タブロイド(メキシコ=エクアドル)

【心の闇まで、TVカメラは届くのか――】

予告編を見て惹かれたので、観に行くコトにした。
傑作『シティ・オブ・ゴッド』↓を引き合いに出していたから。
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それは大きな間違いで、あの作品には遠く及ばなかったが。

想像していた物語とは少し違っていた。
どこかで見たような展開だったし、もっと衝撃的な結末が用意されていると思っていたから。
正直に言うと、予告編に騙されたという感じ。
最後まで、なぜR-18指定なのかもよく解らなかったり。
思い当たるとすれば、事件性とあの後味の悪い結末のせいなんだろうか。

ある幼児連続殺人事件を追って南米・エクアドルにやって来た、野心家のTVレポーター、マノロ。
マノロがその被害者の弟にインタビューしようとした矢先、
その少年はたまたま彼の友達である息子を迎えに来ていた
父親ビニシオ(ダミアン・アルカザール)に車で轢き殺されてしまう。
即座にビニシオを捕らえリンチしようとする殺された少年の父親。
その光景をTVカメラに押さえ、マイマミのタブロイド番組でO.A.しようと目論む
マノロと撮影クルーの2人(レオノール・ワトリング、ホゼ・マリア・ヤズピック)。
翌日、留置場を訪れた際に事故の過失で拘束されていたビニシオに声を掛けられるマノロ。
『私をここから出して欲しい。あなたの番組ならそれができる。
取り引きとして、モンスター(=連続殺人犯)のことを教えよう。』と…。

主人公マノロ役にジョン・レグイザモ。
母国語で本領発揮。ギラギラしながらもその役を活き活きと演じていた。
これを見ると、『アサルト13 要塞警察』の演技は茶番に思える。

真のTVレポーターとは!?報道の在り方とは!?
それを訴えかけているように思えた。
結局のところは、誰もが己が可愛いということ。
その登場人物誰もに共感ができなかった。
TVで描かれている事がすべてではないということ。
真実の見極めは自分自身で判断するものだと。
マノロが帰国しようとする中、ファンに言い放つ最後の言葉が皮肉的だった。『真実を追究していますから。』

彼はこの先、富と名声を得、
生きていく上で不自由はしないだろうけど心はもう腐り始めているように見えた。
少しでも良心の呵責があるのならば、罪悪感を感じながら生きていけばいい。

印象に残ったシーン。
マノロが少女の【死体】を発見した後の行為。
人の温もりが無性に欲しくなり、ただガムシャラにSEXをする。
自分が生きていることを感じたいだろうから。

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2004年/98分
ナビオTOHOプレックス/単独
レイトショー1200円→600円

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アサルト13 要塞警察(アメリカ=フランス)

【脱出劇アクションの頂点、遂に誕生!!!】

丁度、去年の今頃に全米で公開されていた作品。
カルト作『ジョン・カーペンターの 要塞警察』(1976年)のリメイク。日本では劇場未公開。
主演はイーサン・ホークとローレンス・フィッシュバーン。
最近はほとんど見ないジャンル(=犯罪アクション)。
大好きなイーサンを見たいが為に映画館へ足を運んだようなもの。

大晦日から新年へ。
大雪のアメリカ・デトロイトにある、老朽化の影響で取り壊しが決まっている警察13分署。
そこで起きる事件を描いている。
警察官と犯罪者がやむを得ず手を組み協力し合う、おかしな状況。
外には彼らの命を狙う【汚職】警官たちが取り囲んでいる…。

監督はフランス人であるジャン=フランソワ・リシェ。
追いつめられていく人間たちを緊迫感溢れる映像で描いていた。
ただ、リメイク作なだけに個性が活かされてなかった気がする。

