ファクトリー・ガールがNo.1。

『大いなる陰謀』(2007)
大いなる陰謀
──この映画の見どころは?
異なる場所で3つのエピソードが同時に進行していく過程と、
そこで話されるすべての会話の中身。
──面白かった?
僕にはちょっと難しかったけど
(世界情勢や政治には疎い方なので…汗)、なかなか楽しめたよ。
…と言うか、もの凄く勉強になったって感じ。
そうだなぁ…まるで政治に関する講義を受けてるみたいだった。
理想と現実。本音と建前。
そして…多くの矛盾と戦争に加担する無意味さを痛感。
米国の観客に問題提起を投じた作品だったと思う。
ラストも、そういう形で終わったし。
『あとの判断はあなた方に委ねます』みたいな。
そういう点では、
従来のハリウッド映画とかなり一線を画していたと思う。
正直、支持する政党や思想で評価が分かれるんじゃないかな。
無関心でいることは駄目。考えているだけじゃ駄目。
行動を起こさないと、すべて意味を持たない。
…そういうメッセージ性を強く感じたな。
ある種のプロパガンダ映画だったと言える。
その辺が本国アメリカで
受け入れられなかった最大の理由じゃないかな。
主演も兼ねたロバート・レッドフォード監督の演出は正攻法。
いい意味でも悪い意味でも、ちょっと古臭い。
…そうだなぁ。クリント・イーストウッド監督の演出法に近いかも。
無駄に思えるものを一切排除して、描きたいことだけを
台詞中心にしながら淡々と描いていく。
室内でのシーンが多かったせいか、
ちょっと舞台劇を観てる感覚だった。
──印象に残るシーンは?
敵地の山中に取り残された若い兵士2人の最後のシーンかな。
彼らが軍に志願せざるを得ない状況やその心中を察すると、
やり切れないものがあった。
──他に何か言いたいことは?
独自のテロリズムを推し進める上院議員役のトム・クルーズ。
かつてのオーラや精彩はなかった気がする。
こじんまりとしてしまったなというのが正直な感想。
やっぱりどうしても穿った目で観てしまってる、
自分が居たんだと思う。
そう考えると…作品中でも触れていた、
マスメディアの影響力って凄いんだと思う。
でも、それをどう自分で受け止めて、
次に繋げるかは自分次第なんだと、この映画を観て実感したな。
あとは…邦題よりも劇中で語られる、
原題『LIONS FOR LAMBS』の意味を強く理解してほしい。

『黒い家』(2007)
黒い家
──この映画の見どころは?
僕は未読だけど(汗)、森田芳光監督の日本版とは違い、
貴志祐介原作小説に限りなく近い描写だと思う。
──面白かった?
…うーん。それでもやっぱり僕は日本版の方が好きだなぁ。
確かにこの韓国版も不気味さや怖さはあったんだけど、
日本版ほどのおどろおどろしさがあんまりなかったんだよね。
登場人物たちの心理描写もちょっと浅かった気がするし。
どうも【怖さ】より、見た目の【痛さ】の描写に
力を入れてたんじゃないかなぁ。
中盤の展開までは良かったんだけど、
それ以降の韓国映画特有のふって湧いたような
感動ものに持っていく展開がどうも馴染めなくて。
生命保険会社の査定員である主人公の
行動にもイラッと来たんだよね。
何事に対しても詰めが甘いし、犯人に同情はしてるし
(主人公の過去のトラウマが理解できるとしても!)、
『はよ、さっさと止めをさせよ!』って。
しかも、『なんで、わざわざ人気のないとこに独りで行ったり、
わざわざ窮地に陥る場所に逃げるん?』と、ひとりイライラ状態。
又々、主人公に『「スクリーム」でも見て、勉強しろ!』と
思ってしまった感アリ。笑
…いや、そういう描写こそ、この手のジャンルに
必要なものだと解ってはいるんだけどね。
んでも、どうも納得いかない箇所もあったんで。苦笑
それにしても、あの【黒い家】の下は
『テキサス・チェーンソー』シリーズみたいな感じで、
日本版のイメージとは大きく異なり……やや失笑気味。
──印象に残るシーンは?
シーンと言うよりかは、査定員を演じたファン・ジョンミンの
演技が素晴らしかったところかな。
日々、普通に生活するちょっと冴えない感じのサラリーマンを
上手に演じていたと思う。
決して男前ではないけど(失礼!)、
雰囲気と味がある男優さんだなぁ。
──他に何か言いたいことは?
やっぱり日本版の大竹しのぶの演技はインパクト大だし、
勝負ではないものの(日本版には)勝てないと思った。
リメイク物を成功させることって、
ほとんど奇跡の状態に近いんだなと実感。
ちなみに、この韓国版は本国ではヒットし、
原作者にも高評価を受けたみたいです。

