トランスセクシュアル。

アイルランド/イギリス作品『プルートで朝食を』の時にもチラッと書いたけど、僕は自分がGAYでありながらも、ニューハーフや女装趣味の人が苦手だったりする。
『なぜ男に生まれたのに、姿を変えてまで女性になりたいのか?』
その気持ちが全く理解できなかった。
だけど、よくよく考えると、ストレートの僕の友達に、
『じゃあ、なぜElijahは男に生まれたのに、女性を愛せないの?』
そう聞かれたら、言葉に詰まる自分もいる訳であって…。

そんな様々なセクシュアリティのひとつである【性同一性障がい】の人物を描いた『トランスアメリカ』を観てきた。
Transamerica.jpg
L.A.で暮らすトランスセクシュアル(=性同一性障がい)のブリーが、ひょんなことから17年前に【スタンリー】という名前だった時に作った息子トビーとの旅に出る。
それはトビーが暮らしていたN.Y→L.A.までのロード・ムービーで。
ブリーは性再判定手術を受けて本物の女性に、トビーはまだ見ぬ父に会いに。
もちろん、トビーはブリーが男だと、そして父親だとは知らないままに…。

GAY(=男が男を好き)も医学的に言えば、【精神疾患】という病気だと聞く。
今でこそ、あーだこーだ言われなくなった時代になったけど、昔はそれを治すため(=矯正)に通院してた人がいたくらいだ。
【性同一性障がい】…今ではその思考を【心】の病として扱い、治療してくれる世の中になったのは喜ばしいことだ。

中盤、ブリーの母親(演じるのは『アザーズ』のあの召使い!フィオヌラ・フラナガン)が、自分の息子(ブリー)が女性の姿をして帰ってくる、その受け入れ難い事実を描くシーンがあった。
だけど、それでも母親はちゃんと母親なんだよね。
拒否しつつも、その事実を受け入れようと努力していたように見えた。
その光景に、僕自身が母親に孫を見せてあげれないことが、どこかリンクしてしまって、申し訳ない気持ちで泣けてしまった…。
自分がGAYである以上、自分自身を殺してまで女性とは結婚したくないし、誰に対しても嘘はつきたくない。
ただ子どもが欲しいからと言って、エゴで作るのもどうかな、と思えるし。
こういう考え方は、人それぞれだろうけど…。

ブリーを演じたフェリシティ・ハフマンの演技は、もうPerfectに近い!
本当に素晴らしい演技を見せてくれた。
ノミネートされてたアカデミー賞主演女優賞を獲っても、文句なしだったと思う。
面影は残りつつも、TVドラマ『デスパレートな妻たち』の彼女とは別人のよう。
このキャラクターを、あえて男優に演じさせなかった製作者たちの判断は、間違ってなかったと言える。
ちなみに、エグゼクティブ・プロデューサーが実生活の彼女の夫ウィリアム・H・メイシーだったのには驚いた。
トビーを演じたケヴィン・ゼガーズ。
初期の頃のジャレッド・レトやキャスパー・ヴァン・ディーンに、どことなく似てるように思えた。
真っ直ぐな瞳が印象的な、なかなかのハンサムガイ。
脱ぎっぷりの良さにも好感度UP(笑)。
かつての故リバー・フェニックスが演じていそうな役柄だった。
ふと、『マイ・プライベート・アイダホ』を思い出す自分がいた…。
このトビーのキャラクター。
実の父親(=ブリー)はトランスセクシュアルで、母親は自殺、継父には幼少の頃に性的虐待を受け…今の彼は【男娼】をして食いつなぐ生活をしている。
これでもかと言うくらいの、不幸と思える境遇だった。

オープニングで、着る服や歩き方すべてが堅苦しかったブリー。
最後には活き活きとしてる、その姿に心が温かくなる。
物語の結末は、特にハッピー・エンドという訳でもなく。
解決策が出た訳でもない。
だけど、どこか幸せな気持ちがスクリーン全体から伝わってくる。
【自分の生きたいように、真っ直ぐに生きていけばいい。あるがままの自分で。】
そう、ブリーに諭されてる気がした。
最終的に、自分の息子(トビー)が選んだ職業を咎めず、優しく見つめる眼差し。
そうしながらも、躾もきっちりとしようとする。
その表情が、もう【母親】になっていた。
もう彼女を【男=スタンリー】とは呼ばせない。
正真正銘の【女性=ブリー】なのだから。
最終的にブリーは息子と出会い、交流を持つことによって、本当の意味でも生まれ変われたんだと思う。
だからこそ、バスタブの中で真の女性になれたブリーの表情が輝いていたんじゃないかな。

ロード・ムービーって、やっぱり好き。
登場人物たちの心の成長が見れるから。
僕も、こういう旅してみたいなぁ…。

ブリーとカウボーイのカルヴィン(演じるのはグレアム・グリーン)の交流も、優しさと渋さがにじみ出てて、なんとも言えなかったなぁ。
エンディングロールに流れるカントリー界の大御所ドリー・パートンの『Travelin’ Thru』の歌詞とメロディも、締め括りに相応しくて良かったり。
♪行き先を知らなくても進むだけ
私というパズルを完成させるために
神は理由があって私を造られた
何度も転びながら、ただ今は旅を続けるだけ――

