フィクサーがNo.1。

2008年04月16日
★注意!以下、結末を想像させる文章が一部あります★

『フィクサー』(2007)
フィクサー
──この映画の見どころは?
よく練られた脚本と、
ジョージ・クルーニーを始めとする俳優たちの演技。
──面白かった?
うん!もともと僕はこういうジャンルが好きだから、
かなり楽しんで観れたよ。
社会派と娯楽性を兼ね備えた、
超一級のリーガル・サスペンスだったと思う。
…と言っても、法廷シーンは一切ないけどね。
タイプ的に言えば、『ザ・ファーム/法律事務所』系かなぁ。
あとはストーリーの設定や展開や結末に、
『インファナル・アフェア』と『レインメーカー』を思い出したり。
ストーリー的には絶対に頭使って複雑な展開なんだろうなぁ…と
かなり覚悟してたんだけど、意外と解りやすくてホッとしたよ。笑
とにかく!俳優陣の演技が最高に素晴らしかった!
原題タイトル・ロールであるマイケル・クレイトン役の
ジョージ・クルーニーの演技は完璧だったなぁ。
これまで自分の仕事:モミ消し屋を正当化して生きてきた。
そんな中、同僚のモミ消し屋:フィクサーの
ケースを担当することになったことで、
彼の中での仕事や生き方に対するものが少しずつ変わってくる。
本来の正義に気づく:戻るというか。
その複雑な過程をジョージは見事に演じきっていた。
各映画賞にノミネートも納得のパフォーマンスだった。
と同時に彼から感じ取るものは、
やはりインテリでスマートなものだった。
特にラストシーンでのジョージの演技は秀逸!
演じたマイケル・クレイトンの中で去来する様々な思い…
達成感、安堵感、人間本来の正義感…
そのラストでの長回しのシーンが、
マイケルの心情を見事に表現していて圧巻だった。
僕はこのシーンを観た瞬間、
ジョージがここで評価されたんだと思えた。
もはや彼の真の代表作だと言っても過言ではないと思う!
アーサー役のトム・ウィルキンソン。
作品自体のキーであり、その演技力も含めてかなり魅了された。
エキセントリックな雰囲気が見事に醸し出されていた。
僕の中では、第80回アカデミー賞の助演男優部門で
カテゴライズされた『ノーカントリー』のハビエル・バルデムと
同レベルの演技の域だった。
カレン役のティルダ・スウィントン。
どうも彼女には灰汁の強い堕天使的なイメージがある。
でも今回の作品で、初めて彼女に対し人間味を感じた。
それくらい人間として強烈なインパクトがあった。
恐らく彼女がオスカーの最優秀助演女優賞を受賞できたのは、
あのクライマックスでのシーンだろうな。
──印象に残るシーンは?
新聞広告でも打ち出されていたラスト10分間の攻防戦!
このシーンは、かなり×2見応えがありました。
観ながら、ゾクソクしてたもん。
そのシーンが終わった後のジョージのフェイスUPシーン。
いちばん最後の彼の不確かな微笑みが、
これから先のせめてもの救いに思えたなぁ。
↑決して悲劇的な結末ではないです!
あとは…冒頭での不透明に思えたシーンが、
クライマックスで繋がる時。
時間を交錯しての描き方に、ここでもちょっとゾクゾクしました。
──他に何か言いたいことは?
監督兼脚本が『ジェイソン・ボーン』シリーズの脚本を担当した、
トニー・ギルロイ監督だったから、
やっぱり映画のツボを押さえてるというか、
ストーリーの展開が上手だったんだよね。
演出的にもド派手なアクション系に持っていかず、
終始一貫して静かに描いてるところが、この作品に
確かなドラマ性を持たせる結果となって良かったと思う。
…と言いつつ、ちょっとポール・グリーングラス監督の
演出でも観たかった気がしたけどね。笑
それにしても今回のプロデューサー陣の豪華なこと!
出演まで果たしたシドニー・ポラック、
ジョージの盟友スティーブン・ソダーバーグ、
故アンソニー・ミンゲラと名だたる監督ばかりだった。
現在、撮影中のギルロイ監督の次回作『Duplicity』も
スリラー系で主演がジュリア・ロバーツ&クライヴ・オーウェンの
『クローサー』コンビなんで、今から楽しみ↓
Duplicity
再び、トム・ウィルキンソンも出演するし!

