ABBAの曲がかかれば、それでオッケー。

マンマ・ミーア!⑥マンマ・ミーア!マンマ・ミーア!②マンマ・ミーア!③マンマ・ミーア!④マンマ・ミーア!⑤
『マンマ・ミーア!』(2008)
※ネタバレに敏感な人は注意!※
製作が決まった時点でもの凄く観たかった、今月いちばんの期待作。
もちろん、日本公開初日に駆けつけました。
うん!ABBA好きにはタマらない仕上がり!
逆にABBA好きじゃないと楽しめない作品だと思えるくらい、
上映中に席を外す人や退場者が多かったです。
僕とABBAとの出逢いは、オーストラリア映画『ミュリエルの結婚』を見た時。
トニ・コレットとレイチェル・グリフィスがABBAの格好をしながら口パクで歌う、
『恋のウォータールー』の姿を見た瞬間に彼らの音楽が好きだと思えた。
特にラストシーンでバックに流れる『ダンシング・クィーン』の美しいメロディが、
見事に心情と重なって号泣。
その後すぐにベストCD『ABBA GOLD』を買って、映画共々大好きになった。
ミュージカル『マンマ・ミーア!』自体を観るのは今回が初めてじゃなく、
以前に劇団四季が上演した舞台版を鑑賞したことがある。
正直、日本語の歌詞で聴くと全然魅力がないし、
舞台自体にも迫力がなかったので面白くなかった。
観た当時の記憶がほとんどなくて、ラストがどうだったのかさえすっかり忘れていたり。
ようやく英語版で観れると思うと、それだけでめちゃくちゃ嬉しかった。
ストーリーは至ってシンプル。
ツッコミどころが満載だし感情面をかなり端折っているけど、
それはミュージカルに付き物だと許せる。
演出に関して言えば。
フィリダ・ロイド監督の見せ方はちょっと古臭いと思う。
舞台監督出身なだけに【映画】の扱いに慣れていないと言うか、
自分自身のビジョンを確立できていない感じがした。
『なんでそんな撮り方するのかなぁ』と思えるシーンが結構あったり。
でも、舞台的に群集を描くシーンは才能を発揮していたと思う。
キャストに関して言えば。
いちばん印象に残ったのはコリン・ファース。
スウィートな歌声にときめいてしまいました。
そして!『アパートメント・ゼロ』カムバック的な役柄に思わずニヤリとしちゃいました。
あぁ、やっぱり彼は英国紳士的な品の良さを持っていてステキ!
若手二人(アマンダ・セイフライド&ドミニク・クーパー)の存在も瑞々しくて可愛らしかった。
2人とも本当にナイス・バディで、
アマンダのスタイルの良さとドミニクの引き締まった上半身にキャアキャアキャア。笑
もちろん、肝心の歌声も魅力的でした。
逆にピアース・ブロスナンは歌が下手でびっくり。
しかも結構メインで歌うシーンがあるにも関わらず、音程がなくて苦笑い。
第29回ゴールデン・ラズベリー賞の助演男優賞ノミネートも納得のパフォーマンスだった。
おまけにやたらと脱ぐんだけど、もうその身体も全然魅力的じゃなくて…。
かつての『007』シリーズの面影はすっかり消えていました。
なんでキャスティングされたのか不思議…。
でも悔しいけど、あらゆる意味でいちばん衝撃的でした。苦笑
ABBAの歌に関して言えば。
やっぱり『マンマ・ミーア』と『ダンシング・クィーン』のメロディとシーンは圧巻!
前半から終始クライマックスな感じで、ノリノリでした。
あぁ、僕もあのダンスに参加したかった!笑
いちばん嬉しかったのは、
エンド・クレジットの映像で『恋のウォータールー』が流れた瞬間!
先に買っていたサウンドトラックCDには収録されていなかったので、
てっきり使用されないと思っていたからサプライズ的で大興奮。
思わずスタンディングして一緒に踊りたくなってしまったほど。
映画館が貸し切りだったら、絶対に踊っていたな。笑
やっぱりソロ・パートで聴くより、こういうアンサンブルのハーモニーの方が迫力あるなぁ。
このシーンが全体でもいちばん好き!
さりげないABBAのカメオ出演にもニヤリとできたし。
結局、振り返ればこの作品はメインに思えた若者はサイドに置いといて、
年配者に希望と勇気を与える映画だったのかな、と。笑
それでもABBAの既存の曲をこんな風にひとつの作品としてまとめ上げられることが、
なによりも素晴らしいし凄いことだと言える。
日本公開は作品の内容と雰囲気からして、
ジューン・ブライドの時期の方が合っていたかもね。
一緒に観たABBA好きの女子友達は、
海外で鑑賞した英語の舞台版をぜひ観てほしいと僕に言っていた。
…とにかく!僕はABBAの曲がかかれば、それでオッケーなのでした♪
満足度:★★★★☆