お目当てのイーサン。
今作は日本では前作となる『ロード・オブ・ウォー』(2005年)とは違い、
全編出ずっぱりの正真正銘の主演作でファンとしては嬉しい限り。
でも、やっぱりここでも老けてた…。
それでもまだまだカッコいいけどね。
特にオープニングの坊主頭は似合ってて、メロメロでした(笑)。
今作では、過去に囮捜査で同僚を2人も失ったトラウマから逃れられない
警察官ジェイク・ローニック役。
僕が求めるナイーブさを掻き消して男気のある役柄にチャレンジしていた。
アカデミー賞助演男優賞候補にもなった
『トレーニング デイ』(2001年)↓とはまた一味違った演技を披露。
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対する大物犯罪者マーカス・ビショップ役のローレンス。
見る度に、どんどん肥えていく…(苦笑)。
落ち着いた演技を披露していたけど、特に印象が残る訳でもなく。
脇を支える役者は通好みだった。
ジョン・レグイザモ(よくこんな役を引き受けたなという感じ)、マリア・ベロ、ブライアン・デネヒー、
ガブリエル・バーン(やっぱり汚職警官)etc.

物語的には、さすがカーペンターらしくB級テイストの匂いがプンプンしていた。
イーサンもこういう作品に出るようになったのかぁ…と思うと少し寂しいものがあって。
自信を失くした主人公が自分自身を取り戻すまでを描いているけど、
何分娯楽性が強いので深みがないのはご愛嬌。
心理サスペンスの描写もあるものの、簡単に展開が読めてしまうし。
『この人、怪しいよな…。』って最初から思っていたら、見事に当たってました(笑)。
ちょっと『コップランド』(1997年)が被っていたような気もする。
いや、『コップランド』の方が後で製作されたので、
あの作品がオリジナル版に影響されていたのかもしれないけど。
まぁ、イーサンが見れたので善しとするか(笑)!

エンドロールに流れるKRSワンが歌う主題歌『GENERIQUE ASSAULT』が
強烈な印象を醸し出し耳に残った。

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2005年/110分
動物園前シネフェスタ4/単独
男性サービスデー1200円→850円

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(アメリカ)

【型破りなラブストーリー、これは真実の物語】

伝説のカントリー歌手ジョニー・キャッシュと、
彼と供に生きたジューン・カーターの愛の軌跡を描く音楽伝記映画。
申し訳ないけど、僕はこの2人の存在を知らなかった…。

とにかく、その2人を演じるホアキン・フェニックス(ジョニー)と
リーズ・ウィザースプーン(ジューン)のパフォーマンスには圧倒される。
演技はもちろん、歌も自身の声で見事に披露していて。
アカデミー賞主演男優・女優賞のノミネートも納得の拍手もの!

僕自身が映画を映画館できちんと見始めて、かれこれ13年が経つ。
その間にたくさんの俳優たちを見てきた。
そんな彼ら2人も端役の頃から見続けてきて。
なので、今作でのその成長ぶりが自分のコトのように嬉しかった。

特にホアキン!
今作のジョニー役は、幼い頃に最愛の兄を亡くす設定。
ホアキン自身も俳優であった実兄リバー・フェニックスを、ホアキンが19歳になったばかりの頃、
彼の目の前でコカインとモルヒネの大量摂取により息を引き取るのを見ていた。
劇中、ジョニーがジューンに亡き兄について語るシーンはリアリズムがあり、その事件が重なり、僕は涙せずにはいられなかった…。
カントリー歌手として大成功した後、
ミュージシャンお決まりのドラッグとアルコールに溺れていくジョニー。
そのホアキンの演じぶりは、まるでジョニーが乗り移ったかのようなクレイジーぶりで。
もちろん、歌うシーンも抜群の存在感で。
響き渡る低音ボイスがタマらなく、演じる目と声に力みなぎるものがあった。
対するリーズは、落ち着いた演技で表現。
時代設定の中心となった1960年代のファッションを着こなし、
可愛く時にはエレガントにその時代を生きる女性に成りきっていた。
予想外にスウィートな歌声も、本当に上手いの一言に尽きる。