『ファクトリー・ガール』(2006)
ファクトリー・ガール②
──この映画の見どころは?
作品の根底に流れる、
1960年代のポップ・アートとアングラの雰囲気。
イーディ・セジウィックを演じたシエナ・ミラーの
一世一代のパフォーマンス!
──面白かった?
正直ね、シエナ・ミラーという女優が好きじゃなかった。
むしろ【女優】というより、ゴシップ記事を賑わすだけの
ただの【セレブ】だと思っていたから。
なので、この作品に対する期待度はかなり低かったんだよね。
『彼女を起用して大丈夫?』とまで思っていたから。
それでも、この当時の雰囲気に惹かれる僕としたら、
もう観ずにはいられなかった。
…で、結果的には十分に満足できる作品だった!
これは自分の中でも、かなり驚くべきことだったなぁ。
とにかく!なんと言っても、
シエナ・ミラーの演技が素晴らしかったということ!
もうイーディ・セジウィック本人にしか見えなかったもん。
スタッフ・クレジットで流れるイーディ本人の写真と、
ルックスが瓜二つだったことも驚き!
見事にイーディと同一化してたと思う。正にソウルフル!
そう考えると、シエナのかつてのパートナーである、
ジュード・ロウは先見の明があったね。笑
シエナ・ミラー様…これまで過小評価して、ごめんなさい。
アンディ・ウォーホル役のガイ・ピアースの演技も、
彼の特徴を掴んでいて上手だったと思う。
gay役は、『プリシラ』で経験済みだし。
最近のガイはハリウッドと距離を置いてる気がしてたので、
久しぶりにスクリーンで観れて嬉しかったなぁ。
相変わらず、good lookingだったし♪
ボブ・ディラン風の(笑)ロック・スター役のヘイデン・クリステンセン。
彼のナチュラルな演技も良くて、出番が少ないながらも、
あの『ジャンパー』よりかは何百倍も魅力的だった!笑
特にシエナとのmake loveシーンは、
感情や相手を想いやるキモチが伝わってくるようで、
最高に美しいものだったなぁ。
──印象に残るシーンは?
もうね、全部のシーン。
ホント無駄に思えるシーンがなかったんだよね。
僕の中で、映画自体が【アート】の領域だったから。
映像の撮り方:見せ方に、編集…
今でも通用するようなオサレ度120%のファッションに…etc.
この時代のこの手の伝記物って、
撮りようによっては焦点を絞りきれずに
散漫や退屈になる恐れもあったりするけど、
この作品では全然そうじゃなかったなぁ。
ちなみに、僕はどういう視点で観ていたかと言うと…。
そこにはアンディ・ウォーホルのイーディに対する、
凄まじい嫉妬心に共鳴している自分が居た。
男でもなく、女でもなく…
両方の感性を合わせ持ったgayだからこその
強烈で陰湿にさえ思える嫉妬心を見てしまった気がする。
アンディが自分の母親にまで紹介するくらい
仲の良かったイーディを、
ある出来事によって拒絶するようになる。
恐らくアンディは女性を神聖なる
アイドル:正しくスーパースターだと思っていたんだと思う。
その絶大なる象徴のひとりだったイーディが、
男との愛:即ち性愛に目覚めたことによって、
彼の中で何かが終わった:変わったんだと解釈した。
多分、イーディのことを【汚された】と思ったんだと思う。
僕はアンディ程ではないけど、
女性のことを偶像的に思ってる部分があるかもしれない。
女子友達たちは清潔感があって
可愛いのが当たり前だとどこかで思ってるし、
願わくば彼女たちの裸を見る機会には遭遇したくない。
自分の中で、女子友達それぞれに対するイメージがあって、
そのイメージと少しでもかけ離れてくると、
距離を置こうとする自分が居たりする。
加えて、自分がとても大切に思っている女子友達から、
彼氏が出来た:結婚すると聞かされたりすると、
『おめでとう!』の言葉よりも軽いショックを受けてしまう。
これは、ひょっとしたら誰もが思うようなことかもしれないけど…
でも僕は普通の人以上に、
『(女子友達を誰かに)盗られた!』って思ってしまうんだよね。
だから、祝福の言葉と同時に、
心の中では『早く別れることになったらいいのに』と
願ってる自分も、正直なところ居たりする。
女子友達たちが自分の所有物じゃないことは
もちろん解っているけど、
どこかでコレクション的な感覚で接してる部分があるんだと思う。
なので、大きくニュアンスは違えど、
アンディがイーディに対して行った
【報復】は理解できる気がした。
『恩を仇にして返された』と怒り狂った、
もしくは傷ついたんだと思う。
その嫉妬心は【繊細】が故に、
人よりも遥かに極端なだけだったんだろう、と。
あ。僕はそこまでではないので!汗
僕の場合は、女子友達から彼氏が出来たと言われたりすると、
しばらくはその女子友達と連絡を取らなくなる傾向アリ。
ちょっとしたプチ嫉妬心です。←まだまだ幼いなぁ。汗
んでも、僕の女子友達たちはみんな大人なので、
もちろんそれからも変わらず接してくれるけどね。笑
…と言う訳で、人とはちょっと違う視点:
歪んだ形で観てました。汗
それから…僕が唯一、劇中で救われたのは
イーディの学生時代からの盟友シド・ペパーマンの存在だった。
彼は最終的にはロック・スター側の
人間になってしまってたんだけど、最後の最後まで献身的に
彼女を救おうとした姿勢には感動したなぁ。
一緒に観た女子友達は、そのシーンで号泣してました。
…持つべきものはやっぱり心友なんだよね。
──他に何か言いたいことは?
この映画を観る前に、
ある程度の知識を持って観ることオススメです。
それなりに登場人物が複雑に絡み合ってるので。
あとは…イーディ・セジウィックの人生にかなり興味を持ったので、
近いうちに図書館へ彼女の評伝記を借りに行こうかなぁ。

