注意!ネタバレ大いにあります!!
製作の段階から、ずーっと観たかった『ブロークバック・マウンテン』↓
1963年のワイオミングのブロークバック・マウンテンで出会ったカウボーイ2人の20年に及ぶ秘められた愛を描いてる。
主な登場人物は4人。
イニス・デルマー(ヒース・レジャー)。
ジャック・ツイスト(ジェイク・ギレンホール)。
ラリーン(アン・ハサウェイ)…ジャックの妻。
アルマ(ミシェル・ウィリアムズ)…イニスの妻。
この作品、二度観た。
一度目は、妻アルマの立場で見てしまったから。
結果、イニスとジャックが身勝手にしか思えなかった。
アルマはイニスとジャックが再会した時、彼らが抱擁してるところを目撃する。そこから彼女の辛い思いが始まる。
なんか、イニスが許せなかった。
ジャックがスキなんだったら、結婚して子供作るなよ、と。
一生、独身でいろよ、と。奥さん、不幸にすんなよ、と。
なんちゅーか、ゲイ云々じゃなくて、人間としてしてはいけないコトをしてたよーに思えた。
つまり、セクシュアリティ関係なく、不倫すんな、ジャックとアルマそれぞれどっちにもいい顔すんな、っちゅーコトかな。
なんだろー、イニスとジャックが結婚もせず、世間からバッシングを受けつつも2人の愛を貫くストーリーだったら、もっと感動したかもしれないけど、他人を巻き込んで不幸にして、そりゃあ、自分は幸せにはなれないでしょー、と思った。
彼らの哀しみが伝わってこなかった。
あえて、ゲイ映画とカテゴライズするならば、『ボーイズ・ドント・クライ』の主人公の方が、もっともっと深い哀しみが伝わってきた。
多分、僕自身が彼らの気持ちを理解できなかったからだと思う。
彼らが女性を隠れ蓑にして、彼女らを利用したよーに見えてしまって、なぜだか許せなかった。
時代がそーいう時代だったと言えばそれまでだけど、とにかく許せなかった。なので、観終わった後の印象は、自分が予想してたモノとは全く違っていて、正直ショックだった。
そーいう訳で、2回目。
僕にとって、いちばんの親友2人と観た。
今回はイニスとジャックの視点で見てみよー、と。
一度目と違って、気持ちに余裕があるせいか、登場人物4人それぞれをちゃんと見るコトができた。
ジャックとイニスに対しては、ただただ『切ない。』と思えた。
イニスは、男色は大罪だと幼き頃に父親から教えられていた。
それも衝撃的な見せ方で!
彼が、その大罪を犯してまでジャックを愛した気持ちは計り知れないモノがあって。
初めてジャックと会った後、別れた後の嗚咽と慟哭。
ジャックと最期に会った時の『俺を解放してくれ。』。
彼の中にある深い深い思いが、本当に苦しくて切なくて。
彼は、ジャックを男として愛したんではなく、ひとりの人間として愛したんだろーなと思った。
たまたま最も愛した人間が男だっただけ。
親友も言ってたけど、限りなくストレートに近い人だった。
彼にこーいう愛され方をしたら、とても幸せだろーなと思いつつ、暴力的な言動に辟易したのも事実。
南部のカウボーイはこーいう気質だと言われればそれまでだけど。
ジャックは、イニスに会えない気持ちが辛すぎるとはいえ、性欲満たす為に限りなく処理をするのはイタダケないと思った。一途に愛を貫けよ、と。
もちろん、彼の切なさや思いは痛いほど伝わってきたけど。
結論。
2回観て思ったのは、この作品は世間がいうほど、ゲイ映画じゃないというコト。
いろんな人間の思いが交錯した人間ドラマなんだ、と。
ゲイというのが、ひとつのテーマに過ぎなかったというコト。
ラストのジャックの母親の寛容な行為には、何度見ても胸が熱くなる。
イニスとジャックにとって、BMは理想郷(ユートピア)だったんだろうな。
『I swear Jack.』…この言葉通り、イニスはこれからも生きていくんだろう。
人はそう簡単に幸せにはなれないのかなぁ…と観て思った。
いろんな経験や思いをしてこそ、幸せを得れるんだろうな、と。
ではでは、スタッフ&キャストの評価を。
監督のアン・リー。
オスカー受賞も納得の本当に素晴らしい演出ぶり。
こんなにも深い人間描写を捉えられるなんて。
ヒース。
最近観た『ブラザーズ・グリム』、『ロード・オブ・ドッグタウン』とはまるで別人!
