マイ・バック・ページ。

マイ・バック・ページマイ・バック・ページ②
『マイ・バック・ページ』(2011)
●観た理由●
妻夫木聡の主演作&山下敦弘監督の新作なので。
●豆知識●
『マイ・バック・ページ』を巡る1969年~1972年の基礎知識。
【①時代:本作は1969年~1972年までの時代が描かれる。
当時はアポロ11号の月面着陸、大阪万博の開催などの華やかな出来事の裏で、
高度経済成長の結果生まれた、公害問題などの社会の歪み。大学の学生急増による大衆化。
日本の身近にあったベトナム戦争。これらを背景に、ごく普通の若者たちが、
危機意識を持って、何かを変えようと学生運動に身を投じていた時代だった。
②学生運動:1968年東京大学、日本大学などで、大学側の方針に不満を持った学生が
『全学共闘会議』(全共闘)という闘争組織を結成。
1969年、東大安田講堂に立てこもった学生たちが機動隊により排除されるのを機に
東大、日大での闘争が下火になる一方、学生運動は全国に拡大。
安保反対闘争、ベトナム反戦運動など様々な政治的テーマを帯びていくようになり、
過激な武力闘争を行う『過激派』も台頭していくようになる。】
●覚え書き:この映画を観て思ったこと●
とても丁寧にじっくりと描いている作品だった。
鑑賞前に“長い”と感じていた上映時間141分はアッという間に過ぎ去っていった。
今回の山下敦弘監督作は『松ヶ根乱射事件』(2006)のような“陰”の作品だった。
見応えはあったものの、好みで言えば『リンダ リンダ リンダ』(2005)と
『天然コケッコー』(2007)のような“陽”の方の山下監督作が好きだと実感。
お目当ての妻夫木聡(週刊東都、東都ジャーナル記者:沢田雅巳役)の
若干、“青さ”が残る正統派の悩める役柄を演じる姿は好きだ。
ただ、クライマックスのハイライトであるラストシーンで、
一筋の涙を見せなかったのは残念に思える。
涙を見せることで、もっと沢田の心情が伝わってくるように感じたから。
対する松山ケンイチ(本名:片桐優、赤邦軍リーダーの梅山役)演じるキャラクターには
終始イライラさせられっ放しだった。
本当に口先だけの人間で、自分の都合が悪くなると平気で嘘を並べ立て、
自己防衛や責任転嫁、言い逃れをするような男。
この男を信じたせいでどれだけの人間の人生が狂わされ迷惑を被ったことか。
その辺りの梅山のふてぶてしい態度や開き直り加減を松ケンは上手に表現していたと思う。
ブッキーと松ケンがCCRの『雨をみたかい』を一緒に歌うシーンは印象的だったな。
この時、ふと『17歳のカルテ』の時のウィノナ・ライダーと
アンジェリーナ・ジョリーが同じように一緒に歌うシーンを思い出した。 
ジャーナリストとしての“野望”をむき出しにしてしまったことにより、
週刊東都の先輩記者である中平武弘(古舘寛治)の忠告を聞かず、
その想いだけで突っ走ってしまった沢田。
その行動が良かったのか悪かったのかは当の本人にしか分からないだろう。
物語の冒頭と最後に登場するタモツ(松浦祐也)の
『生きてりゃいい』という台詞が沢田の心に重く圧し掛かると共に観客の心に沁みる。
その言葉は激動の時代を生き抜いた人に対し、尽きるものだと思う。
鑑賞中は遠い昔の日本の若者の物語という感じで、
登場人物の誰もに共感することができなかった。
でも、後々になってじわじわと熱い想いが込み上げてくるような作品に変わった。
映画鑑賞後、週刊東都の表紙モデルを務めていた倉田眞子(忽那汐里)が
なぜあの若さで早死にしたのか気になり(劇中では言及されていない)、
WEBで調べたら…ショッキングな最期だった。
●満足度●
★★★☆

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