肝心の物語は、前半はジョニーの気持ちを丁寧に描いていたけど、
彼がすべての事から再起していく最も重要な後半は
性急できちんと描かれていないように思えた。
父親との長きに亘る確執後の和解など、いいエピソードがたくさんあったというのに。
ジューンの両親の彼に対する懐の深さにももっと感動できただろうに。
その辺りがアカデミー賞の作品賞と脚色賞にノミネートされなかった理由なんだろうなと思えた。
あえて同じ伝記物で比較するとならば、『Ray/レイ』の方がドラマ性もあり秀逸だと言える。

監督兼脚本(共同)のジェームズ・マンゴールドは、
毎回多彩なジャンルをそつなく仕上げる職人技をもっているけど、
ドラマ性の強い作品については
あと一歩の登場人物に対する深みが描ききれてないような気がする。
『コップランド』然り。『17歳のカルテ』は僕的には秀逸で満足な出来だけど。
音楽は、本当に人の心を豊かにするものなのだと改めて痛感する。
ミュージシャンには、なにかしらのトラウマがあるものだと再確認もしつつ。
それがあってこそ、オーディエンスに深いなにかが残るのかもしれない。

オープニングとエンディングのジョニーに対する高揚感はなんとも言えない心地よさがあって。
僕も彼らと同じように喝采したい気持ちになった。
ホアキンとリーズの素晴らしいパフォーマンス。
その2人の演技だけでもいいので、ぜひ多くの人に見てもらいたい!!

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2005年/136分
テアトル梅田/奈良ちゃん
前売り券1500円→1300円

ミュンヘン(アメリカ)

【わたしは正しいのか?
1972年のオリンピックで11人のアスリートが殺された
深い哀しみの中、政府がくだした決断は<報復>――】


正に至福の時間だった。
上映時間164分はアッという間。
全世界の監督でいちばん愛するスティーヴン・スピルバーグの真骨頂!
その卓越した演出ぶりには、もはや脱帽と尊敬の念しかない。
超一級の社会派ドラマに仕立てながらも、
ハラハラドキドキする娯楽性のあるサスペンス・スリラーとしても仕上げている。
生涯のNo.1である『シンドラーのリスト』(1993年)↓とは違い、
今作では中立的な立場で描いていた。
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彼にしては珍しく性愛シーンもあり、かなりの成長ぶりが見られる。
本当に文句のつけどころがなく、パーフェクトに近い出来。
スピルバーグ・チームの集大成!
音楽:ジョン・ウィリアムズ、編集:マイケル・カーン、
撮影:ヤヌス・カミンスキーら常連スタッフによる素晴らしい仕事ぶりには極上のものを感じる。
特にカミンスキーの撮影には酔いしれる。
秀作『プライベート・ライアン』(1998年)↓に続くドキュメンタリー調のリアルで生々しい映像。
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1970年代の映画に多用されたズームフォーカスによる撮影方法。
独特の粗い乾いた色合いも僕好みでタマらない。

奇しくも僕がこの世に生を受けた1972年に起きた実在の事件を題材にしている。
ドイツのミュンヘン・オリンピックで起きた
パレスチナ人ゲリラ『ブラック・セプテンバー(黒い九月)』による
イスラエル人選手11人(コーチ、大会役員を含む)襲撃殺害・軟禁事件。
オリンピック主催国ドイツによる杜撰な対応と世論の無関心さに激昂した
イスラエル政府が決めたパレスチナへの報復策として選ばれた5人のスペシャリストたち…。
そのメッセージ性の強いダイナミックな脚本(実際は脚色)を書いたのが、
舞台・TV映画『エンジェルス・イン・アメリカ』で素晴らしい脚本を書いたトニー・クシュナーと、
『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー賞脚色賞を受賞したエリック・ロス。

