DEAR WENDY ディア・ウェンディ(デンマーク=フランス=ドイツ=イギリス)

【これはウェンディという名の美しい銃に魅せられた子供たちの物語】

親愛なるウェンディ。
気品ある螺鈿(らでん)と優雅なレリーフの装飾の下に、
屈強な真鍮(しんちゅう)の鎧(よろい)を纏(まと)った君。
たちまち、僕は君の虜になってしまった。
君をこの手で握りしめる時、弱い僕の心に、
みるみる間に勇気がみなぎってくる。
そして、戦いさえも、取るに足りないもののように思えてくるんだ。
でも、ウェンディ。
もし、誰かが僕に致命的な一発を撃つなら、
その弾丸は、君から発射されたものであって欲しい。
僕を強くしてくれた君。
もう行かなければならない。
そう、今こそ“愛する”時が始まる――


トマス・ヴィンターベア(監督)×ラース・フォン・トリアー(脚本)の
『ドグマ』チームによるコラボレーション。
トリアー監督(今回は脚本のみ担当だけど)って特に好きではないんだけど、
なぜか惹かれる【影】のような要素があって。
しかも彼の作品は観終わった後、必ず疲れるし…(苦笑)。

アメリカ南東部の炭鉱町が舞台。
ある日、ひょんなコトがきっかけで【銃】を手にした主人公の少年ディックは、その銃にウェンディと名付け、自分も含めて社会(=炭鉱職)から疎外された5人の若者を集め
【ダンディーズ】という秘密結社を結成する。
但し、【銃】はあくまで平和を守るために携帯するだけであって、
決して人に発砲してはいけないというルールを決めて…。

物語の中盤までセリフ(=状況説明)ばかりで、少々眠気が襲うかもしれない。
だけど、クライマックスに向けての高揚感はなんとも言えないものがあって。心の中で、『ウォーーーーーッ!!』と叫ばずにはいられない。
やっぱりトリアーの作品は終盤に面白くなる習性があるように思える。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『ドッグヴィル』も然り。

この作品は、【銃】マニアにはタマラない設定だろう。
とにかく詳しく描いている。
僕は見ていてチンプンカンプンだったけど(笑)。
でも、その【銃】についてもきちんと皮肉ってあって。
現代のアメリカの【銃】社会に対する批判と警鐘を訴えているように見えた。

ディックを演じるのは、ジェイミー・ベル。
『キング・コング』の時も思ったけど、ホントにいい感じに成長してる。
彼にはこういう労働者階級の役柄がホントよく似合う。
ディックに【銃】の魅力を教えた同じ職場で働く同僚スティーヴィー役のマーク・ウェバー。
北欧系の薫り漂うルックスと一匹狼的なキャラクターがちょっと気になって、釘付けで見てた(笑)。
髪型のスタイリングを真似したいなぁ…とか思いながら。

独特の映像美(撮影は最近好みのアンソニー・ドッド・マントル!)と、
クールでスタイリッシュなカメラワークに酔いしれる。特に銃弾の流れの見せ方!
音楽もゾンビーズの曲を多用し、ヴィンテージ物の衣装に小物と正にクール。
現代劇でありながらも、どこかクラシックなスタイル(=西部劇風)だった。

最大の見せ場であるクライマックスの銃撃戦シーン。
その命の儚さと仲間意識に一瞬、泣きそうになる。
大義を貫き、仲間の意思=遺言を守り…。
なんとなくチョイスしただけなのに、結構胸にくる作品だった。
またしても、トリアーに殺られた!
チクショー、心地いいぜっ。

20060201235203.jpg

2005年/105分
ナビオTOHOプレックス/悠子ちゃん
映画の日1000円→1450円

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5 Comments

ree says..."ドグマ"
の結束ってまだ続いてるの?
だってボスのトリアーが掟破りまくってるんでしょ?
(笑…ダンサーで。でもダンサーはドグマ作品
ではないからいいらしい…何のこっちゃ)。
ドグマ族の一人、ハーモニー作品は「ガンモ」
「ジュリアン」と見たけど、どうも私合わなくて
(ハーモニー自身はキュートだけど)。
ヴィンターベアものはまだ見た事ないっす。