関連記事
スポンサーサイト

’09壱月ショービズ・リスト。

1月に観たショービズたち。

●映画館●
★PARIS(パリ)★(フランス)
【この街が教えてくれる、一番大切なこと。】
PARIS(パリ)
MEMO:梅田ガーデンシネマ
2009.1.10 14:45
会員料金1000円
奈良ちゃん
点数評価:75点

★チェ 28歳の革命★(アメリカ=フランス=スペイン)
【2つのチェ・ゲバラ、連続公開
かつて、本気で世界を変えようとした男がいた──。】
チェ 28歳の革命
MEMO:なんばパークスシネマ
2009.1.13 19:00
金券ショップ900円
単独
点数評価:66点

★永遠のこどもたち★(スペイン=メキシコ)
【愛を信じたら、本物の光が見える。】
永遠のこどもたち
MEMO:シネ・リーブル梅田
2009.1.15 19:10
リーブルの日1000円
単独
点数評価:88点

★感染列島★(日本)
【神に裁かれるのは人間か?ウィルスか?】
感染列島
MEMO:TOHOシネマズなんば
2009.1.22 20:00
レイトショー1200円
奈良ちゃん
点数評価:70点

★英国王 給仕人に乾杯!★(チェコ=スロヴァキア)
【小は大より美しい…
小さな国の給仕人が生きぬいた愛と笑いの20世紀チェコ現代史
巨匠メンツェルの甘く美しい傑作!】
英国王 給仕人に乾杯!
MEMO:梅田ガーデンシネマ
2009.1.24 15:50
招待券0円
単独
点数評価:85点

★007/慰めの報酬★(イギリス=アメリカ)
【傷ついた心が、共鳴する。】
007/慰めの報酬
MEMO:なんばパークスシネマ
2009.1.26 18:10
金券ショップ900円
単独
点数評価:75点

★レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで★(アメリカ=イギリス)
【それは──誰もが逃れられない<運命の愛>
あなたの最愛のひとはあなたを愛していますか──。】
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
MEMO:なんばパークスシネマ
2009.1.27 18:00
金券ショップ900円
単独
点数評価:78点

★マンマ・ミーア!★(イギリス=アメリカ)
【どんなことがあっても、笑っていよう。自分の人生がもっと好きになる。】
マンマ・ミーア!
MEMO:なんばパークスシネマ
2009.1.30 18:00
金券ショップ890円
山ちゃん
点数評価:80点

●TV●
★平井堅『Ken’s Bar 10th Anniversary
Christmas Eve Special!』★

平井堅⑯
MEMO:WOWOW
2009.1.17 20:00
単独
五つ星評価:★★★★☆

★第66回ゴールデングローブ賞授賞式のすべて★
第66回ゴールデングローブ賞第66回ゴールデングローブ賞②
第66回ゴールデングローブ賞③第66回ゴールデングローブ賞④
MEMO:BSデジタル2
2009.1.31
単独
五つ星評価:★★★★★

●ライブ●
★ミュージカル『RENT』★(日本)
【No day but today
未来もない過去もない。今日という日、精一杯愛し、生きるだけ。】
RENT日本版
MEMO:イオン化粧品シアターBRAVA!
2009.1.11 14:00
S席10500円
奈良ちゃん、藤原ちゃん
五つ星評価:★★☆

以上。

’09壱月コレクション・リスト。

1月に購入したコレクションたち。

●DVD●
★ファインダーの中の欲望★
【快楽とシャッター音がこだまする。2007年カンヌ国際映画祭正式出品】
ファインダーの中の欲望

●ブルーレイ●
★SEX AND THE CITY 【THE MOVIE】★
【本編は、未公開シーンが追加されたエクステンデッド版(150分)を収録!
充実の特典映像(50分)付き】
SEX AND THE CITY 【THE MOVIE】