とにかく、同じ【性同一性障がい】を扱った『ボーイズ・ドント・クライ』のような、とてつもなく暗く重たく終わる作品にならなくてよかった!!
泣いて笑って…心にジーンときて、ハートウォーミングできて。
この作品、観終わって時間が経ってからの方が、じわじわと良さが出てくるよ。
20060906180903.jpg
そして。僕の中で、トランスジェンダーの人に対する見方が、いい方向に変わったことも書き記しておこう。

MEMO:梅田ガーデンシネマ 
2006.9.5 18:30
会員料金1000円
藤原ちゃん
点数評価:79点

※ デリケートな問題を扱った作品なので、記事の文章には自分の正直な思いを書きつつも、配慮して書くよう心掛けました。
それでも、間違った表現の仕方や不快に思った人がいれば、心からごめんなさい。

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6 Comments

ZAK says...""
観た後に
じわ~~~~っとくる映画って
ありますね

特にゲイをテーマにした映画の佳作は
観た後の「じわ~~~~~~」が
多いような感じがしちゃいます

「マイプライベート・アイダホ」
「プリシラ」
「トーチング・トリロジー」
「同級生」
「ハッシュ!」などなど

あまりチャカされず、脚本が練られてる

『トランスアメリカ』も、イライジャさんの
日記読ませてもらってる印象では
まさにその一本になってる感じ(ニコ)

ゲイをテーマにした映画
どうしても
心がテーマになるからでしょうね

最後の、「じわ~~~」は
ゲイである自分の心に共感する何かが、
自分に訴えてくるからなんだろうなぁ
2006.09.07 10:06 | URL | #- [edit]
Chocolate says...""
こんばんわっ。

私もこの映画好きです。
この映画を通していい意味で世の中の意識が
変わればいいなーって思いました。
同時に偏見もなくなればいいなぁと。

ラストは本当にいいラストでしたね~
私も暖かい気持ちになりました。^_^
2006.09.08 22:08 | URL | #- [edit]
Elijah says...""
ZAKさん

はい。この作品は、観終わった後に『じわ~~~~っ。』と来ましたね。

>「マイプライベート・アイダホ」
>「プリシラ」
>「トーチング・トリロジー」
>「同級生」
>「ハッシュ!」
↑この中でそう思えたのは、『ハッシュ!』だけですが(汗)。。。
ほかのも一応観たんですけど、ほとんど印象が残ってないんですよねー。
そう考えたら、僕の中でのゲイ映画の佳作って、あんまりないかもしれないです。
とにかく、暗い終わり方が嫌なんですよ。
GAY=死…みたいな描き方が。

『トランスアメリカ』…ZAKさんの目から見たら、どう映り、どう心に響くのか興味があります。
いつか見てみて下さいね!
2006.09.09 15:12 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
Elijah says...""
Chocolateさん

こんにちは☆

Chocolateさんも、この作品好きですか!
嬉しいですねー。
そうですね。
この作品が、同じ問題を抱える人の励みになったらいいと思いますし、世の中の意識改革に少しでも繋がってくれれば…。

ラスト…さりげなく押し付けがましくなく描いていて、ホント温かでした。
あの2人の未来に幸あれ!ですよね。
2006.09.09 15:20 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ヒデ・グラント says...""
今日(正確には昨日か)、『キンキーブーツ』 と 『グエムル』 を観てきました。
って、『トランスアメリカ』 の日記にコメントを書くのも変だけど(笑)。

『キンキー』 は日比谷で観たんだけれど、全部の回が満席(売切れ)。僕は1週間前に席を予約していたから良い席で観れたけど、すごい人気なんだね。映画の方もなかなか良かったです(感想はまた改めて)。

これを観て気分が高揚したせいか、帰りに 『コニー&カーラ』 をレンタル。ドラッグクイーンの世界にドップリの一日でしたね(笑)。
(「Xファイル」に出てた役者(誰だっけ?)の垂れ目具合がよかったな~キュン死)

『トランス』 は予定になかったんだけれど・・・時間を調整して観に行きたくなりました。ちなみに僕も、ニューハーフや女装趣味の人は苦手かなぁ~。
2006.09.10 02:20 | URL | #- [edit]
Elijah says...""
ヒデ・グラントさん

『キンキーブーツ』と『グエムル』…観て来られたんですね。
『キンキーブーツ』は、ホントにめちゃくちゃ混んでるみたいですねー。
1週間前に予約!
【通】の映画ファンは、そうこなっくっちゃ(笑)!!
ヒデさん…この作品、なかなかよかったみたいですねー。
そう聞くと、ますます早く観に行かねばと思っちゃいます☆

その流れで、『コニー&カーラ』も見たんですかー。
ホントに、映画三昧ですね(笑)!
僕は、この作品、映画館で観ましたよ。
『ミュリエルの結婚』を見て以来、結構、トニ・コレットが好きなのもあって。
この作品でのデビッド・ドゥカブニー…確かにカッコよかったですよね!内面的にも☆
ヒデさん…ヒュー・グラント同様、タレ目の男優さんにキュン死なんですね(笑)。

『トランスアメリカ』は、ホントにハートフルな作品で、オススメです☆
ヒデさんも、ニューハーフや女装趣味の人が苦手なんですね。
僕みたいに、見方がちょっとでも変わるかもしれませんよ!
そういう意味でも、時間があればぜひ観てもらいたい作品です。
2006.09.10 21:53 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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