世界各国からの参加による俳優陣の贅沢なこと!
オーストラリア、イギリス、アイルランド、フランス、ドイツetc.
思い返せば、アメリカ俳優が出演していなかったような。
イスラエル秘密情報機関【モサド】の一員であり、
今回のチーム・リーダーに指名されたアヴナー役のオーストラリア出身エリック・バナ。
祖国に対する忠誠心と自分の中にある人間としての誇りとの間で
葛藤する様を見事に演じきっていた彼。
過去最高のパフォーマンス!
南アフリカ出身の車輌のスペシャリストであるスティーヴ役のイギリス出身ダニエル・クレイグ。
キャラクター中、もっともオシャレでニヒルな役柄。ちょっと印象が薄かった気もする。
物静かで几帳面な掃除人(=後処理)のスペシャリストである
北アイルランド出身カール役のキアラン・ハインズ。
おもちゃ職人であるベルギー人の爆弾スペシャリストである
ロバート役のフランス出身マチュー・カソヴィッツ。
『アメリ』↓のニノ役でノックアウトされた大好きな男優。
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本作でも子供に微笑むフェイスアップのシーンがあったけど、
その愛くるしい表情が(特に目!)本当にカッコ可愛くて。
スピルバーグ監督以外ではもう俳優業をしないと公言しているので(製作業に専念するとか)、
この作品が最後だと思い心と目に焼き付けた。
ダニエルとマチューがテンプテーションズの名曲『マイ・ガール』で一緒に踊るシーンは、
なんとも微笑ましい束の間の静寂なひと時。
文書偽造スペシャリストのハンス役にドイツ出身ハンス・ジシュラー。
モサドの窓口担当エブライムにオーストラリア出身ジェフリー・ラッシュ。
出番は少ないながらも、流石の存在感。
ほかにもアイェレット・ゾラー、ギラ・アルマゴール、ミシェル・ロンズデール(『ジャッカルの日』)、
マチュー・アマルリック(『そして僕は恋する』)、
モーリッツ・ブライブトロイ(『ラン・ローラ・ラン』、『es [エス]』)、
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(『ふたりの5つの分かれ路』)、メーレト・ベッカー、
イヴァン・アタル(『ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール』)、マリー・ジョゼ=クローズ、
アミ・ワインバーグ、リン・コーエンetc.
誰もが皆、真剣に取り組み素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる。
ハリウッドの大スターが出ている訳ではないので、本当にリアリズムあるキャスティングだった。

【国】がないということに対する痛切な思い。
島国である日本人には到底理解し難い思い。
だけど、【平和ボケ】という一言では片付けられないことが当時起こっていたのは事実であり、
それは信じ難く許されない行為だ。
当時のイスラエル人がどういう思いでミュンヘン・オリンピックに参加したのかを考えると、
この事件に心が痛む。
ドイツでミュンヘン前に行なわれたオリンピックはアドルフ・ヒトラー政権下のベルリンにて。
そこで行なわれていたのは、ユダヤ人に対する恐るべき迫害(=ホロコースト)。
きっとイスラエルの人々は【赦す】気持ちでミュンヘン・オリンピックに参加したであろうに。
だからその神聖な地でパレスチナ人が彼らを殺すということは、
本当に強烈な出来事だったのだと言える。

【祖国】を思い動いたにも関わらず、最後にはその【祖国】から疎まれる存在となるアヴナー。
誰を信用したらいいのか、疑心暗鬼になる生活。
やすやすとベッドで安眠さえも出来なくなる程に追いつめられる心理状態。
劇中に数多く登場する料理のシーンに、【家族】を見出し、
またイエス・キリストの【最後の晩餐】を感じさせるものがあった。

ラストシーンに映し出されるアメリカN.Y.の世界貿易センタービル。
そこにスピルバーグ監督が最も伝えたいメッセージがあるように思えた。
爪は切っても、また生える。
終盤にこのようなセリフがあり、とても印象に残り深く考えさせられる。

今年の僕の年間ベストテン入りは間違いない気がする。
それほど強く感銘し震えたエモーショナルな作品。
僕はこの作品に、もうじき開催されるアカデミー賞の作品賞をあげたい。
これで僕はますますドイツとユダヤ人に惹かれていくだろう…。

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2005年/164分
梅田ピカデリー/藤原ちゃん
金券ショップ1100円→1650円

美しき野獣(韓国)