●CD●
★マンマ・ミーア!ザ・ムーヴィー・サウンドトラック★
【どんなことがあっても笑っていよう。自分の人生がもっと好きになる。
世界中がスタンディング・オベーション!
すべての人をハッピーにし続ける大ヒット・ミュージカル『マンマ・ミーア!』
待望の映画化!映画キャストが歌う映画版オリジナル・サウンドトラック リリース!】
マンマ・ミーア!ザ・ムーヴィー

●漫画●
★和泉かねよし『メンズ校⑤』★
【男子の純情を、お届けします。】
メンズ校⑤

●ハイビジョンブルーレイディスクレコーダー●
★Panasonic DIGA BW830 500GB HDD★
【ディーガで『ブルーレイシネマ』。】
DIGA
Special Thanks:両親

以上。

その後のダニエル007とジャック&ローズ。

007/慰めの報酬②レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
a.『007/慰めの報酬』(2008)
前作『カジノ・ロワイヤル』から1時間後を描く、シリーズ初の続編。
いきなり冒頭からスタートするカーチェイス・シーン。
迫力と見応えは十分だけど、スピーディな描写に目がついていけない。
『ジェイソン・ボーン』シリーズがヒットしてから、こういう映像が増えた気がする。
シリーズおなじみのオープニング・クレジットに今回もワクワク!
これから始まるストーリーに期待度は高まる。
全体的な完成度は『ワールド・イズ・ノット・イナフ』を思い出した。
ストーリー自体に似ているものを感じたし、目新しさもなかったから。
僕の理解力の無さに問題があるんだろうけど、今ひとつ解りにくい筋書きだった。
前作を観ているにも関わらず、
『この人、誰だっけ?どういう繋がりだっけ?』というのが結構あったり。
上映時間がもう少し長くなってもいいので、その辺りを台詞の応酬で描いてほしかった。
今回は終始アクションにこだわっていたように感じたので、
僕的にはもう少しドラマ性がほしかったな。
そのために今回、マーク・フォースター監督(GOOD LOOKING!)を
起用したんだと睨んでいたのになぁ。
中盤からは徐々に謎が解けてきて面白くなったけど、
振り返れば今ひとつ盛り上がりに欠けていた気がする。
まるで起承転結の【転】が抜けて、気づけばクライマックスだったような。
ちょっと普通のアクション映画のレベルになっていたかも。
『007』シリーズにはそれ以上の面白さやお楽しみがあるはずだから!
そう。今回は『カジノ・ロワイヤル』にあったような高揚感や驚き、
カタルシスがなかったんだよね。
やっぱり前作の完成度の高さが凄すぎたんだろうなぁ。
どうしても比較してしまうし、ハードルを高く上げて観ようとするから。
お目当てのダニエル・クレイグは相変わらず格好よくて、
特にトム・フォードが担当したスーツ姿にホレボレ。
苦悩する表情はやっぱり巧い。
でも期待していた脱ぎのシーンが、一回しかなかったのが不満。
しかもすでに予告編で見ていたシーンだったし。笑
フランス男優マチュー・アマルリックの悪役を密かに楽しみにしていたんだけど…
うーん、正直、彼の魅力を活かしきれていなかったと思う。
『ワールド・イズ・ノット・イナフ』のロバート・カーライル並みの勿体なさを感じてしまった。
悪役としての存在感と凄みがなかったんだよね。
これだったら『ミュンヘン』の時のマチューの方が、
出番は少ないながらもっと不気味さを感じられたんだけどなぁ。
…と、なんだかんだ言ってしまったけど結局のところは楽しんで観てました。笑
やっぱり単純に【ダニエル・クレイグ AS ジェームズ・ボンド】が好きなんだよね!
結果的に今回の真相究明もまだまだ氷山の一角に過ぎなかった訳だし…。
エンドロール最後の【JAMES BOND WILL RETURN】の
言葉を信じて、NEXTを待っています!
あ。エンド・クレジットで気づいたんだけど、
キャストの中にギレルモ・デル・トロ監督の名前が!
