オゾン×メルヴィル。

★注意!ネタバレあります★

6月、一本目の映画。
『アンジェラ』、『ロシアン・ドールズ』に続くフランス映画3本目。
フランス人監督でいちばん好きなフランソワ・オゾンの新作『ぼくを葬る(おくる)』
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とてもいい邦題だと思う。
今回の主演俳優は、メルヴィル・プポー(1973年生まれ)。
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フランス俳優で、大好きな男優のひとり。
初めて彼に出会ったのは、『いちばん美しい年令(とし)』(1994)で。
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当時、難しいイメージのあったフランス映画。
だけど日本版のチラシに惹かれて、今は無き扇町ミュージアムスクエアに観に行った。
その後、TVで『夏物語』(1996)を。
彼目当てに、これも今は無き心斎橋パラダイスシネマで『キッドナッパー』(1998)を。
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意外に面白くて、ますます彼にもハマった記憶がある。
ちなみに、この作品で初めてロマン・デュリスとご対面。
メルヴィルの出演作は、なかなか日本公開されないので、主演ではこの『キッドナッパー』以来となる。
助演で英語作品『ル・ディヴォース/パリに恋して』(2003)に、ナオミ・ワッツの夫役で出てたけど。
そして今回、オゾン監督作品の出演へ。
『焼け石に水』ではスクリーン・テストを拒否。『ふたりの5つの分かれ路』では年令が若すぎると断念。遂に3度目のオファーでコラボ実現!

テーマは死生観を描き、オゾン初の男性が単独主人公の物語。
Paris在住の31才のファッション・フォトグラファーのロマンが、余命3ヶ月と宣告される。
彼は、その事実を外面的には静かに受け入れ、孤独に死んでいこうと決意する。
詳しい事実は、自分自身と生き方が似る自由奔放な祖母ローラ(演じるのは貫禄のジャンヌ・モロー!)にだけ話して。
この辺りの性格は、彼の育った家庭環境に問題があったと思う。

ポスターのイメージでは、メルヴィル演じるロマンが愛する人との子どもを残すまでを描いた作品だと思っていた。
だけど実際の役のセクシャリティは、ゲイだった。
しかも、スチール写真でロマン(=メルヴィル)と一緒に写っていた彼女らしき人は、彼の恋人サシャ(=男優のクリスチャン・センゲワルト)だったり。
ホントに女性にしか見えなかったから!
この2人のセックス・シーンがとてもリアルで驚かされる。
無修正で、メルヴィルのモノがErectしてたり。
彼自身は実生活ではストレートだけど(バツイチで4才の女児あり)、フランス俳優魂というか、凄いと思った。
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とにかく、メルヴィルが美しくカッコいいの一言に尽きる。
まるで、彼のP.V.のよう。ファンとしては、もうタマらない。
終盤に向かうに連れて、痩せ細っていく様(10㌔の減量)にも役者魂を感じた。もともと、細身だというのに。
クライマックスでの坊主頭も似合ってる。

もし僕自身が、余命3ヶ月だと言われたら、ロマンのように静かには過ごせない。
きっと誰かに、いや会う人全員に『僕、もうすぐ死ぬねん!』と連呼して、泣き叫んだり、冷静に受け止めてるフリしたり、下手したら同情を買おうとしたりするかもしれない。
もともと仕事柄、死に関わったりするので、普通の人よりかは死に対して慣れてるかもしれないけど、いざ自分がその立場になったらどうなるんだろう…。
30代になって、それなりに死に対するなにかを考える機会はあるけど、それは自分自身の死についてではないし…。

ロマンは途中で、一度しか会った事のない見知らぬ女性ジャニィ(前作『ふたりの5つの分かれ路』に続いての登板ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)に、夫が不妊症なので精子を提供してほしいと懇願される。
体外受精としてではなく、ゲイの彼が女性とセックスをするという形で。
一度は躊躇したものの、自分の子孫を遺したいという『生』に対する執着心が出たんだろうな…彼は快諾する。
そして、その行為をジャニィの夫も交えて3人でセックスをしようと提案する。
傍から見れば、この光景は異様かもしれない。
だけど、僕はこの行為がとても素晴らしいように思えた。
価値があり、意味がある子作りのように見えたから。