演技のスタイルがマーロン・ブランドに見えた。
過去最高のパフォーマンス!!
ジェイク。
『シティ・スリッカーズ』の子供が、歳を重ねてゲイのカウボーイを演じるコトになるなんて☆
最初の登場シーンのあの艶かしい瞳に冒頭からノックアウト!
何度見てもキャアキャア(無限大)叫んでました。
あの哀しげな瞳にいつまでも僕はついていきますっ。
長いまつ毛も可愛い☆
ただキャラ的には、ヒースと違って歳を重ねた時の役の深みが出てなかった、と。見た目は老けてても、あの瞳が若々しすぎる。もう少し情感豊かに演じてほしかった。なので、助演のカテゴリーにも納得。
俳優的にはこの後撮った『ジャーヘッド』の方がイキイキとしてて、本来の彼の持ち味を活かしてたと思う。
ここんとこ公開作が続いたけど、しばらくお休み。次の実在のジャーナリストを演じる未解決の連続殺人犯をテーマにした『ゾディアック』(デヴィッド・フィンチャー新作☆)を楽しみにしてるよ!
アン。
うーん、頑張ってたとは思うけどミスキャスト寸前!?
徐々に変貌していくスタイルが、子供がするよーなコスプレにしか思えなくて…(笑)。
ミシェル。
ヒース同様、いちばん印象に残るキャラ。
その深みのある演技力にはオドロカされた☆
『ドーソンズ・クリーク』の頃から演技上手いと思ってたけど、この作品で再確認。
4人の脱ぎっぷりの良さにもオドロカされました。
まるでフランス映画を見てるよーだった。
特に『プリティ・プリンセス』の脱ぎには度肝を抜かれた!
撮影のロドリゴ・プリエト。
壮大な自然をバックにそれはそれはとても美しい映像を見せてくれて。作品に大きく貢献してた。『アモーレス・ペロス』、『アレキサンダー』の映像も、きれかったもんなー。
音楽のグスターボ・サンタオラヤ。
オスカー受賞も納得の耳に残るフレーズ。
何度も頭でリフレインする。
最後にもう一度。
ヒース&ジェイク!
2人共、本当にカウボーイにしか見えなかったよ!!
パンフレットも久々の当たり!
めちゃくちゃ丁寧に美しく作ってある。
これは買っても損はない!
なんでこの手の作品は悲劇で終わるんだろー。
必ず誰かが死ぬ。
なので、この作品がオスカー作品賞を獲らなくて本当によかった。
作品賞を獲るんであれば、差別や偏見にもめげず、自分らの力で強く逞しく生きていって、ハッピーエンドで終わる作品で獲ってほしいから。
ゲイ=悲劇物という考えを取っ払ってほしーから。
これが僕の切なる願い。
今まで見ていちばんよかったのは、『エンジェルス・イン・アメリカ』だな。
なので、僕が今年のオスカー会員だったら、『BM』でも『クラッシュ』でもなく、『ミュンヘン』に投票するのはこれで間違いなし!
そーいう訳で、点数で表すなら、79点。
映画って本当に面白い。
ひとつの作品でいろんな人の意見や思いを聞けて。
これからもいろんな作品と出会って、いろんな人とディスカッションしていけたら、と。
MEMO:2006年3月21日 14:56
mixiより抜粋
シネ・リーブル梅田
①2006.3.18 15:35
前売り券1500円
藤原ちゃん
②2006.3.20 20:45
レイトショー1200円
奥野、奈良ちゃん