『スルース』(2007)
スルース
──この映画の見どころは?
舞台的な演出と設定。
今の英国の新旧を代表するマイケル・ケインとジュード・ロウの
共演及び演技対決。
1999年のアカデミー賞助演男優部門での同ノミネートを経て、
(その時の勝利者はマイケル・ケイン@『サイダーハウス・ルール』
彼はスピーチでジュード@『リプリー』に対し、
これからを担う英国男優として賛辞を贈っていた)
『アルフィー』(1966:2004)での競作。
そして今回、製作も兼ねたジュードにとっては念願の共演とくる。
──面白かった?
うん。適度に楽しめたかな。
かなり想像を刺激する会話劇だった。
人間の中で最も醜い【嫉妬】の部分を生々しく観れたと思う。
特にこの作品ではその対象が男性だったので、興味深かった。
男の嫉妬は女性よりも女々しくて、その心情ぶりは
まるで子どもの喧嘩を見てるようで見苦しかった。
ある意味、かつての自分を見てるよう?苦笑
ストーリーは舞台調に全3幕の作りになっていた。
僕的に印象に残ったのは、3幕目かな。
理由はgay的な要素を十分に感じ取れたから。
その時のジュード・ロウの演技がかなり素晴らしくて!
彼が放つ、ストレートな男性をも魅了する、
妖しげな雰囲気に思わず感心。
デビュー間もない頃に観た『オスカー・ワイルド』(1997)の
アルフレッド・ダグラス卿:ボシーを思い出さずにはいられなくて、
かなりゾクゾクしながら観てしまった。
オスカー・ワイルドオスカー・ワイルド
んーーー、こういう役もサラッとこなせる彼がとても好きだ。
かなり貴重な存在であり、類まれなる才能の持ち主だと思う。
物語の結末は幾通りにも考えられる。
どういう解釈として捉えたらいいのか
解らない部分が多かったから。
数多くの舞台であるように、
その判断を観客ひとりひとりに委ねているように感じた。
僕は観てる間中、ケイン演じるアンドリュー・ワイクと
ジュード演じるマイロ・ティンドルが、
実のところ2人に密に関わる女に
翻弄され弄ばれているんじゃないかと思った。
その女が仕掛けた【嫉妬】という名のゲームに
まんまと参加させられ、
激情に狂うように仕向けたんじゃないかと。
僕の目にその姿は滑稽でもあり、哀れにも映ったから。
もしくは、若い男:マイロが
【離婚】という言葉を出汁に使った夫婦のゲームに
参加させられたのではないかと。
…ちょっと考え過ぎだろうか!?
監督は俳優としても有名なケネス・ブラナー。
僕が彼の監督作を観るのは、なんと『ハムレット』(1996)以来!
二人芝居的な舞台調の演出といい、台詞の言い回しに
ちょっとウィリアム・シェイクスピアっぽいものを感じたり。
もし、この作品を当初のスティーブン・フリアーズ監督が
撮っていたら、どういう仕上がりになっていたんだろう??
──印象に残るシーンは?
やっぱりジュード・ロウの妖しげな雰囲気…それに限る。
個人的には『ホリデイ』(2006)の彼がいちばん好きだけど、
でも彼はこういう『スルース』のような
人間の内面を深く掘り下げて描いた作品でこそ、
光るんだろうし本領を発揮するんだと思う。
──他に何か言いたいことは?
今回改めて、【嫉妬】ほど醜いものはないと強く感じた。
かつての僕も神経が可笑しくなりそうなくらい
ギリギリの恋をして(いや、もう神経は
可笑しくなってたと思う…苦笑)、
狂うような激しい嫉妬心を経験したけれど、
もうあんな風にエネルギーを消耗するのは懲り懲りだ。
いかにパートナーとの信頼関係が重要なのかを実感した。
ちなみにこの映画はもともとは有名な舞台劇だった。
それを1972年にローレンス・オリビエ&
マイケル・ケイン(今回のジュードが演じた役)主演で映画化。
その時の上映時間が128分。
今回の再映画化の上映時間は89分。
39分もの時間差に秘められた思い:意図を知りたくて、
オリジナル版も見てみたくなった。
どうも表現方法が違うみたいだし。
あ!僕はアンドリューが暮らしていた家の内装では、
落ち着いて暮らせません!笑

──次回、登場予定の人物は?
教授と記者と上院議員。
1960年代ポップ・カルチャーのアイコン。
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