秘密のかけら(カナダ=イギリス=アメリカ)

【秘密を抱えて生きるひとは、いつか秘密に殺される】

アトム・エゴヤン監督作品を見るのは初めてだ。
独特で癖のある印象を残しつつも、観ることにする。
正直、その世界観に惹きこまれ見入ってしまった。
なかなか理解しやすく作ってあったと思う。それでも少し難解だったけれど。

原題『WHERE THE TRUTH LIES』を訳すと、【真実の在り処】となる。
正に、ここがこの作品のテーマとなっていた。

この作品を観て、僕が感じたこと。
本当の真実を知らない方がいい時もある。
誰かに言われた言葉を救いとする者もいれば、誰かに発した言葉に救いを求める者もいる。
そう考えると【言葉】って、本当に重要であり毒でもあり不可思議なものと言える。

1957年のショービズ界(=ハリウッド)で起こった、ある迷宮入り事件。
15年後の1972年(奇しくも僕がこの世に誕生した年でもある)に、ひとりの女性ジャーナリストが、
この事件に関与した人物にスポットを当てインタビューしていきながらも謎を解いていく…。
その当時のクラシカルであり退廃的な雰囲気に酔いしれながらも、
背後に見え隠れする人間の本質や欲望を描いている。
と同時に、ジャーナリストとしての人間性を問う作品でもあった。

かつて人気のあるコンビであったラニー・モリス役のケヴィン・ベーコン。
相変わらずの脱ぎっぷりの良さにナルシズムを感じるのはご愛嬌。
いつもの灰汁の強さを感じつつも、実は受け身のキャラクター。
誰よりも友情を重んじていた。
ラニーの相方ヴィンス・コリンズ役のコリン・ファース。
知的な雰囲気に隠されたラニーに対する深い愛情。それは、友情を超えていた…。
それを知った時点で僕は、
彼の初期の頃の作品である『アパートメント・ゼロ』の役柄を思い出さずにはいられなかった↓
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今作では、哀しいほどに印象が残る衝撃的なキャラクターだった。
ケヴィンとコリン2人の卓越した演技が見物だ。
野心的なジャーナリスト、カレン・オコナー役のアリソン・ローマン。
『ホワイト・オランダー』の芯が強い役柄がとても印象に残っている↓
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今作では、大胆にもヌードを披露し、その成長ぶりに驚かされる。
一見、強欲で強かに思えるキャラクターも、彼女のあどけなさが残る表情で許せるものがあった。
それにしても、やっぱり彼女はジェシカ・ラングに似ている。
脇を固める俳優陣も地味ながら印象に残る演技を披露していた。

この作品を一緒に観た友人が語っていた。
劇中に出てくる、『不思議の国のアリス』のアリスがキー・ポイントだと。
カレン自身がそのアリスを象徴しているのではないかと。
確かに言われてみれば、そうかもしれない。
不思議の国(=ショービズ界)に迷い込み真実を追究していく点、
ドラッグを使用してのトリップ時や常識を逸脱した行為が、
ある種のファンタジーを連想させるものがあるから。

極上のミステリーでありながらも、人間心理を追求する作風でもあった。
どこか、ヨーロッパの薫りが漂っていて。
映画通(特にミニシアター好き)の人には、ぜひ見てもらいたい良質の一本。
20060115001120.jpg

2005年/108分
ナビオTOHOプレックス/藤原ちゃん
前売り券1300円→1400円

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4 Comments

ree says..."しまった…"
「ダウン・イン~」で書いたこの映画のコメント
こちらに書くべきだったな~
「ビッグ・フィッシュ」でもかなり似てたけど、
ほんと、アリソンはジェシカそっくりだよね~
未見で内容わからないんだけど、アリソン、
ケヴィン、コリン3人の絡みのシーンて笑けるの?
「虎ノ門」で井筒さんが大受けしてたんだけど‥
他の客はシリアスで見てたみたいだけど。
2006.01.15 21:53 | URL | #- [edit]
Elijah says..."reeさんへ。"
あはは。うん、こっちでコメントして貰ったら良かったね(笑)。
ネタバレになっちゃうから詳しくは書けないけど、アリソンは3人での絡みのシーンはないよ。違う女優さんがケヴィンとコリンと3人での絡みがある。
そのシーンで笑うのは、その人の感性によるんじゃないかな。
見方によれば笑えるかもしれないけど、僕は衝撃的で切なさを感じたから。
なんか、井筒監督のコト、ますます苦手になりそ…。
2006.01.15 22:50 | URL | #d/k.Dt.. [edit]
ヒデ・グラント says...""
そうそう、「虎ノ門」で井筒監督が評価してるのを見て、気になってた作品です<『秘密のかけら』
(余談だけど、イラ君主演の『フーリガン』、井筒監督はボロクソ言ってました。当然★はゼロ。 別に、彼の感性を信頼しているわけではないけど、影響力があるのは確か。)

事件の真相につながる3人での絡みシーン・・・
僕もコリンにバリバリ感情移入してしまい、切なくて胸が苦しくなってしまいました。

その真実を知ることで誰もが不幸になってしまうこと・・・あるんですね。
秘密を秘密のままにしておく・・・時には大事なことなのかも。
2006.09.07 09:39 | URL | #- [edit]
Elijah says...""
ヒデ・グラントさん

こちらにもコメントありがとうございます!

『虎ノ門』は関西では(多分)放送してないので、未見です。。。
僕主演(笑)の『フーリガン』…結構、僕は好きですけどねー。
この作品に出てるチャーリー・ハナムくんは要Checkですよ(=青田買い。笑)。
もともと苦手だった井筒監督のことは『ゲロッパ!』と『パッチギ!』で見直しましたけど、僕には全く影響力はないですねー(ここでも失礼)。
…と言うか、おすぎもそうですけど、評論家の言うことは、もう話半分で聞いてます。
だって、生きてきた環境とかセンスは違いますから。
なので、感想は様々なはず。
映画の感想は【十人十色】でいいと思ってます。

コリンの気持ち…ホントに切なかったですよね。。。
想う立場の人間は、想われる側の人間よりも辛いものがあるのかもしれませんね。。。

真実を知ることで、誰かが不幸になること…僕は大いにあると思いますよ。
もちろん、【話す】ことも大事ですけど、時と場合があることを、この作品を見て痛感しました。
でも、基本的に僕はキンゼイのように知りたがりですけどねー(苦笑)。
2006.09.09 14:59 | URL | #d/k.Dt.. [edit]

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