振り返れば、オゾンの作品には常に死がつきまとっている。
彼の作品で、いちばん好きな傑作『8人の女たち』にも。
『スイミング・プール』辺りから下降気味かなと思っていたけど、またこの作品で、彼の才能を見直すことになった。
初のシネマスコープによる今作は、『まぼろし』に続く【死についての3部作】の第2章でもある。
これから製作されるであろう最終章では、子どもの死が描かれるようだ。
今作の象徴的なラストの海のシーン。
僕は、彼がこの作品で何を言いたいのか、はっきりとは理解できなかったかもしれないけど、それでもなにか心地いい余韻が大きく残った。
孤独、死へ向かう前向きで軽やかな助走、悔い無き微笑みある最期、昇っては沈んでいく太陽…いろんな思い。
そこが、フランス映画の曖昧さ。ますます、ハマりそう…。
『ロシアン・ドールズ』でもそうだったように、ゲイを自然に描いてるところに好感が持てる。デフォルメされてないゲイ・カップルたち。普通に世の中に溶け込んでる匂いがした。
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僅か、81分の映画。特に主人公ロマン同様、号泣する訳でもなく。
だけど、静かに内なる叫びや不安や葛藤が伝わってきて。
オゾン×メルヴィルのコラボは見事なChemistry効果あり。
過去のオゾンの作品を見たくなってきたなぁ。
そして、100%出ずっぱりのすっかり大人になったメルヴィルとの再会。
この作品は、きっと彼の代表作(=ターニングポイント)になると思う。

MEMO:OS名画座
2006.6.1 18:40
映画の日1000円
あーさん
点数評価:77点

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6 Comments

さつき says...""
おおー!!
待ってました!オゾン監督の新作!

実は今日、たまたま通りかかった映画館でポスターを見て
昨日から始まってるのを知りました。見たくて見たくてヨダレが出そうになりました。
でも、こっちの映画って
ほとんどドイツ語で吹き替えるんですよ。字幕も無し。
何、考えてるんだろうね。

ちなみにドイツ語のタイトルは
「Die zeit die bleibt」
といいます。
zeitは時間 bleibtは残るとか留まる
っていう意味だから
映画の内容を現しているね。
邦題はなかなか秀逸です。

あと、
ジムジャームッシュの
「BROKEN FLOWERS」も
昨日から始まってました。
もう見ましたか??


2006.06.03 02:33 | URL | #Rdt3XBbw [edit]
Elijah says..."●さつきさん"
おおー!!オゾン・フリークのさつきちゃん☆

ベルリンでも始まりましたかー。
字幕の習慣って、欧米ではあまりないみたいだよ。字幕を読むのに慣れてないから、吹替えにしないと観客が来ないと、なにかで読んだ記憶が。
パンフレットといい、日本もしくはアジア独自のStyleかもね。

英題は、『TIME TO LEAVE』。
直訳すると、【去る時間】とか【残すべき時間】。こっちも内容そのままだね。

さつきちゃん…もし観たら、また感想聞かせてね。

ジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』も観たよ!
【最近の記事】の『人生を、ピンク色にするには。』をクリックして下さいな☆
2006.06.03 20:55 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
Chocolate says..."私も見ました。"
おはようございます。

私もこの作品見ました。
そしてまんまとメルヴィル・プポーにやられた1人です。(笑)

昼間は賑やかだった海・・・
日が暮れるにつれ人気が無くなり
最後ロマンはそこで1人。

あのラストシーンはジーンとしちゃいました。
1人で見に行ったんですが、1人で良かったと思いました。
余韻にすごくひたれました。

「夏物語」もすごくいいですよねー。
これを機にロメールの四季シリーズも
全部見てみようかと思ってるんですよー。
2006.06.04 08:19 | URL | #jEdBk3EI [edit]
Elijah says..."●Chocolateさん"
こんばんは。
Chocolateさんも見られたんですね。
メルヴィルにやられましたかー(笑)。ホント、彼ステキですよね。

海でのラストシーン。
とても印象深かったですね。
あそこで、オゾンなりの人生観を表していたように思えました。

『夏物語』は随分前に一度見ただけなので、
メルヴィルの華奢で少年のようなイメージしか残ってないんですよー。
ロメールの『四季』シリーズは、この作品しか見たコトないです…。
2006.06.04 22:43 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006.06.11 23:58 | | # [edit]
Elijah says..."●秘密さん"
秘密さん的には、この作品…そんなに印象には残らなかった?
うん!メルヴィルはホントにカッコよかった☆
これで、ますますファンになりそう。
僕、『まぼろし』はDVDで見てて、途中脱落しちゃいました。
今度、再Tryしようかな。。。

直訳の件、指摘ありがとう!
いくつかの翻訳サイトにかけたら、『去る時間』と『残すべき時間』が表示されて、この映画の雰囲気で後者を選んじゃいました。。。
2006.06.12 18:06 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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