【愛のために泣く】

本国韓国での前評判が今ひとつだったので、期待せずに観るコトにした。
それが良かったのか、なかなかの出来だったと思う。

今の韓国の政治や裁判官に対する人間性を批判しつつも、国民全体に説いているようにも思えた。
今更ながら、【真の正義とはなにか!?】と。

物語の中盤まではお決まりのお涙頂戴的な展開で、
『ちょっと嫌だなぁ…。』と思いながらも観ていた。
正直、演じる俳優が【大泣き】するという行為には食傷気味なので…。
その心配をよそに後半はだんだんと盛り上がっていき、惹きこまられずにはいられなかった。
この辺りの演出ぶりがなかなか上手いと思う。
とても初監督作とは思えないキム・ソンスの、作品に対する若さが成せる業か。
ダイナミックな刑事(又は検事)ドラマに仕上げていた。
画面を二分割する表現方法は僕好みで好感がもてるし、
観客に対して緊張感を持続させる見せ方を心得てると感じた。

自分が思うがままに行動するアウトロー的刑事チャン・ドヨン役のクォン・サンウ。
はっきり言って、ミスキャストだ。
又しても演技力がないことを露呈してしまった。
こういう役を演じるのならば、もっと表現力をつけないと。
演技が型通りにしか出来てない。
『泣く』のならば、ただ『泣く』だけ。
『怒る』のならば、ただ『怒る』だけ。
『叫ぶ』のならば、ただ『叫ぶ』だけ。
少しの深みもなく、感情が伝わってこない。
スタイルだけの演技では、彼のキャリアを考慮するともう通用しない世代。
日本に何度も来日したりする時間があるのならば、どこかの演劇科にでも通うべき。
メロドラマやコメディにはまだ許される演技かもしれないけど、
こういうリアル感の必要なジャンルには不向きだと言える。
大好きな【俳優】だけに苦言を言わせてもらったけど、
このままだとただルックスがいいだけの【アイドル】で終わりそう。
そのサンウとは対照的に、静かに任務を遂行させる正義感の強い検事オ・ジヌ役のユ・ジテ。
今作では、落ち着いていて安定した演技を披露していた。
彼の演技を見るとホッとする。
相手役として力量不足のサンウをカバーしてるかのように見えたし、
彼相手では役者としてやり甲斐がなかっただろうなとさえ勘ぐってしまった。

この作品、サンウの役柄がもっと演技力のある俳優が演じていたら、
更に見応えのある心に響く作品だったろうにと思うとなんとももったいない。

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2005年/125分
動物園前シネフェスタ4/フッチー
男性サービスデー1200円→1250円

たべるきしない(日本)

【女の子は強いんだ!?失恋はいつも突然やってくる】

ひょんなコトがきっかけで観れるコトになった作品。
『FM802』主催のバレンタインデー、カップル限定招待作。
20分弱のショートフィルムで。

内容は、失恋の痛手から食事が出来なくなったオンナノコの心の葛藤を描いている。
うーん。でも、全然気持ちが伝わってこなくて。
肝心の状況説明がほとんどなかったからだと思う。

はっきり言っちゃうと、主演の綾瀬はるかのP.V.だった。
歌手デビューを記念しての便乗物って感じ。
相手役の佐藤貴広くんは若すぎて、綾瀬とつりあってないし。
見て、得にも損にもならなかったような気がする。

唯一、ラッキーだったのは非売品の大型パンフレットを貰えたコト。
コレクターとして、ただ嬉しかっただけだけど。
そういう訳で、感想もショートフィルム並みでした(笑)。

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2005年/19分
テアトル梅田/あーさん
招待券0円→300円

青い棘(ドイツ)

【僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?】

“自殺クラブ”のルールは以下の通りである。
会員はパウル・クランツとギュンター・シェラー。
1、自殺クラブの名称は“フェオー(完ぺきな死)”とする。
2、我々が死ぬ理由は愛のみ。
3、我々が殺す理由も愛のみだ。
だから我々は愛が消えた瞬間に死を選び、愛を奪った者を道連れにすると誓う。


