リポア氏/夜の女性。

しのび逢い
a.『しのび逢い』(1954)
●観た理由●
故ジェラール・フィリップ主演作なので。
●覚え書き:この映画を観て思ったこと●
念願の『しのび逢い』をスクリーンで鑑賞できる機会を得た。
前半はロマンティック・コメディ風、後半は辛口恋愛風の仕上がりだった。
とにかく、この作品の“ジェジェ”は素敵すぎる!
表情や仕草がとことん可愛い。
“雨も滴るいい男”とは正に彼のことだと思った。
ハンサムな既婚の男性リポア氏(ジェラール・フィリップ)が
お目当ての妻の親友を手に入れるべく、その女性に自分の過去の女性遍歴を語っていく作品。
男前だからすべて許される、男前は本当に人生が得だなと思える説得力があった。
そのプレイボーイぶりはクライマックスへ向かうに連れて、
もう滑稽にさえ思えてしまったけど。
この男、絶対に泣き出すと思ったら、案の定そうで誰よりも女々しかった。笑
最後はかなり皮肉めいた“ハッピーエンド”で締め括られている。
自分が望むもの=妻の親友は手に入らず、
望まないもの=離婚しようと決意していた妻が永遠に手に入ったという顛末。
それでもリポア氏は懲りずに又、別の女性を手に入れようと動き出すだろうけど。
この時の“ジェジェ”が彼の人生において、
いちばん光り輝いていたと思えるくらい完璧すぎる容姿だった。
英国ロンドンの街並みがよく似合うこと。
正に“ファンファン、ロンドンへ参上!”という感じでした。
●満足度●
★★★★

夜ごとの美女夜ごとの美女?
b.『夜ごとの美女』(1952)
●観た理由●
故ジェラール・フィリップ主演作なので。
●覚え書き:この映画を観て思ったこと●
この作品もスクリーンで鑑賞できる機会を得た。
現実と夢の世界を行き来する、
音楽教師クロード(ジェラール・フィリップ)を描く恋愛人情コメディ。
ほのぼのとしていて、クスクスと笑える感じの作風だった。
まるで“ジェジェ”のP.V.を見ているような感覚。
いろんな時代の彼のコスチューム・プレイが観られて、ファンにはかなりお得感アリ。
“ジェジェ”の歌声まで聴けちゃうし♪
テーマはあるようでないような趣なので気楽に観られる一本。
観終わった後、何にも残らないけどね。笑
まだまだ“ジェジェ”の作品で見ていないものがたくさんあるけど、
こういう感じの作品はそうそうないような気がする。
クロードと彼を取り巻く友人たちとのコミカルなやり取りが微笑ましかったな。
●満足度●
★★★

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鷹の爪×赤と黒×超常現象。

秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jpは永遠に~②
a.『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jpは永遠に~』(2009)
TOHOシネマズのマナームービーとして出逢った頃から好きなシリーズ第3弾。
僕の中でいちばんのキャラクターはやっぱり吉田君。
今回、製作予算がかなりパワーUPした分=スポンサーやゲストが増えた、
いつものシニカルさが減っていたのは気のせいだろうか。
ひとまず完結編(!?)に相応しく、ラストを感動系に持っていかれたのはビックリ。
まさか、あのスーザン・ボイルのエピソードが登場するなんて!笑
おまけにエンディングに流れる曲は『夢やぶれて I Dreamed A Dream』だったし。
隠れキャラ的に一瞬、『崖の上のポニョ』らしき物体を確認したり。
こういう遊び心は変わらずに楽しかったりする。
今回、僕的にヒットだったキャラはどう考えても
TVシリーズ『24 TWENTY FOUR』のジャック・バウアーをパロっている、
TTTT(テロ特別対策ったい)のエージェント、ジョン・ジョロリン。笑
でも正直なところ、全体的に【1】&【2】を超えるほどの面白さはなかった。
マンネリを打破するための新たな試みが反って逆効果だったような。
或いは僕自身に数々のギャグに対する見慣れた感が出てしまったんだろうな。
『鷹の爪』シリーズに過度な感動は要らないよ…もっと笑いをCOME ON!
…で、結局、レオナルド博士の正体は何だったの??笑
あ。某映画をパロった無料配布の劇場鑑賞特典『0巻のようなもの』もどうにかGET!
2月6日~は第2弾として、
『THIS IS 一等』なるDVDが貰えるようです(詳細は公式HPで確認を)。 
どうやら次は【4】を飛ばして、【5】を作るらしい…。笑
秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jpは永遠に~③秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 ~http://鷹の爪.jpは永遠に~④
満足度:★★★