どうやらアルフォンソ・キュアロン監督と一緒に声の出演を果たしていたみたいです。笑
満足度:★★★☆
b.『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)
レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレットが『タイタニック』以来、
11年ぶりに再共演を果たした夫婦ドラマ。
もし、あの時ジャック&ローズが結ばれていたら…。
この作品にそんな淡い思いを持ちつつ、
予告編で感じた通りにそういったものは微塵もなかった。
観終わった後の感想は、まるで一冊の分厚い本を読み終えた感覚に近い。
見応えはとてもあったけど、グッタリと疲れてしまった。
観ている間、何度かその場から逃げ出したい気分にもなった。
余りにも、二人を観ているのが辛くて…。
それでも演技派として成長した二人が共演するところを観れるだけで、
とても嬉しいものがあった。
1955年、米国コネチカットの新興住宅地に住む一組の夫妻を描いていく。
この時代に生きた女性:専業主婦にしか解らないであろう思い。
否応なしに『めぐりあう時間たち』と『エデンより彼方に』、
そして『リトル・チルドレン』を思い出した。
作品全体から常に伝わってくるもの…それは不安な思い。
この作品から僕が感じ取ったものは息苦しさと虚無感。
その先に起こりそうな嫌な予感にビクビクしながら観ている自分がいた。
僕はレオ演じるフランクとケイト演じるエイプリル…両方の気持ちが解る気がした。
傍から見れば、裕福で幸せそうに映る夫婦。でも当の本人たちはそう感じてはいない。
少なからずも、平凡で退屈な日常からどうにかして抜け出したいと思っている。
かつての夢と理想を追い求めたい、そこにすがりたい。
その夢を実現しようとした矢先。
運命はいたずらの如く、彼らに試練若しくはチャンスを与える。
そこからバランスを崩していく二人。
愛と憎しみは紙一重。これまでの情にほだされる想い。
人の幸せとは一体、何なのだろう?
普通に生きるとは何なのだろう?
理性を保つ意味とは何なのだろう?
…観ながら、そんなことを考えている自分が確かに居た。
この作品の監督はケイトの実生活の夫であるサム・メンデス。
『アメリカン・ビューティー』を思い起こすような卓越した演出ぶりが素晴らしい。
レオはすっかり大人の男になっていた。
こういう役を普通にこなせるようになったのだと思うと感慨深い。
それでも光の影で顔が暗くなる場面では、かつての少年:ジャックの面影があった。
逆に怒り狂う場面では、その表情がジャック・ニコルソンに似ていたり。
対するケイトはこういう倦怠感を持つ女性を演じさせたら、もの凄く光る。
クライマックスで叫び声をあげるシーンは、観ているこっちまで心が痛くなった。
その後のすべてを達観した時の表情は美しくもあり、同時に怖ささえも漂っていた。
今ではすっかり英国を代表する名女優の域に達したと言える。
二人共に起伏の激しい感情を、正しく【燃え尽きるまで】見事に体現していた。
…その演技は拍手もの!
印象に残ったシーン。
フランクが台所でエイプリルに自分が浮気していたことを告白するところ。
『何も感じない』と言うエイプリルが無表情で言い放つ感情と気持ちが、
今の僕だからこそ解るような気がした。
物語の締め括り方はいかにも文学的で、残酷。
もうひとりの『タイタニック』組のキャシー・ベイツ演じるヘレン・ギヴィングス夫人の
描かれ方こそ当時の女性像にもっとも近い気がした。
…この作品はミニシアターでこそ上映すべき映画だと思った。
とても完成度の高い芸術作品だったけど、再び観るにはかなりエネルギーが要る。
自分の気持ちが感化されそうなくらいの重苦しさがあったから。
『タイタニック』の夢をもう一度!というロマンティックな気分で観に行くと、
かなり痛い目に遭う。
劇中の台詞でもあったように、
この映画は虚しさを遥かに超えた絶望を経験した人にしか理解できないのかもしれない。
満足度:★★★★