ドイツ・ベルリンにて、
1927年6月28日の早朝に起きた実際の事件『シュテークリッツ校の悲劇』を描いている。
この当時のドイツはワイマール時代と言われ、
1933年にアドルフ・ヒトラーが国家元首に就任するまでの最期の黄金の時だった。

全体的な雰囲気から醸し出されるのは、『アナザー・カントリー』(1983年)↓と
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『モーリス』(1987年)↓
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所謂、欧州美形青年物。

正に、デカダンスだった。
裕福な家庭に育った学生ギュンター・シェラー(19)は生きていることだけでも幸せなのに、
それだけでは満たされず【絶望】を抱えながら生きている。
その友人の労働者階級出身の詩を愛するパウル・クランツ(18)。
この2人の青年を中心に物語は展開していく。
ギュンターには妹がいて、名前はヒルデ(16)。
どんな男も虜にする美貌で、パウルは彼女に惹かれていく。
そのヒルデが愛する相手が見習いシェフのハンス・ステファン(19)。
ハンスは当時で言う両刀使いで、ギュンターの元恋人だった。
そこにヒルデの友人であるエリ(16)が絡み、彼女はパウルに恋をしていた…。

まるで事実とは思えない複雑な人間関係。
誰もが自分の思い通りにはいかない歯痒さ。
そこに若者故の【暴走】が始まる発端があった。

『真の幸せは、おそらく一生に一度しか来ない。一度きりだ。
その後は罰が待ってる。厳しい罰だ。
幸福の瞬間を一生、忘れられない罰だ』


『その時が訪れたら、人生に別れを告げるんだ。
自分が一番、幸せな時に。そうさ。絶頂の時に』


パウル役のダニエル・ブリュール。
ドイツ映画界の若手ホープ。風貌がマイケル・ピットもしくは故クリストファー・リーヴに似ている。
ギュンター役のアウグスト・ディール。
神経質そうな風貌が、役柄に合っている。
ショールを首に巻くシャツの着こなし方は真似したいと思った。エレガントで、粋でお洒落。
ヒルデ役のアンナ・マリア・ミューエ。
大きい瞳に可愛らしさと美しさが相重なって。
友人のひとりに雰囲気が似ていた。

『人間には2種類ある。
愛する者と、妹のように愛される者だ』


『なぜ彼女は愛されるの?』

僕にはこの世界観がたまらなかった。憧れの場所かもしれない。
けだるさ、服装、調度品、芸術、サロン、集い、戯れ、緑の妖精(=アブサン)…なにもかもが。
そして、思いも。
実の妹に愛する人を獲られるのならば、殺してしまった方がいい。
自分の家の隣の部屋で2人が愛し合う囁きが聞こえてくるほど、地獄のようなことはない。
その兄の思いは痛いほど解る。
相手の幸せを願うことなんてできるものか。
殺すことで誰のものでもなくなり、すべての気持ちは完結し解放される。
例え、それが犯罪だと解っていてもだ。

僕は時々、自分が生まれた時代が間違っているのではないかと思う時がある。
短い時間の中で濃密な人生を生きた1900年代初頭の人間になぜだか強く惹かれるからだ。
長生きしたくないとどこかで思っているからかもしれない。
老いることに対して、かなりの不安と抵抗があるのも事実。
もちろん、それがナルシズムと解っているが。
だから、彼らの生き方や感性に共鳴できたし、
僕も当時を生きていれば必ず“自殺クラブ”に入っていただろう。
この作品は、僕が普段封印している心の闇に触れていた…。

あなたの心を綴った詩 そこに宿るのは詩人の魂
軽やかに韻を踏んで暗闇に深く沈んでいく
私にとって、あなたはまだウブな坊や
夢の中でまどろみ、恋の喜びは封印される
憧れの人を詩で称えても愛は得られない
夢見るだけの愛は、肝心な時、役に立たない
でも銃の引き金は決して引かないで
多くの涙が流されるだけ 何の価値もない


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2004年/90分
OS名画座/あーさん
前売り券1300円→1250円

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