この作品、昨年末劇場でチラシ見た時ラース
作品(監督)かと思ってた。
ちょっと見たいなと思ったけど、銃映画か~とちょっとひるんでしまって。
ドキュメンタリー調なのはイヤじゃないけど、
フィクションだとドンパチなイメージで。。
でもE!評価かなり良さそうだね。
レンタルか衛星待ちでチェックしてみます。

「トリアーの作品は終盤に面白くなる習性が
あるように思える」っての、わかる~
「ドッグヴィル」がそーだった。
延々と続くナレーションが子守唄のようで、
初めの1hはかなり爆睡、起きててもしんどくて
マジで帰ろうかとイラついたけど、中盤以降
のラースの毒牙が始まってからが畳み掛ける
ようなエグさにハマってしまった。

そうそう、この作品見たいと思ってた理由が、
お気に入り男子たち:ジェイミーとマーク・ウェバーがキャスティングされてるからなのよ~
マークってキュートよね。
ソロンズの「ストーリーテリング」、映画自体は
イマイチだったけど、とぼけたダメ男マークが
かわいくて。
イーサンの「チェルシー~」でもダメ男、
ウディの「さよなら~」でのパンク息子‥と
脱力系が多いけど、かわいくて~
ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」
映画自体楽しみで仕方ないのに、マークも
出てるなんて早く見た~い!!
2006.02.04 23:21 | URL | #- [edit]
Elijah says..."reeさんへ。"
『ドグマ』の結束がまだ続いてるかは分からないけど、今作では『ドグマ』のように個別ではなく一緒に仕事してるね。ちなみに、この作品も『ドグマ』ではないよ。実は僕、『ドグマ』シリーズ嫌いなんだよね~。実験映画ぽくて。なので、ハーモニー・コリン監督作品も観たコトない。彼、私生活でのイメージが悪くてどうも苦手だし。クロエ・セヴィニーの元カレだよね。
ヴィンターベアは僕も初見だよ。この作品の前に撮った『It's All About Love』(2003年)の日本公開を待ってるんだけどね。昔、日本版『プレミア』で見たモノクロのスチール写真の印象が強く残ってて。主演はホアキン・フェニックス、クレア・デインズ、ショーン・ペンで通好みなんだけど。

reeさん、マーク知ってたんだ~!ちょっとヤラれた(笑)。僕は今作が初見なんだけど、どっかで見たコトあるなと思ってたら、『ボム・ザ・システム』の主演男優だった。これ気になってたんだけど、大阪では去年レイトショー公開だったので諦めてた作品で。なので、『ブロークン・フラワーズ』もジャームッシュ苦手なんだけど、マーク目当てで観に行くつもり(笑)。

この『DEAR WENDY』もそうだけど、『マダムと奇人と殺人と』もreeさんが大阪に住んでたら、絶対一緒に観たくて誘ってた作品だよ。
2006.02.07 22:38 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ree says..."ハーモニー"
は、ガスの「ラストデイズ」で俳優で出てる
みたいだね。ますます楽しみ。
そー言えば俳優として出てるのは見た事ない
かも。結構美形よね。
前々から、若かりし頃のデニーロ(「タクシー
ドライバー」のトラヴィス辺り)に似てて男前と
思ってました。

マーク、one ofイチ押しボーイよ☆
とりあえずコミュにも入ってます。
「ブロークン・フラワーズ」はジャームッシュ
だから無条件に見たい作品だけど、
マークはもちろん、主演のビルにクロエ、
ジュリー・デルピーと私好みのキャスティング
で見ないわけにはいかない!
GWが待ち遠しい!!
ガスにジャームッシュ、春以降私のごひいき
監督作が続くので楽しみだわ。。
2006.02.08 00:47 | URL | #- [edit]
ree says..."追伸"
又一緒に映画行って語り合いたいね!
次回楽しみにしてま~す☆
2006.02.08 00:49 | URL | #- [edit]
Elijah says..."reeさんへPart2。"
全く興味がない(笑)コリン…『ラストデイズ』に出てるみたいだね。
美形…かな!?トビー・マグワイアを汚くブサイクにした感じがする。
『タクシードライバー』のデ・ニーロ似は納得だけど。

マークのコミュに入ってんだ(笑)!
…てコトは結構、通の間では人気あるんだね。
ガスにジャームッシュ…どっちも苦手です(汗)。

そのG.W.辺り、一緒に映画観れたらいいね♪
2006.02.10 18:29 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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