赤と黒【デジタルリマスター版】
b.『赤と黒【デジタルリマスター版】』(1954→2009)
フランスの貴公子、故ジェラール・フィリップの代表作。
彼の出演作はモノクロ作品が多数を占めるのだけど、今回は貴重なカラー作品としての鑑賞。
先月観たばかりの『パルムの僧院』同様、原作はスタンダールの小説。
僕はもしかしたらスタンダールの作品とは相性が悪いのかもしれないと感じる。
『赤と黒』も映画的にダイジェスト版を観ているようだった。
…それもそのはず。
もともとこの作品を監督したクロード・オータン=ララは、
二部構成(各120分ずつ)で映画化を検討していたものの
配給会社の反対により210分の一本として完成。
しかしそこから当時の検閲を配慮した編集により、
結果的に182分の作品となってしまった経緯があったようだ。
その影響が多大にあるのか、僕はどうもジェラール演じる主人公ジュリヤン・ソレルの
心の変化と真意を今ひとつ読み取ることができなかった。
野心家なのか、お人好しなのか…あまりにも周りに同調し流され過ぎな人生に感じた。
来る運命を拒まず、すべて受け入れる生き方というのか。
ジュリヤンの心の独白は真実を述べていて、とても興味深かったけれど。
僕的には前半の神学校で学んでいる辺りまでが面白かったかな。
後半の展開に関しては、少し冷めた目で観ていたのかもしれない。
それまでの展開から雰囲気がガラリと変わるクライマックス。
裁判で判決が出た後、ジュリヤンに逢いに行くレナール夫人(ダニエル・ダリュー)との
シーンを観ている時にふと、大好きな『陽のあたる場所』(1951)の
ラストでのモンゴメリー・クリフト&エリザベス・テイラーのシーンを思い出した。
『赤と黒』の結末に関しては、
人生を達観したような潔さと強さを感じた『パルムの僧院』の方が好みかもしれない。
この作品でのジェラールは笑うと頬にエクボが出て、とても可愛らしく映った。
後半での正装した服の着こなし方がエレガントでやはり高貴なものを感じる。
ちなみに題名の『赤と黒』は【赤は軍服、黒は僧衣】を表しているようです。
…ひとまず、彼の出演作を3本ほど観たのだけど、
僕の中で決定打のような作品とはまだめぐり逢えていない。
いちばん観たい『しのび逢い』(1954)を、
これから上映予定の神戸までやっぱり観に行くべきかなぁ。
満足度:★★★