──次回、登場予定の人物は?
スケートボードに夢中の思春期の少年。
美しい妻とエリート兵士の夫とその弟。
ビューティフルな声を持つ元軍人の英国青年。

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4 Comments

ヒデ・グラント says..."乳しゃぶれ!(笑)"
『黒い家』 だけれど
もし日本版を観ていなかったら感じ方はどうだったんだろう? って思わない?
僕もね、韓国版を観ながら、どこか比較してしまってたんだよね。
振り返ると、同じ現象が 『イルマーレ』 でもあったな。
あ、これは韓国版をアメリカがリメイクした作品だったけど(←話がややこしい)。

これを観て思ったのは 「昔の日本家屋って怖ぇ~」 ってこと。
日本版の ”あの家” はめちゃめちゃ怖かったもんな。
一方の韓国版(地下室)は、まんま 『テキサス・チェーンソー』 だったもんね(笑)。
それはそれで怖いけど。

大竹しのぶ の演技(つかセリフ)で生涯忘れることができないのが
非常階段で内野聖陽に言った 「乳しゃぶれ!」 
しゃぶらせたくせに 「へたくそ!」 って一喝するあのシーンは
怖いシーンのはずなんだけど大笑いしちゃいました。

『ファクトリー・ガール』 でイラ君が感じた嫉妬心に近い感情、
僕は 『つぐない』 を観ていて感じたかな。
といっても10代の頃の兄貴に対するものだったけれど。
映画って、自分の中に眠るいろんな側面を気づかせてくれるよね。
2008.04.21 09:56 | URL | #IOg9bXQk [edit]
Elijah(管理人) says..."ヒデ・グラントさん。"
ヒデさん

だから…変なタイトル付けるの止めて下さい。笑
始めタイトルだけを見た時、またエロサイトにリンクされたんだと思ってしまいましたもん。笑笑
『黒い家』
>もし日本版を観ていなかったら感じ方はどうだったんだろう?
↑まっさらの状態だったら、保険会社と加入者とのやり取りや関わりに興味を持って、それなりに楽しめてたと思います。
それでも、やっぱり中盤からの展開にはイラッと来てたと思いますね。笑
US版の『イルマーレ』を観た時は、最初からどこかもう諦めてたような気がします。
アジアの情緒や感性、雰囲気を欧米人が絶対に出せないと思っていたので。
なので今回は同じアジアのリメイクなだけに、それなりに期待してたんですけど、お国柄特有の感動に持っていかれてしまって…という感じでした。
そうそう!日本の家屋の方が十分に怖かったんですよねー。
それだけで迫力がありましたもん!
大竹しのぶのあのシーン。
僕も強烈なくらい憶えてます。
しかも彼女、ボディ・ダブルを使ってましたよね。
なので、そのシーンだけ妙に浮いていて失笑しちゃった記憶が…。笑
結果的に韓国版は、映画自体に精神的な怖さをあんまり感じなかったことが、僕の中でマイナス・ポイントになったところもありますね。
でも決して悪くはなかったですよ♪

