん。まだまだ僕、kenさんのこと解ってないなぁ…もっと勉強!笑
僕とは逆にkenさんは悪い意味で予告編に騙されたんですね。
確かに全米での評価は酷評に近いみたいですし、
kenさんの見解は正しいかもしれないですよ。
僕は単純に楽しんで観ちゃったので。
まぁ高評価に繋がったいちばんの理由は、
とにかく『フォーガットン』オチじゃなかったことが大きいですね。爆
なので、『フォーガットン』オチじゃ面白くなかったし、絶対にイヤだーーーっ。笑
kenさん的にはD・J・カルーソ監督の演出にも不満を感じたように思えました。
うん。MASAKO TOURのお客さんは大人しかったですよねー。
でも参加している人たちはみんな中国人にしか見えなかったです。苦笑
シャイア・ラブーフ。確かに言われてみれば、母性本能をくすぐるタイプかも!
そう考えると、ラストシーンの展開にも納得できるような。笑
彼はまだまだこれからの俳優だと思うので、
私生活で事故や事件を起こさずに品行方正であってほしいです。

最後に。今回のコメントのタイトル4つはどれも受け身的でしたね!笑
毎回、どんなタイトルがつくのか相変わらず楽しみです♪
2008.10.22 21:31 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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