オリバー・ツイスト(イギリス=チェコ=フランス=イタリア)

【涙のあと幸せはやってくる。】

文豪チャールズ・ディケンズの児童文学の映画化。
過去に何度も映像化されている名作。
彼が書いた『大いなる遺産』は大好きな作品だ。
今作は、19世紀のロンドンを舞台に、
純真無垢で汚れなき9才の少年が本当の幸せを掴むまでを描いている。

当時のロンドンの街並みとそれを表現する美術は本当に素晴らしい。
冒頭と締め括りの絵本のような見せ方も、文学のイメージを保っていて。
だけど正直、何が言いたいのかテーマがよく解らなかった。いい物語とは思うけど。
タイトルロールである主人公オリバー・ツイストに、
ハングリー精神がなかったことがどうも解せない。
この作品の監督であるロマン・ポランスキーの前作『戦場のピアニスト』の主人公同様、
常に誰かが犠牲となり、誰かに守られ救われる受け身の立場だから。
少年の行動に、ほんの少しでもいいからサヴァイバル精神が欲しかった。
彼は最初から最後まで随所で涙を流す。
最初はその涙に憐れみを感じていたけど、終盤にはその涙にあざとさを感じてしまっていた。
涙は武器といったところか。
それが捻くれた見方だと解っていても!
なんだろう…
彼にこれまで生きてきた自分自身を見出しているようで居心地が悪かったせいかもしれない。
『人生、そんなに甘くはないし、そんな簡単には行きっこないよ。』
と思えたから。
この作品はもしかしたら、見る時の気持ちで評価が分かれるかもしれない。
そして、実生活で波乱万丈の人生を送ってきたポランスキー監督は、
だからこそ受け身の人間像に惹かれるのではないかなと思えた。

オリバー役のバーニー・クラークは透き通るような色の白さの可愛らしい少年で、
かつての幼き頃の自分を見ているようだった(笑)。
そりゃあ、あの儚げな表情で見つめられたら大人は…。
だけど、僕的にはスリ団のリーダーで『早業ドジャー』と呼ばれる
アートフル・ドジャー(ハリー・イーデン)の方が、当時の本来の少年ぽくて印象に残った。

オリバーの人生はいつも運命に流されていた。
ただ、どんな時も周りに感化されずに生きる姿勢は凄いと思えるし、
どんな人間性を持ち合わせていようとその人に対する感謝の気持ちを忘れないという行いは、
ある意味、【神】の心を持った少年に見えた。
そんな中、一緒に観た友人が観終わった後に言った言葉はその通りだと思えた。
『この物語は、わらしべ長者よ。』と。
今の現代人にはもう通用しない物語かもしれない。

20060206232323.jpg

2005年/129分
ナビオTOHOプレックス/吉村ちゃん・ナカジ
金券ショップ1200円→950円

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3 Comments

ree says..."オリバー"
評判悪いし、知人からも「駄作」と言われたけど、
やはりE!評もイマイチなのね。
でも自分の目で確かめて納得したいので、
明日見に行く予定です。
あの主演少年やリーダー少年見るだけでも、
少年フェチの私には満足させてくれるかな~
と期待して。

ちなみに「戦場の~」は、イラク戦争時期で
戦争の酷さとリンクしたタイムリーな作品
だったので、涙しました。。
当時ドラマ性に欠けると言う声もあったけど、
他人を犠牲にしてでも生き延びた主人公は、
実際あの状況にいれば「生き延びる」のに
必死になるだろうし、「生」に執着した姿は
リアルだと思った。

ポランスキーは「戦場の~」も良かったけど、
「ローズマリー~」や初期のスリラー系
(ドヌーヴ+ドルレアック美女姉妹の「反撥」
「袋小路」)が好きです。あと「テス」も。
美女センスが抜群だったな~と。
2006.02.08 00:21 | URL | #- [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2006.02.09 23:36 | | # [edit]
Elijah says..."コメントありがとう。"
●reeさんへ。
少年たちの配役は良かったから、reeさんの期待には応えられると思うよ。
『戦場のピアニスト』に涙したなら、この作品も大丈夫かも。
僕はポランスキーは、『死と処女(おとめ)』と『戦ピア』しか見たコトない。
初期の頃の作品(特に『反撥』)は見たいんだけどね~。

●ECOさんへ。
初コメントありがとう♪
久し振りにいい映画に出会えたようで、よかったです。
うん。素直に生きていければいいよね。
簡単なようであってとても難しいコトだけど…。
でも自分に正直に生きていれば、絶対的に善いコトが起きて、それが幸せな道へと繋がっていくんだろうなとは思えたよ。
2006.02.10 18:49 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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