パラノーマル・アクティビティ
c.『パラノーマル・アクティビティ』(2007)
※注意!ややネタバレしています※
全米で社会現象のひとつとして話題になっていた時点から注目していた作品。
でも、続編を製作することを映画NEWSで知って、一気にその熱が冷めてしまった。
そんな中、もともと一緒に行く予定だった、
ホラー映画好きの男子親友とやっぱり観に行くことを決定。
観る前に誓ったのはこの作品を【映画】だとは思わずに【アトラクション】として体感すること。
でも、結果的には肝であるはずの恐怖心を感じることが全くなくて、
主人公カップルの行動や言動に終始イライラさせられっ放しの86分間だった。
もうね、本当にこのカップルの行動に共感や応援ができないんだよね。
警察を始めとする法で裁くことでは対応し切れない次元の【相手】なんだから、
もっと素早く専門家に頼ればよかったのに…ずっとそう思いながら観ていた。
なんで自分たち(特に男性のミカ)で解決しようとするのかなぁ。
ケイティ(女性)に言いたいのは13歳からそういう現象に悩まされているんだったら、
それまでにカウンセリングを受けるなどして原因究明に時間を割くべきだったと思う。
何らかのトラウマも考えられた訳だし(結果的には違っていたけど)。
それから…もっと早くあの家に居ることに対するこだわりを捨てて、
憑依されるまでに教会へ逃げ込むことも可能だったはず。
それまでに普通に外出できた日もあったんだから。
生き抜くためにありとあらゆる事を対処せず、
ただ家の中で泣き喚くだけだったことが観ていてとても歯痒かった。
『そりゃあラストはああいう結果になってしまうよ』…とツッコミを入れたくなる。
$15000(約135万円)という超低予算でここまで作れたのは凄いことだし、
低予算な故、ロケーション撮影が無理だったり、
話に広がりを持たせられないことは百も承知している。
けれどやっぱり全米であれだけ大ヒットしたのは、
もっと凄い何か=新しい衝撃的なオチがあるんだろうと妙に期待してしまうよ。
結局、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)と何にも変わらない。
いや、変わっていない。
こんな二番煎じ的に思える作品が再び全米で大ヒットするなんて…
正直、失礼な意見だけど、
アメリカの観客はなんて単純で想像力がないんだろうと思ってしまいました。
アジアで代表される『リング』や『呪怨』のようなおどろおどろしさがないと、
僕はやっぱり恐怖心を感じないなぁ。
まぁ僕の場合、ありとあらゆるこのジャンルの映画を観ているので、
ついつい登場人物たちのサバイバルに対して厳しい目で見てしまうところがあるんだけどね。
なので、彼らカップルの行動はリアルと言えばリアルなんだろうけど。
すべてが終わった後のエンドロールは無くて(もちろんスタッフ&キャスト・クレジットも)、
何にも映っていない暗い画面が無音の中、3分ほど続いて場内が明るくなる。
どこまでもドキュメンタリー風に徹していたんだろうけど…
その間、何にも無かったのがちょっと残念に思えた。
ちなみにラストシーンに関してはスティーヴン・スピルバーグ監督のアドバイスで
追加撮影及び編集が施されているようなので、
もともとのオリジナル版のエンディングも観てみたいところ。
…それにしてもこんな結果になるんだったら、
お口直しに『パーフェクト・ゲッタウェイ』を続けて観ておくべきだったかな。笑
満足度:★★☆

’10年の幕開けを飾る映画。

危険な関係危険な関係②
a.『危険な関係』(1959)
僕の2010年の映画鑑賞の幕開けは、クラシックなフランス作品となりました。
それはフランス映画界が誇る【美男】の象徴である、
ジェラール・フィリップ(1922-1959)の出演作。
ジェラール・フィリップジェラール・フィリップ②
2009年は彼の没後50年だったこともあり、
特別企画として数々の代表作がスクリーンで上映されているのです。
愛称である【ファンファン】の存在は随分昔から
その名前と経歴や出演作の題名くらいは知っていたものの、
遺された映像の中で動く彼を見ることは今回初めての体験となりました。
僕が記念すべき一本目に選んだのは、
コデルロス・ド・ラクロの著名な小説が原作の『危険な関係』
【監督:ロジェ・ヴァディム
キャスト:ジャンヌ・モロー、ジェラール・フィリップ、アネット・ヴァディム、
ジャンヌ・ヴァレリー、ジャン=ルイ・トランティニャン】
ファンファンの日本における劇場公開の遺作でもあります。
とにかく僕はこの作品の中で描かれる人間の本質的な世界観がとても好きでした。
今でこそ様々な実写映画版があるものの、1950年代当時は初めての映像化だったようです。
僕がこれまでに観てきた版は…。
①『危険な関係』(1988)監督:スティーヴン・フリアーズ
キャスト:グレン・クローズ、ジョン・マルコヴィッチ、ミシェル・ファイファー、
キアヌ・リーヴス、ユマ・サーマン
②『恋の掟』(1989)監督:ミロシュ・フォアマン
キャスト:アネット・ベニング、コリン・ファース、メグ・ティリー、
フェアルーザ・バーク、ヘンリー・トーマス
③『クルーエル・インテンションズ』(1999)監督:ロジャー・カンブル
キャスト:サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、リース・ウィザースプーン、
セルマ・ブレア、ジョシュア・ジャクソン
④『スキャンダル』(2003)監督:イ・ジェヨン
キャスト:ペ・ヨンジュン、イ・ミスク、チョン・ドヨン、イ・ソヨン、チョン・ヒョンジェ
…今回の1959年製作版は物語の舞台を18世紀のフランス貴族社会から
現代のフランス上流社会に置き換えての展開となっていました。
監督があのロジェ・ヴァディムだと知って驚いたものの
(オープニングで彼本人が解説者的に登場したことにも驚いたり)、
このインモラルな作風にはピッタリの起用だったと思います。
どの映像化作品にも言えることながら、
登場人物の設定とキャラクター、その顛末が微妙に違っている辺りも見どころのひとつ。
現代の映画のような性行為に関する直接的な描写はないものの、
それを想像させる場面に十分なくらいのエロティックさを感じずにはいられませんでした。
特にヴァルモン(演じていたのはジェラール・フィリップ)と
セシル(演じていたのはジャンヌ・ヴァレリー)の
椅子の上でのアート的構図のキス・シーンにはドキドキさせられっ放し。
セシルはヴァルモンの誘惑になかなか屈しなかったものの、
僕が彼女の立場だったらいとも簡単に
ファンファンのヴァルモンになら口説き落とされると思います。笑
ヴァルモンは本来ならイヤな人物のひとりであるけど、
彼が演じたことによってどこか憎めないものを感じてしまいました。
今回の版では結末をどう描くのか注目していたけど、その衝撃度はあまり無かったです。
むしろ、その顛末を甘いなと感じてしまったほど
(当時、劇場で観た人たちは衝撃的だったかもしれないけど)。
この物語は現代劇として描くよりも、
やはり時代劇として描いた方が素材を思い存分に活かせると感じたのは事実。
なので、作品的にはやはり①の出来が群を抜いて素晴らしいと改めて思いました。
…スクリーンで初めて観るジェラール・フィリップは本当に貴公子的な気品があり美しく、
未だなお多くの人たちに愛され続ける理由を実感することができました。
少し声が高かったのが意外だったけど。
僕は日本のクラシックな男優では故、田宮二郎(1935-1978)が好きなのだけど、
どことなく二人の雰囲気が似ているように感じたりもしました。
観終わった後、僕の後ろに座っていた年配の女性が長年のファンファンのファンのようで、
この作品に出演していたアネット・ヴァディム(マリアンヌ役)が
私生活においてロジェ・ヴァディム監督の奥様だったことを、
一緒に来ていた友人に話していたのを拾い聞きできたことも印象に残りました。笑
無論、僕はこの一作だけでファンファンの虜になったことは言うまでもなく…。
満足度:★★★☆