ブッキーとチェコに乾杯。

感染列島英国王 給仕人に乾杯!②
a.『感染列島』(2008)
大好きなブッキー:妻夫木聡目当てで観に行った。
正直、内容は全く期待していなかったけど、
思っていたよりきちんと作られていたので驚いた。
こういう医療現場を描く作品に対して、僕は仕事柄細かいところまで目が行ってしまう。
それほど荒唐無稽に思える展開ではなかったし、
『252 生存者あり』のようなツッコミどころが満載という訳でもなかった。
物語以上に何よりもブッキーと池脇千鶴の『ジョゼと虎と魚たち』以来となる、
5年ぶりの再共演が嬉しかった。
思わず、『恒夫とジョゼが会話してる!』と興奮。
どうせならば、『以前どこかでお会いしたことありませんか?』という
遊び心ある台詞を入れてほしかった。←それは絶対に無理!笑
研修医役の三浦アキフミとの『ウォーターボーイズ』、
『Jam Films(ジャム フィルムズ)』の『JUSTICE』、
『69 sixty nine』以来となる共演もちょっとした同窓会気分を味わえて嬉しかった。
クライマックス。ブッキー演じる救命救急医・松岡剛の号泣に、
『ジョゼと虎と魚たち』のラストの恒夫が被った。
ブッキー、いい俳優になったなぁ…その成長ぶりがとても微笑ましかった。
やっぱり彼にはこういう正統派かつ王道と言える好青年的な役柄がよく似合う。
彼の主演作としては、久しぶりに最大限の魅力を活かした当たり役だなと思えた。
全編にブッキーらしさが散りばめられていて、本当にカッコよかったぁ。
彼のような医師が職場に居たら、ずっと傍を離れずついていきます。笑
ブッキーの相手役の壇れい(メディカルオフィサー、小林栄子役)。
彼女の演技を観るのは今回が初めてだったけど、
宝塚歌劇団の娘役出身であるだけに凛とした清楚ある雰囲気を醸し出していた。
そのルックスは韓国女優のイ・ヨンエに似ていると思う。
この映画の最大の魅力は医療現場に立つ人間の側から描いているということ。
通常のパニック映画のように何も知らず逃げ惑う側の人間を描いている訳ではない。
常日頃、生死と関わる医師や看護師が極限に立たされた時、
患者さんかつ自分自身とどう向き合っていくのかを
真摯に描いているところに好感が持てた。
僕は使命感と熱意を持って仕事を全うしようとする彼らの姿勢に素直に感動させられた。
ウイルスを敵とは見ずに、共存していくものだという発想も斬新に思えた。
うん。想像していたほど、悪くはなかったよ。
満足度:★★★☆

b.『英国王 給仕人に乾杯!』(2006)
この映画のチラシを見た時、てっきり英国映画だと思っていた。
チラシを読んでそれが間違いだったと気づき、
予告編を見てその雰囲気に惹かれ観に行くことにした。
僕にとって初めてスクリーンで観るチェコ=スロヴァキア合作のチェコ映画となった。
描かれる時代はドイツ・ナチスが台頭する1930年頃から
社会主義共和国当時の1963年まで。
この時代に生きたひとりの給仕人の男の視点から、チェコの歴史を描いていく。
僕はチェコの歴史をほとんど知らなかったので、とても勉強になった。
これまで単純にプラハの風景は美しいなどと、
歴史を知らずに語っていたことを恥ずかしく思えた。
本来ならばとてつもなく重たくなるテーマを、
この作品はユーモアを散りばめながら穏やかに独特の世界観で描いていた。
観終わった後、ふと思い出したのが
『ライフ・イズ・ビューティフル』と『ホテル・ニューハンプシャー』。
幻想的で空想的。芸術的で寓話的。
どことなく作品全体から感じ取る優しさが似ていた。
主人公のチェコ人、ヤン・ジーチェは二人一役
(青年期:イヴァン・バルネフと老年期:オルドジフ・カイゼル)で演じ分けられる。
僕は鑑賞後にパンフレットを読むまで、てっきり同じ俳優が演じていると思っていた。
それくらい二人の雰囲気はとてもよく似ていた。
ヤンに愛されるズデーテン・ドイツ人、リーザ役を演じるのはドイツ女優ユリア・イェンチ。
彼女の代表作は『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のゾフィー役。
今回はそのゾフィーと対極に位置するアドルフ・ヒトラーを崇拝する役柄。
余りの変貌ぶりに最初は気づかなかったほどで、思わずゾッとしてしまった。
リーザがヤンに純血種=アーリア人の重要性を語るシーンはおぞましかった。
ひょうひょうと生き長らえるヤンに嫌悪感を示す人がいるかもしれない。
でも僕は彼のような性格だからこそ、あの時代を生き抜くことが出来たのだと思えた。
小さな野望と野心と性欲。そこに彼の持論である、
【私の幸運は、いつも不運とドンデン返しだった】が活きていたと言える。
物語と歴史を軽やかに描きつつも、その背景にあるものは哀しみ。
映像で見せなくとも確かに伝わってくる、その辺りの描写が素晴らしくかつ巧いと思えた。
観終わった後の余韻は不思議と穏やかで癒されるような気持ち。
自分と向き合うことの意味を教えてもらえたような気がした。
…とても深い作品だった。
チェコの国民的人気作家である故ボフミル・フラバルが書いた原作小説を、
見事に映像化したイジー・メンツェル監督に乾杯!
最後に、印象に残った台詞を。
『(ドイツ人とチェコ人は)何世紀も一緒に住んでいたのに、
ヒトラーが来てチェコ人が追い払われた。ドイツが負けて、ドイツ人が追い払われた。
チェコ人もドイツ人も追い払われた』