『ファクトリー・ガール』
嫉妬心に近い感情…ヒデさんは『つぐない』で感じたんですね。
身内に対する嫉妬心と言うのも、それはそれで強烈な気がします。
僕はひとりっ子なので、その辺りの感情はよく解らないですが…。
でもひとつだけ確実に言えることは、もしひとりっ子じゃなかったら、絶対にこのワガママ王子キャラではなかったと思いますね。爆
兄弟たちに注意&教育をされてたと思います。汗
…そうですね。映画というものは時に自分の中に眠ってる、思い出したくない:忘れていた感情を呼び覚ますことがありますよね。
そう考えると、映画って奥が深いし侮れないと思いますね。笑
2008.04.21 19:07 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ken says..."LIONS FOR LAMBS"
「大いなる陰謀」は演技上手を集めている割には、
こじんまりした仕上がりでしたねー。
そう、ほんと舞台劇のよう。
ロバート・レッドフォードならもっと鮮やかにまとめてくれるかと・・・。
でも、それこそが今のアメリカを象徴してるのかも。
個人的にはマイケル・ペーニャ押しなんで、
もうちょっと彼をフィーチャーしてほしかったなぁ。
しかし日本語訳は微妙だなぁ。
直訳するとたしかに意味不明っぽいですけど、
原題がよかったんでおしいです。

「黒い家」はたしかに「怖さ」より「痛さ」重視でしたね。
でも、それがいかにも韓国らしくて、
わりと楽しめちゃいました。
やっぱりホラーはビジュアル大事なんで・・・(笑)
ファン・ジョンミンはじょうずでしたよね。
ああいう役者さんってちょっと珍しいかも。

「ファクトリー・ガール」はあんまり期待してなかったんですけど、
かなりヒットしちゃいました。
僕も王子とおなじくシエナ・ミラーがよかったです。
けっこうむずかしい役どころなのに、
彼女は自然に演じてましたもんね。
ガイ・ピアーズはあいかわらずのカメレオン演技で、
俳優っぷりもあがってましたね。
好きな俳優のひとりなのでどんどん映画に出てほしいです。
で、ヘイデン・クリステンセンもこれで面目躍如かな。
「ジャンパー」はあまりにもひど過ぎましたし・・・(笑)
2008.04.23 00:28 | URL | #VaGrzmSs [edit]
Elijah(管理人) says..."kenさん。"
kenさん

『大いなる陰謀』
はい。この作品は本当に舞台劇を観てるようでした。
ロバート・レッドフォード監督。
もともと出来上がった脚本を読んで参加したみたいですし、
請負仕事:客演として徹したのかもしれないですね。
僕は今の米国社会を象徴しているようで好みでした。
マイケル・ペーニャ…好演してましたね。
ちょっとふっくらとしてましたが…これも役作りでしょうか。笑
『ワールド・トレード・センター』といい、社会派が似合いますよね。
邦題は安易すぎた気がします。
もう少し惹きつけるようなヒネリが欲しかったですね。

『黒い家』
まさかkenさんが韓国映画まで観てるなんて、驚きです!
確実に魔法の技術を習得していってますね。笑
…精神的な怖さよりも見た目の痛さ。
確かにそれも重要なんですけど、やっぱり僕は日本版と比べて観てしまったので…。
ファン・ジョンミンの存在は、僕は『甘い人生』の悪役で初めて知ったんですが、『ロードムービー(原題)』という作品でgay役も演じたりといろんなジャンルに挑戦していて、
芸域の広さを感じてますね。
ちょっと男性的な色気も感じたりしてます。雰囲気男前と言うか。
これからも追いかけていきたい韓国男優さんのひとりです。

『ファクトリー・ガール』
…これ、良かったでしょ!
僕もほとんど期待せずに観たせいか、かなりヒットでした。
シエナ・ミラーの演技は本当に良かったですよね♪
繊細な部分も含めて、ナチュラルに演じてたと思います。
僕の周りでも彼女に対する評価は高いですね。
ガイ・ピアース…kenさん好みの男優さんだと思ってました!笑
ある意味、エドワード・ノートンに通ずるようなカメレオン俳優の素質がありますよね。
今回のアンディ・ウォーホル役も見事に自分のものにしてましたもんね。
時にはハリウッド大作にも出てほしいなぁ…と思ったりします。
ヘイデン・クリステンセン。
うん。僕もこれで『ジャンパー』の失敗を水に流そうと思いましたよ。笑

kenさん。Hさんの日記のコメントのレスで優しいフォローをありがとうございました。
いつか直接会って、いろんな話をしたいなと益々思えました…Chu☆…照。
2008.04.25 14:47 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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