b.『パルムの僧院 完全版』(1948)
パルムの僧院 完全版
ジェラール・フィリップ出演作鑑賞の二本目に僕が選んだのはスタンダールの有名小説の映画化。
上映時間174分(休憩なし)の一大叙情詩。
タイトルから僧院を舞台に司祭の物語を信仰的に描いていくのだと勝手に想像していたら、
結果的に全く違う展開だったので驚かされた。
実際はひとりの青年ファブリスと
彼に関わる美しき女性二人を中心に描かれる波乱万丈な物語だった。
正直なところ前半の展開は抑揚がなくやや退屈に感じてしまい、
後半(ファブリスの脱出劇辺り)からの展開にようやく面白味を感じ惹きつけられた。
この作品を観て感じたことは…信仰よりも自分の信念を貫き通すことの大切さや、
それを貫き通すことによって発生する自分への罪と罰を受け入れる強さみたいなものを
教わったような気がしました。
『幸福を追求することは容易ではない。でもそれこそが人生の楽しみなのだ』
…すべての物語が終わった後、こういうニュアンスのようなことを
語っていたラストのナレーションに人生の味わい深さを感じ頷かされるものがありました。
ただ、全体的には原作小説からかなり登場人物の心理描写を
端折っている感が拭えなかったような。
ファブリス(演じていたのはジェラール・フィリップ)の改心ぶりと、
彼のクレリヤ(演じていたのはルネ・フォール)に対する愛情の深さの変化に
どうもしっくりと感じるものがなかったから。
今回のジェラール・フィリップはとても華奢だった。特に腕が細かったなぁ。
笑った時に見える両端の尖った歯がとてもチャーミングに映っていました。
…クラシックな映画は現代の映画のような特殊撮影技術やスピード感溢れる映像に頼ることなく、
俳優たちの確かな演技力と脚本だけで語られていく。
そのゆったりと流れる美しい映像とゆとりを持った場面の行間に酔いしれるものがありました。
あぁ、こんなにハマることになったのであれば…
先に上映されていた『しのび逢い』(1954)、
『花咲ける騎士道』(1952)、『夜ごとの美女』(1952)、
『モンパルナスの灯』(1958)辺りも観ておくべきだったなぁ。
今後、こんな風に機会があるごとにファンファンを追いかけていくことを誓います!
パルムの僧院 完全版パルムの僧院 完全版②
満足度:★★★

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