『人が意に反して最も人間的になるのは、
沈没しかけたり、脱線してしまったり、地位を剥奪されたときだ』

満足度:★★★★★

第81回アカデミー賞、ノミネート発表。

第81回アカデミー賞のノミネートが発表された。
授賞式は2月22日(現地時間)。
主要部門ノミネートは以下の通り。

●作品賞
□『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2月7日日本公開)
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
□『フロスト×ニクソン』(3月日本公開予定)
フロスト×ニクソン
□『ミルク』(GW日本公開予定)
ミルク
□『愛を読むひと』(初夏日本公開予定)
愛を読むひと
□『スラムドッグ$ミリオネア』(4月日本公開予定)
スラムドッグ$ミリオネア

●監督賞
□デヴィッド・フィンチャー…『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
□ロン・ハワード…『フロスト×ニクソン』
□ガス・ヴァン・サント…『ミルク』
□スティーヴン・ダルドリー…『愛を読むひと』
□ダニー・ボイル…『スラムドッグ$ミリオネア』

●主演男優賞
□リチャード・ジェンキンス…『The Visitor』
□フランク・ランジェラ…『フロスト×ニクソン』
□ショーン・ペン…『ミルク』
□ブラッド・ピット…『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
□ミッキー・ローク…『レスラー』(初夏日本公開予定)

●主演女優賞
□アン・ハサウェイ…『レイチェルの結婚』(4月日本公開予定)
□アンジェリーナ・ジョリー…『チェンジリング』(2月20日日本公開)
□メリッサ・レオ…『Frozen River』
□メリル・ストリープ…『ダウト ~あるカトリック学校で~』(3月日本公開予定)
□ケイト・ウィンスレット…『愛を読むひと』

●助演男優賞
□ジョシュ・ブローリン…『ミルク』
□ロバート・ダウニー・Jr…『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(日本公開済み)
□フィリップ・シーモア・ホフマン…『ダウト ~あるカトリック学校で~』
□ヒース・レジャー…『ダークナイト』(日本公開済み)
□マイケル・シャノン…『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』
(1月24日日本公開)

●助演女優賞
□エイミー・アダムス…『ダウト ~あるカトリック学校で~』
□ペネロペ・クルス…『それでも恋するバルセロナ』(6月日本公開予定)
□ヴィオラ・デイヴィス…『ダウト ~あるカトリック学校で~』
□タラジ・P・ヘンソン…『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
□マリサ・トメイ…『レスラー』

●外国語映画賞
□ドイツ…『The Baader Meinhof Complex』
□フランス…『The Class』
□日本…『おくりびと』(日本公開済み)
□オーストリア…『Revanche』
□イスラエル…『Waltz with Bashir』

以上!
ノミネートに関する個人的な意見は敢えて割愛します。

スペイン語の映画~二人のデル・トロ。

チェ 28歳の革命永遠のこどもたち②
a.『チェ 28歳の革命』(2008)
【チェ・ゲバラ】という人物に惹かれて観に行った。
この作品の監督が、
どちらかと言えば苦手なスティーブン・ソダーバーグなのが気がかりだったけど…。
全編スペイン語の中、思っていた通り演出は淡々としている。
観客に対する詳しい説明がほとんどない。
本編開始前に日本の配給会社による簡単な説明があるのみ。
【エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ】を知っていて当たり前の感覚で、
物語は進んでいく。
映画の前半はドキュメンタリー調で、後半から徐々に映画的な面白さが出てくる。
もしこれから観る人は事前に当時の時代背景や政治関係、
ゲバラに関わった人物をある程度頭に入れてから観た方がいいと思う。
僕は登場人物が次から次へと出てくるので、一体誰が誰なのかよく区別できなかった。
肝心のゲバラ自身のことも軽い程度にしか知らなかったので、
物語に入り込むこともできなかった。
彼について事前に知っていたことは。
革命家、裕福な家庭の出身、持病の喘息、医師の資格を持っていること、
早世した、Tシャツのアイコン…くらい。
このほとんどは過去に映画化された、
ゲバラの青春時代を描く『モーターサイクル・ダイアリーズ』で知った。
今回の映画化は字幕を読んで、それを頭の中で整理することだけで精一杯だった。
余りの自分自身の無知と理解力の無さに情けなく思えてしまったほど。
【エルネスト・チェ・ゲバラ】を演じたベニチオ・デル・トロの演技は想像以上に良かった。
ゲバラが持っていたであろうカリスマ性や人間的な優しさを見事に体現していたと思う。
ただ、どうしても28歳には見えなかった。
その年齢の区別は時間軸をシンクロさせる映像の色分け(カラーとモノクロ)のおかげで
困惑することはなかったけど。
結果的に僕はこの作品をどう評価すべきか悩んでしまった。
ひとつだけ強く感じたことは。
思想のどちらが正しいのかなんて、簡単に言い切れるものじゃないということ。
…やっぱりインテリジェンスなソダーバーグ監督の演出法は苦手だ。
映像の色合いは好みなんだけど(今回も変名で撮影監督を兼任していた)。
思い返せば、彼の監督作で好きなのは『エリン・ブロコビッチ』くらい。
後編の『チェ 39歳 別れの手紙』を観るべきかどうかさえも悩んでしまったけど、
きちんと観てこそ評価すべきではないかと考え直した。
ゲバラという人物の生き方や思想、そして最期の人生までを知り見届けたい思いもあるし。
個人的には今回の二部作も規模は小さくなってしまっただろうけど、
ウォルター・サレス監督で観たかった気がする。
もしこれが『コマンダンテ』を撮ったオリバー・ストーン監督だったら、
どういう作風に仕上がっていたのだろう?…ふと、そんなことも考えてしまった。
満足度:★★★
b.『永遠のこどもたち』(2007)
※ネタバレに敏感な人は注意!※
去年の【第15回大阪ヨーロッパ映画祭】の時に観ようか迷っていて、
日程が合わずに断念。密かに一般公開を待っていた作品。
観終わった直後の感想は『Brilliant!素晴らしい!』のひと言に尽きる。
こういうゴシック調の世界観は好きだ。
永遠のこどもたち③永遠のこどもたち④永遠のこどもたち⑤
オープニング・クレジットの雰囲気からしてワクワク。
もうこの時点で、この作品を好きになりそうな予感がしていた。
確かに多くの人が語るように、『シックス・センス』と『アザーズ』に似た趣や驚きがあった。
プラスそこには静かな感動さえもある。
言葉にならない想いがじわじわと込み上げてきて、
本編終了後のエンドロールで涙がこぼれた。 
とにかく!脚本と映像の見せ方が巧いと唸らされた。
謎解きのスリルと高揚感。
あちこちに散りばめられた伏線がすべて収束される面白さ。
物語の締め括り方や微かな希望を感じさせる秀逸なラストシーン。
一瞬足りとも飽きることなく魅入ってしまった。
映画で久しぶりに心理的な怖さを感じた。
思わず誰かの手の温もりを探したくなるほど。
もちろん、不意に訪れるショッキングな映像や不気味な効果音にもドキドキさせられた。
思わず座席で飛び上がりそうになってしまうほど。
観ている間、『早く続きが知りたい。答えを知りたい』と感じる一方で、
『(その先が)怖いから知りたくない』と葛藤する自分が居たり…。
思い存分、映画として楽しむことができた。
偉大なる母の愛と信じる心の強さ。
…と同時に切なさと微かな救いを感じる母と息子の顛末。
主人公であるラウラ(ベレン・ルエダ)が最期に取った行動や、
『永遠のこどもたち』という邦題に否定的な意見があるようだけど、
僕は十分に満足しています。
それは冒頭で何げなく会話される【ピーター・パン】のお話が最後に活きているから。
この映画の製作総指揮はギレルモ・デル・トロ。
どうしても好きになれなかった『パンズ・ラビリンス』の別の答えがここにあるように思えた。
上手く説明できないけど、これは僕だけが感じた解釈だと言える。
この作品を観たことで、ようやく救われたという思いが芽生えたから。
ギレルモ・デル・トロに乾杯!これで益々『The Hobbit』二部作が楽しみになってきた。
もちろん、見事に映像化したJ.A.バヨナ監督の手腕にも拍手を!
スクリーンで観ておいて本当に良かった。
満足度:★★★★★

該当の記事は見つかりませんでした。